超急性期脳出血のMRI所見は?
CTですと白く映る(高吸収)ので脳出血は分かりやすいですが、MRI firstで撮影した場合に、本当に出血なのか不安になることがあります。
実際は難しいところもありますが、梗塞(虚血)と出血の鑑別点をみてみましょう。
超急性期脳出血の特徴は?
・発症直後から信号変化を認める(梗塞だと信号変化が出現するまでに、DWIでも30分程度はかかる。)
T2強調画像(T2WI)
- 中等度高信号(オキシヘモグロビン)
- 辺縁部に低信号(デオキシヘモグロビン)
- 周囲に軽度浮腫(高信号)
拡散強調画像(DWI)
- 中心部は高信号およびADCの低下(オキシヘモグロビン)
- 辺縁部は磁化率変化による低信号(デオキシヘモグロビン)
病期 | ヘム鉄の変化局在 | T2WI | T1WI | CT | |
超急性期(1-24時間) | オキシヘモグロビン/赤血球内 | Fe2+/反磁性 | 軽度high | 軽度low | high |
急性期(1-7日間) | オキシヘモグロビン(O2持ってる)/赤血球内 | Fe2+/常磁性 | low | 軽度low | high |
このように出血の場合は、
- 発症直後から信号変化を認める点
- 直後はT2WIで軽度高信号(ネズミ色)を認める点
が重要です。
症例 70歳代 男性 ふらつき
尾状核頭からの出血による脳室穿破。同日のMRI T2WIにてねずみ色の血腫あり。
超急性期の出血に矛盾しない所見です。
症例 70歳代男性 左被殻出血脳室内穿破
左被殻出血あり。
MRIのT2WIで、ねずみ色であり、超急性期の出血を示唆する所見です。
動画で学ぶ急性期脳出血のMRI所見
参考症例)20歳代 女性 右卵巣出血の破裂
T2WIで超急性期の出血を示唆するネズミ色の血腫が破綻して腹腔内に漏出している様子がわかります。
右卵巣出血の破裂(破綻)及び腹腔内出血と診断されました。
超急性期脳梗塞・脳虚血の特徴
- 発症直後からは所見はみとめない。虚血中心から徐々に広がる。
- T2強調画像では12時間以上経過しないと血管性浮腫による信号変化は出現しない。
- 拡散強調画像では発症30分程度で所見が出現しうるが、
拡散異常範囲<最終梗塞範囲<灌流異常範囲
また、虚血の強度、病態によるので、必ずしも見られるとは限らない。