先に結論:変形性脊椎症とModic分類

  • 変形性脊椎症は椎間板の変性・終板の変性・骨棘形成の3つに分けると整理しやすく、多くは加齢による変化です
  • MRIでは椎間板の変性はT2強調像での髄核の信号低下(Pfirrmann分類)で、終板の変化はModic分類(I型=浮腫:T1低・T2高、II型=脂肪:T1高、III型=硬化:T1・T2とも低)で評価します
  • 椎体終板は椎体の上下の面で椎間板と接する部分で、骨性終板と軟骨終板からなり、椎間板への栄養の通り道になっています。ここの変性(終板変性)をMRIで分類したのがModic分類です
  • Modic I型は症状と関係しやすい一方、骨転移や椎間板炎でも同じ信号になるため、椎間板の信号や周囲の膿瘍の有無で区別します

変形性脊椎症は曖昧で難しいですよね。

大きく髄核変性、終板変性、骨棘形成。(狭義)の3つに分けられます。

図を用いて変形性脊椎症について一つ一つ解説します。

変形性脊椎症とは?

加齢により、椎間板と後方の左右一対の椎間関節が退行変性した状態のことを言います。

また、椎間板が変性するとその異常な動きを止めるように骨棘が形成されるようになります。

変形が進むと椎間が狭小化し、そのため後方関節の変形性関節症変化が生じ、慢性の疼痛の原因となります。

また、神経根を圧迫して神経根症状を生じたり、脊柱管狭窄症を引き起こして症状を発現することもあります。

変形性脊椎症は大きく3つに分けられます。

  1. 髄核変性。
  2. 終板変性。
  3. 骨棘形成。(狭義)
図にすると下のようになります。1つ1つ見て行きましょう。

spondylosis1

こちらでもわかりやすく解説しました。→変形性腰椎症とは?症状、MRI画像、治療まとめ!

①椎間軟骨症(椎間板(髄核)変性)とは?

spondylosis8

椎間軟骨症(椎間板変性)が生じると、椎間板は髄核のproteoglycan・水分減少より硬度が増強し、

  • 線維輪断裂
  • 髄核偏位
  • 扁平化(椎間腔狭小化)
  • 髄核亀裂(亀裂内のガス(vacuum現象)・液体貯留)
  • 石灰化
  • Schmorl結節を来す。

 

  • MRIではT2強調像にて髄核の低信号を認める。
  • 早期変性による線維輪の髄核内への陥入、偏位が原因として提唱されているが、定説ではない。
  • これらは若年者より見られるので、生理的変化としてもよい。
前部に限局した低信号(central dot)、横走する線状低信号(intranuclear cleft)
→低信号増強
→髄核・線維輪境界不明瞭化
→全体の低信号 の順番で変性は進んでいく。

これらの変化はgrade分類されており、以下のよう。

椎間板変性の程度(Pfirrmann分類・T2WIで5段階)
  • grade1 : 正常なもの
  • grade2 : 内部が不均一化してきたもの
  • grade3 : 信号強度の低下が生じたもの
  • grade4 : 髄核と線維輪の輪郭が不鮮明になってきたもの
  • grade5 : 椎間腔が虚脱したもの

 

正常(T2WI)

spondylosis2

早期変性(T2WI)

spondylosis3

進行変性(T2WI)

spondylosis4

進行変性+椎間腔狭小化(T2WI)(+この症例ではヘルニア)

spondylosis6

ヘルニア(T2WI)

spondylosis5

ただし、椎間板の変性は、加齢とともにほとんどの人に見られるもので、必ずしも病的意義があるとは限りません。無症状の人でも、椎間板変性は20歳で37%、80歳で96%にみられると報告されています。

あくまで、症状ありきの画像診断です。

続いて、終板の変性について見ていきましょう。

②終板変性=椎間骨軟骨症

椎体終板(終板)とは?

