疲労骨折(fatigue fracture)
- 健常な、正常の強度を有する骨に発生するストレス骨折。※ストレス骨折には主にスポーツで見られる疲労骨折(fatigue)と、高齢者でよく認められる不全骨折(insufficiency fracture)に分けられる。前者は健常の骨、後者は骨粗鬆症などで脆弱化した骨に外力が加わることによる。
- スポーツなどの過度の外力。陸上やサッカーなど足肢を酷使するスポーツで起こる。
- 通常では骨折を起こさない程度の小さな外力が加わり続けることで生じる。
- 皮質骨と海綿骨の連続性が失われ、二次的な反応性の骨膜骨形成を生じ、最終的には明らかな骨折に至る。
- 若年者に多い。
- 荷重のかかる骨(椎体、骨盤骨、大腿骨(頸部、骨幹)、脛骨、腓骨、尺骨、踵骨、第2,3中足骨、母趾の種子骨、舟状骨)に多い。
- 四肢の特に脛骨や腓骨に好発し、走者骨折と呼ばれる。
- また長時間の歩行により、中足骨に起こる疲労骨折を行軍骨折(marching fracture)という。
- 椎体に起こると脊椎分離症の原因となる。
- 症状は歩行時痛や局所的な圧痛。ただし、歩行不能になるほどではない。
- 早期発見とその後の迅速な処置(競技中止、安静)が必要。
疲労骨折の画像所見
- 早期にはX線上で変化は認められない。
- 骨シンチグラフィでは早期に疲労骨折部位に集積を認めるが、現在はMRIの撮影で診断するのが一般的。
- MRI所見は必ずしも特異的ではないが有用。
- MRIではT1WIにおいて骨折部位に相当して帯状の低信号域、脂肪抑制T2WIあるいはSTIRにおいて高信号域を骨髄内に認める。
- CTは骨折線の走行の把握に有用なことがあるが、捉えられないことがあり、骨折線を認めなくてもMRIを撮影すれば骨髄浮腫を生じていることあり。CTを撮影して骨折線がなくても、疼痛が長引く場合はMRIを撮影する。
症例 30歳代男性 マラソン愛好家