各論⑥股関節、大腿骨
▶大腿骨頸部骨折:
・高齢者の転倒で歩けないときはまずこれと圧迫骨折を疑う。脚長差があればまず間違いない。
・レントゲン→正面+ラウエンシュタイン を撮影
※ただしラウエンシュタインは股関節の軽度外旋が必要で、疼痛でできない場合は軸写をオーダー
※この骨折は手術しなかった場合、予後が悪くなるというエビデンス確立されている。初期治療は安静、短縮が強い場合はST牽引2-3kg。
▶大腿骨骨幹部骨折:
・高エネルギー外傷で起こることが多いので合併損傷に注意。
・脂肪塞栓を起こしやすい。シーネ固定し入院。転位が大きければ整形コール。
各論⑦膝関節
▶大腿骨顆上骨折:膝軽度屈曲位でシーネ固定し入院。転位が大きければ整形コール。
▶脛骨高原骨折:
・膝伸展位で長軸方向の軸圧が加わった時に起こる。
・関節穿刺にて脂肪滴を含む血性関節液が引ける。
▶膝蓋骨骨折:
・膝蓋骨に前面からダイレクトに外力がかかったときに起こる。
・膝伸展位~軽度屈曲位でシーネ固定。
▶膝靭帯損傷:
・膝の内外反ストレスで生じる。事故やスポーツで多い。
・骨折がなくても腫脹が強い場合は、側副靭帯、十字靭帯、半月板の損傷があり、固定した上、整形外科受診をすすめる。
※膝関節の腫脹があるとかなり痛む。関節水腫があるなら、できれば関節穿刺を行い関節液を抜く。
各論⑧脛骨骨幹部、足関節
▶脛骨骨幹部骨折:高エネルギー外傷で起こる。シーネ固定し入院。脂肪塞栓に注意。
▶足関節骨折:足関節内反によることが多い。外果骨折に前脛腓靭帯断裂、後果骨折、内果骨折を合併することが多い。シーネ固定。
▶足関節の靭帯損傷:捻挫か靭帯損傷があるのかは急性期では判断できず。固定して後日整形受診へ。
▶アキレス腱断裂:Thompson testやアキレス腱の陥凹などで診断できる。足関節底屈位(尖足位)でシーネ固定。
▶踵骨骨折:高所転落などで、高エネルギーが垂直方向にかかったときに起こる。皮膚が余裕ない場所のため、腫れると水疱形成などをきたし、手術に困難が生じる。固定して十分に 挙上・冷却を。
▶中足骨骨折:踏まれたりすると中足骨骨折を生じる。つまづいた後に第5中足骨に疼痛があるときは第5中足骨基部骨折を疑う。
▶リスフラン関節脱臼:交通事故や高所転落などで、前足部に垂直方向の圧追力が加わり発生する。整復しないと腫脹し皮膚障害をきたしやすい。