  • 椎体終板は、椎体の上面と下面にあって椎間板と接する薄い板状の部分です。椎体側の骨性終板と、椎間板側の軟骨終板の2層に分けて考えます。
  • 軟骨終板は、椎間板への栄養の通り道となり、かかる力を分散し、椎間板が椎体の中へ膨らみ込むのを防いでいます。軟骨終板の変性は早い時期の椎間板変性に関わり、Modic変化にも関係すると考えられています(Crump 2023)。
  • 終板が破れて髄核が椎体内に入り込んだものがSchmorl結節、終板とその下の骨髄の信号変化がModic変化(終板変性)です。

spondylosis9

  • 椎間板変性に終板周囲変性を合併したもの。
  • 変性による異常変性をModicらはタイプ分類している。
  • 軟骨終板への椎間板髄核の突出であるSchmorl結節も椎間骨軟骨症の範疇に含まれる。(椎体隅角への入り込みと、同部の隅角離開を認めるものはlimbus vertebraと呼ばれる。)
  • Schmorl結節は急性期には炎症所見として画像上捉えられ、STIRで高信号を呈したり、造影効果を有することあり。

spondy

Modic typeとは?

椎体終板変性についての分類

Modic change(Modic変化)は日本語では「モディック変化」または「椎体終板の信号変化」と訳され、椎間板変性に伴って終板の下の骨髄に起こるMRIの信号変化を指します(Modic 1988)。

Modic type T1強調像 T2強調像
Ⅰ:骨髄浮腫(線維血管増生) 低信号 高信号
Ⅱ:脂肪変性(fatty degeneration) 高信号 等-高信号
Ⅲ:骨硬化(終末像) 低信号 低信号
  • typeⅠは組織学的に血管に富む線維結合織の増生が認められ(fibrovascular degeneration)、同部ではGdによる増強効果が認められる。不安定性改善により正常信号やtypeⅡへと変化する。
  • typeⅢでは、単純X線で骨硬化が強い部分である。
  • typeⅡ、Ⅲ(discogenic sclerosis)は比較的安定した変化。
  • typeⅠは臨床的にactiveな変化と考えられ、症状との関連も指摘されている。77論文のシステマティックレビューでは、終板信号変化(Modic変化を含む)の有病率の中央値は非特異的腰痛・坐骨神経痛の患者で43%、非臨床集団で6%であり、10研究中7研究で腰痛との関連(オッズ比2.0〜19.9)がみられた。ただし腰痛のない人にもみられる所見であり、画像だけで痛みの原因と決めつけないことが大切である。
  • typeⅠからⅡへ変化していくことがあり。Modicらの原報では腰椎MRI 474例中type Ⅰが4%、type Ⅱが16%にみられ、経過を追えたtype Ⅰの6例中5例が14か月〜3年でtype Ⅱへ移行しました。、さらに固定術などにより脊椎の不安定性が改善されると信号強度が正常化したり、typeⅡへ変化したりすることも報告されている。

こちらにも詳しく解説しました。→【画像あり】椎体MRIにおけるModic分類(Modic type)とは?

症例 50歳代男性(Modic type1)

modictype1

症例 40歳代男性(Modic type1)

modictype1-1

症例 50歳代男性(Modic type2)

Modic typeⅡ

症例 60歳代女性(Modic type3)

modictype3

Modic type1のT1WI低信号、T2WI高信号というのは、変形性脊椎症だけではなく、

  • 骨転移
  • 椎間板炎など

でも同様の信号パターンを認める非特異的なパターンですので、信号パターンだけでなく、椎体の形状やその他臨床情報を参考に診断するようにしましょう。

Modic I型に似た信号の73例の検討では、拡散強調像で正常と異常の骨髄の境目に線状の高信号(claw sign)がはっきりある場合はほぼ全例が感染なしで、claw signがなく拡散強調像の高信号がびまん性の場合は多くが椎間板炎・椎体炎でした(Patel 2014)。

最後に骨棘形成についてです。

こちらでもわかりやすく解説しました。→変形性腰椎症とは?症状、MRI画像、治療まとめ!

