先に結論:急性化膿性甲状腺炎と梨状窩瘻

  • 急性化膿性甲状腺炎の多くは下咽頭の梨状窩から甲状腺へつながる先天性の瘻孔(梨状窩瘻)からの感染で、小児〜若年者に多く、大部分が左側です
  • CTでは甲状腺左葉の上部周囲の境界不明瞭な炎症・膿瘍が見られ、頸部膿瘍として見つかることもあります
  • 炎症が治まってから下咽頭造影(食道透視)で瘻孔を確認し、繰り返さないよう瘻孔を処置します

※首の腫れや痛みに発熱を伴うときは、早めに医療機関を受診してください。

急性化膿性甲状腺炎

  • 下咽頭梨状窩の先天性瘻孔(梨状窩瘻)から感染をしたもの。なので確定診断には下咽頭造影で、瘻孔を確認する。
  • 梨状窩から甲状腺への瘻孔により甲状腺炎を生じ、腫瘤を形成する。甲状腺周囲に炎症波及。
  • 新生児期から成人まで発症。新生児では感染を伴わない頸部の嚢胞性腫瘤として見つかり、リンパ管奇形と誤られることがあります。小児で化膿性甲状腺炎(特に左側)を見たら、梨状窩瘻を検索します。
  • 瘻孔:第3、4咽頭嚢、左側に多い(小児16例中15例:Tshuma 2022)。

梨状窩・梨状窩瘻とは?(症状と見つけ方)

  • 梨状窩は下咽頭で喉頭の左右にあるくぼみで、食べ物の通り道です。梨状窩瘻は、そこから甲状腺の方へ伸びる生まれつきの細い管です。
  • 症状は首の腫れ・痛み・発熱の繰り返しです。小児16例では全例が首の腫れで受診し、81%が化膿性甲状腺炎でした(Tshuma 2022)。
  • 111研究3692例の系統的レビューでは、瘻孔を指摘できた割合はCTで約73%、成人の造影CTで84.21%、内視鏡で成人87.50%でした。小児で炎症のない時期にはバリウムによる下咽頭造影が勧められています(Meng 2023)。

急性化膿性甲状腺炎の画像診断

  • 食道透視により、梨状窩からの瘻孔を確認。
  • CTで、甲状腺左葉上極周囲、境界不明瞭、不均一な腫瘤。60例の検討では、炎症の初期にはUSで不明瞭な低エコー域、CTで非特異的な低吸収域しか見えず、亜急性甲状腺炎と誤診されやすいと報告されています。甲状腺周囲の低エコー域・甲状腺と周囲組織の境界の消失・単発の病変は急性化膿性甲状腺炎を示唆し、瘻孔の検出にはUSやCTより下咽頭造影(バリウム)の感度が高いとされます。
症例 20歳代女性

梨状窩瘻のCT画像

甲状腺左葉は腫大し、不均一な低吸収域を認めています。

また、頭尾方向に瘻孔を疑うLDA(low density area:CTで周囲より黒く見える低吸収域)を認めています。

梨状窩瘻の下咽頭食道透視

左梨状窩から尾側に向けて線状の造影剤の漏出を認めています。

下咽頭梨状窩瘻を疑う所見です。

関連記事:橋本病とは?CT画像所見のポイントは?(慢性甲状腺炎)

参考文献

  1. Tshuma M, Chadha NK, Lee AF, et al. Piriform fossa sinus tract – a 15-year retrospective review with a focus on atypical neonatal presentations. Pediatr Radiol. 2022;52(5):883-891. PubMed
  2. Seki N, Himi T. Retrospective review of 13 cases of pyriform sinus fistula. Am J Otolaryngol. 2007;28(1):55-58. PubMed
  3. Masuoka H, Miyauchi A, Tomoda C, et al. Imaging studies in sixty patients with acute suppurative thyroiditis. Thyroid. 2011;21(10):1075-80. PubMed
  4. Wang HK, Tiu CM, Chou YH, et al. Imaging studies of pyriform sinus fistula. Pediatr Radiol. 2003;33(5):328-33. PubMed
  5. Meng L, He S, Dong R, et al. Preferred diagnostic methods of pyriform sinus fistula in different situations: a systematic review. Am J Otolaryngol. 2023;44(2):103747. PubMed

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