分枝粥腫型梗塞(BAD)とは、脳梗塞の中でも特殊な梗塞とされます。分枝粥腫型梗塞(BAD)についてまとめました。
分枝粥腫型梗塞(BAD)とは?
ちょっと変わったラクナ梗塞を見つけました。これです。
指導医
これは、ラクナ梗塞ではなくて、分枝粥腫型梗塞と呼ばれるものです?
ぶんしじゅくしゅ?なんですかそれ?
指導医
ラクナ梗塞と同様に穿通枝の梗塞なんですが、この梗塞は、穿通枝が根元から詰まった病態です。
ですので画像でラクナ梗塞と区別する必要があります。
分枝粥腫型梗塞(BAD)
- Branch-atheromatous disease:BADのこと。
- 内包梗塞の1つ。
・何スライスにも及ぶラクナ梗塞(?)を見たら?
→穿通枝全体の梗塞(主幹動脈~穿通動脈分岐部のアテローム血栓性機序(ラクナ梗塞ではない!)により穿通動脈閉塞による)
→穿通枝全体の梗塞(主幹動脈~穿通動脈分岐部のアテローム血栓性機序(ラクナ梗塞ではない!)により穿通動脈閉塞による)
- 穿通動脈支配域に一致した梗塞 なので、血管の走行に一致し長い梗塞が特徴。高血圧性のラクナ梗塞よりも大きい。
- 外側線条体動脈、椎骨脳底動脈から脳幹(橋など)への穿通動脈が多い。
- 治療はアテローム血栓症に基づく。
BADの画像診断は?
- ラクナ梗塞よりサイズが少し大きい。
- かつ穿通動脈(穿通枝)の起始部が詰まるので穿通枝の走行に沿ってすべて梗塞となり、上下に細長く梗塞が広がる。(1スライスだけではなく、何スライスかに及ぶ)
- MRAで虚血と関係ある主幹動脈の狭窄(50%以下)、壁不整が見られる。
動画で学ぶBAD(左外側線条体動脈領域)
なんでも穿通枝にあるものをラクナ梗塞と診断するのではなく、分枝粥腫型梗塞を鑑別に考えつつ、何スライスにも及ぶ梗塞像を認めた場合は、親動脈の評価をしましょう。
BADを診断する上で知っておくべき動脈の支配領域
- 外側線条体動脈(LSA)
- 前脈絡動脈(AChA)
- 椎骨脳底動脈から脳幹(橋など)
外側線条体動脈lateral striate arteries (LSA)
- MCAのM1から分岐し、被殻、淡蒼球を支配。
前脈絡動脈anterior choroidal artery(AChA)
- ICA(C2)のp-comのすぐ遠位より分枝し、内包後脚などを栄養。
LSAとAChAの血管支配域をチェックしよう!
脳底動脈からの穿通枝である傍正中動脈(paramedian artery)
動画で学ぶ分枝粥腫型梗塞(傍正中動脈領域)
▶キー画像
症例 60歳代女性 橋梗塞(分枝粥腫型梗塞)
脳底動脈からの穿通枝である傍正中動脈(paramedian artery)領域の分枝粥腫型梗塞。MRAにて壁在プラークあり。
STRIATOCAPSULAR INFARCTION(SCI)=CAPSULAR INFARCTION:内包梗塞
- ラクナ梗塞より大きく最大径が2cmを超える梗塞。
- 病変は内包や被殻、尾状核頭部に及ぶ。
- ほかの部位に病変なく、外側線条体動脈域が主な病巣となる。
SCIの原因:
- 塞栓性
- ICAやMCA起始部の閉塞性疾患による血行力学性
- MCA水平部(M1)の病変による外側線条体動脈の狭窄または閉塞(⊃branch atheromatous disease(BAD))
- 明らかな異常が認められない場合
- 分枝粥腫型梗塞(BAD)は内包梗塞の原因の1つ。