③骨棘形成(SPONDYLOSIS DEFORMANS)

spondylosis11

  • 変性による椎体辺縁(特に前縁、側縁)の骨棘形成を特徴とする。
  • 椎間板に線維輪断裂が見られると髄核偏位、椎間板膨隆が生じるが、 Sharpey線維は強固な靭帯であるため容易には断裂しない。
  • そのため、この靭帯の椎体付着部に牽引、ストレスが起り、同部に骨棘(osteophyte)形成が生じると考えられている。前縦靭帯の関与も提唱されている。
  • 骨棘には横方向へ突出するtraction spurと上下方向へ突出するclaw spurがあるが、これらを区別する意義はあまりない。
  • 頚椎に生じたものは頚椎症(cervical spondylosis)と、腰椎に生じたものは腰椎症(lumbar spondylosis)と呼ばれる。

 

変形性脊椎症(狭義)
線維輪断裂
→髄核偏位
→椎間板膨隆
→Sharpey線維付着部の椎体骨棘(traction spur,claw spur)、前縦靭帯の関与

 

spur

spur1

このように3つの変化を合わせたものを基本的に変形性脊椎症と呼びます。
3つに分けて、1つ1つ見ていくと、わかりやすいですね。

変形性脊椎症・終板変性でよくある疑問(Q&A)

Q. 終板変性とは何ですか?
A. 椎間板の変性に伴って、椎体終板とその下の骨髄が変化した状態で、椎間骨軟骨症とも呼ばれます。MRIではModic分類(I〜III型)で評価します。

Q. 変形性腰椎症のMRIでは何を見ますか?
A. この記事の3つの変化、①椎間板(髄核)の変性(T2強調像の信号低下・Pfirrmann分類)、②終板変性(Modic分類)、③骨棘に加えて、神経根の圧迫や脊柱管狭窄の有無を確認します。ただし無症状の人にもよくみられる変化なので、症状と合わせて判断します(Brinjikji 2015)。

あわせて読みたい:脊椎MRI・CT画像診断まとめ

参考文献

  1. Modic MT, Steinberg PM, Ross JS, et al. Degenerative disk disease: assessment of changes in vertebral body marrow with MR imaging. Radiology. 1988;166(1 Pt 1):193-199. PubMed
  2. Pfirrmann CW, Metzdorf A, Zanetti M, et al. Magnetic resonance classification of lumbar intervertebral disc degeneration. Spine (Phila Pa 1976). 2001;26(17):1873-1878. PubMed
  3. Brinjikji W, Luetmer PH, Comstock B, et al. Systematic literature review of imaging features of spinal degeneration in asymptomatic populations. AJNR Am J Neuroradiol. 2015;36(4):811-816. PubMed
  4. Fardon DF, Williams AL, Dohring EJ, et al. Lumbar disc nomenclature: version 2.0: Recommendations of the combined task forces of the North American Spine Society, the American Society of Spine Radiology and the American Society of Neuroradiology. Spine J. 2014;14(11):2525-45. PubMed
  5. Jensen TS, Karppinen J, Sorensen JS, et al. Vertebral endplate signal changes (Modic change): a systematic literature review of prevalence and association with non-specific low back pain. Eur Spine J. 2008;17(11):1407-22. PubMed
  6. Crump KB, Alminnawi A, Bermudez-Lekerika P, et al. Cartilaginous endplates: A comprehensive review on a neglected structure in intervertebral disc research. JOR Spine. 2023;6(4):e1294. PubMed
  7. Patel KB, Poplawski MM, Pawha PS, et al. Diffusion-weighted MRI “claw sign” improves differentiation of infectious from degenerative modic type 1 signal changes of the spine. AJNR Am J Neuroradiol. 2014;35(8):1647-52. PubMed

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