先に結論:放射線被ばくの種類
- 私たちは自然放射線(宇宙線・大地・食べ物・空気中のラドン)から、日本人で年間約2.2mSv(世界平均は約2.4mSv)被ばくしています
- 医療のX線・CTは人工放射線で、目安は胸部X線(正面)で平均約0.05mSv、単純の胸部CTで中央値約8mSvです
- X線とγ線はどちらも電磁波で、原子核の外(電子)で出るのがX線、原子核から出るのがγ線です
- 医療被ばくは検査で得られる利益が上回るときに行い(正当化)、線量はできるだけ少なくします(最適化)
・放射線被ばくは人工放射線か自然放射線かに大きくわけられる。
人工放射線
・加速器により発生する放射線。
・原子核外で発生。X線。
・透過力や電離作用はエネルギー(電圧)による。
・X線は加速電子KeV-MeVをターゲットに当てたときに出る制動放射線・特性X線である。管電圧がkV(キロボルト)級のX線は診断に、MV(メガボルト)級の加速電圧で発生させたX線は治療に用いる。
例)胸部X線(正面1枚)の実効線量は平均0.052mSv(Kruger 2013)、単純の胸部CTは中央値8.2mSv(Smith-Bindman 2009)。検査ごとの実効線量は単純X線で0.01〜10mSvと1000倍以上の幅があり、CTは概ね2〜20mSvです(Mettler 2008)。実臨床の成人CT 1,119例の検討では、実効線量の中央値は頭部CTの2mSvから多相の腹部・骨盤CTの31mSvまで幅があり、同じ種類の検査でも施設間・施設内で平均13倍の差がありました(Smith-Bindman 2009)。
X線とγ線の違い(表)
| 項目 | X線 | γ線 |
|---|---|---|
| 正体 | 電磁波(光子) | 電磁波(光子) |
| 出る場所 | 原子核の外(電子の減速・軌道電子の移動) | 原子核の中(原子核のエネルギー変化) |
| 主な例 | レントゲン・CT・放射線治療装置 | 放射性物質の崩壊、核医学検査 |
X線とγ線は「どこで出るか」で区別し、エネルギーの大小では区別しません。また人工放射線・自然放射線は「発生源」の区別で、核医学検査のγ線は人工、宇宙線や大地からの放射線は自然の放射線です。
レントゲン(X線)が発生するしくみ
X線管の陰極で熱した電子を高い電圧で加速し、陽極のターゲット(金属)に衝突させます。電子が急にブレーキをかけられて出るのが制動X線、ターゲット原子の電子の移動で出るのが特性X線です。ぶつかった電子のエネルギーの大部分は熱になります。
自然放射線
・原子核内から自然崩壊して出てくる。
・α線、β線、γ線は原子核内から放出され、それぞれ飛び出すときのエネルギーをもっている。これが電離作用の源。
・透過力はα線<β線<γ線
・電離作用はα線>β線>γ線
・自然放射線による年間の被ばくは世界平均で約2.4mSv、日本人では約2.2mSvと見積もられている。日本人の内訳は、宇宙線0.29mSv、大地からの放射線0.33mSv、ラドン・トロンの吸入0.59mSv、食物からの取り込み0.99mSv(Omori 2020)。
例)飛行機の巡航高度では宇宙線が強くなり、国際線を利用した日本人の機内での被ばくは1人あたり年平均約60μSvと推定されている(Yasuda 2025)。
参考)命にかかわる急性の全身被ばくはSv(シーベルト)単位の線量で、画像検査で受けるmSv単位の線量とは桁が大きく異なる。
α線222-Rnラドン
・226Ra(土壌・建材中)の崩壊で出来る。
・不活性ガスを空気中に拡散する。
・浮遊塵に沈着し、空気中で放射性崩壊をし、α線を照射する。
・経気道局所被曝をして特に肺癌の発ガンの原因となる。
・換気をすると室内から減少する。
β線と体内物質身体
・カリウムは主に筋肉など細胞の中に含まれる。
・脂肪組織にはほとんど含まれない。なので同じ体重であれば、筋肉質のヒトほどカリウム量が多く、脂肪が多いヒトほどカリウム量は少なくなる。
・原子核に含まれる中性子の数の違いで3種類ある。39K,40K,41K
・自然界に存在するカリウムのごく一部が放射性同位元素の40K。カリウム40から出てくる放射線(β線)を測定する。
・ホールボディー・カウンター(放射線の全身計測器)→肥満度の測定ができる(つまり、カリウムで肥満度がわかる。)
体内の放射性物質からの内部被曝
・食物に含まれる放射性物質を体内に取り込むことによる日本人の年間の内部被ばくは0.99mSvと見積もられている(Omori 2020)。
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参考文献
- Mettler FA, Huda W, Yoshizumi TT, et al. Effective doses in radiology and diagnostic nuclear medicine: a catalog. Radiology. 2008;248(1):254-63. PubMed
- Smith-Bindman R, Lipson J, Marcus R, et al. Radiation dose associated with common computed tomography examinations and the associated lifetime attributable risk of cancer. Arch Intern Med. 2009;169(22):2078-86. PubMed
- Brenner DJ, Hall EJ. Computed tomography–an increasing source of radiation exposure. N Engl J Med. 2007;357(22):2277-84. PubMed
- Kruger R, Flynn MJ, Judy PF, et al. Effective dose assessment for participants in the National Lung Screening Trial undergoing posteroanterior chest radiographic examinations. AJR Am J Roentgenol. 2013;201(1):142-6. PubMed
- Omori Y, Hosoda M, Takahashi F, et al. Japanese population dose from natural radiation. J Radiol Prot. 2020;40(3):R99-R140. PubMed
- Yasuda H, Motoyama H, Yajima K. Recent trends in cosmic radiation exposure onboard aircraft: effects of the COVID-19 pandemic on Japanese in-flight doses. Front Public Health. 2025;13:1554332. PubMed
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