鎖骨、肩鎖関節、肩
▶鎖骨骨折:中1/3での骨折が多い。ついで、遠位鎖骨折、初期治療はクラビクルバンド。(8の字包帯)と三角巾。胸を張って装着すること。
鎖骨骨折はこちらに詳しくまとめました→【画像あり】鎖骨骨折とは?症状、分類、治療、手術適応まとめ!
▶肩鎖関節脱臼→三角巾
▶上腕骨近位端骨折、骨幹部骨折:肋骨骨折用のバスとバンドを用いて、患肢上腕を体幹に巻きつけて固定の上、三角巾。
▶肩関節脱臼:
- 頻度が多いので、非専門医もできることが望ましい。
- 整復法はいろいろある。
- 筋肉をリラックスさせることが必要。
- 疼痛でできないときは喘息がないことを確認して、イソゾール100mg程度を用いる。
- 大結節骨折を合併していることが多く、整復後レントゲンを撮る。
- 三角巾にて固定。外旋位固定が再脱臼率を下げるといわれる。が、初療でそこまでする必要なし。
※肩周囲の外傷はなぜか夜寝るときにかなり痛む。肩甲骨の下に枕を入れるなど工夫するよう説明。痛み止めの処方を忘れずに。
肩関節脱臼についてはこちらに詳しくまとめました→反復性肩関節脱臼の原因は?CT、MRIの画像所見は?
肘(子供編)
▶肘内障:幼児が上肢を引っ張られた時に起こる。必ずこのエピソードを確認する。確認できないときにはレントゲンをとる。整復は肘外側を押さえながら屈曲回外していく。
▶上腕骨顆上骨折:小児に一番多い骨折。活動性が増す幼稚園年長から小学生に多い。肘伸展位で手をついたときに起こる。肘正側面が大事。
▶上腕骨外顆骨折:顆上骨折に次いで多い。顆上骨折と同じくらいの年齢層に多い。肘伸展位で転倒したときに起こる。肘正面で健側と見比べる。
▶上腕骨内顆上骨折:思春期に多い。肘伸展位で転倒。肘関節を安定させる内側側副靭帯が付着している部分であり、転位が大きければ肘関節は脱臼する。
※小児は訴えが分かりにくい。腫れるのも急速。気づかぬうちにコンパートメント症候群になることもある。そのため、肘内障でなければ整形外科をコールする。(特に転位が認められる場合は)
肘(共通編)
▶上腕骨顆骨折:上腕骨遠位fossa部の骨は薄く、この部位の骨折は偽関節となりやすい。シーネ固定。
▶肘頭骨折:肘頭を打った時に多い。シーネ固定。
▶橈骨頭骨折:肘伸展位で転倒したときに多い。Essex-Lopresti型という。手関節の障害(遠位橈尺関節の尺骨頭長軸脱臼)を来すことがあるので、手関節までシーネ固定。
▶肘関節脱臼:肘伸展位で受傷した際に多く、ほとんどが後方脱臼。整復が必要。整形外科コール。
前腕
▶Monteggia脱臼骨折:
- Pit fall!尺骨骨幹部骨折を見たら必ず、肘正側面をとり、橈骨頭脱臼がないことを確認。
- 橈骨頭前方脱臼は後骨間神経麻痺を合併する。後骨間神経はpure motorであるため、知覚障害を伴わない。後骨間神経は長手根伸筋以遠を支配するので、手関節の背屈はできるが、指の伸展ができないのが特徴。
- 整形外科医をコール。
手関節
▶橈骨遠位端骨折:手をついて転倒した時に多く、高齢者に多い。上腕から手関節までのシーネ固定。
▶舟状骨骨折:
- 手をついて受傷することが多い。疼痛はそれほどでもないことがあり、見逃され、偽関節となることがある。
- Anatomical snuff box,distal pole,proximal poleに圧痛があるときに疑う。舟状骨3方向でレントゲン。診断することよりも、疑って後日整形受診させる方が重要。
▶舟状骨月状骨解離、月状骨周囲脱臼:
- これも手をついて受傷することが多い。疼痛がそれほどでもなく見逃されやすい。
- 手関節正面でGilula’s arcの乱れをみることがわかりやすい。診断することよりも、疑って後日整形受診させる方が重要。
- 手関節の外傷はTFCC損傷の可能性もあり、手関節捻挫と診断しても、後日整形受診が必要。
指
▶中手骨骨折:
- 掌側シーネ固定。注意すべきは第5中手骨の頸部骨折。別名ボクサー骨折。
- 人や壁などを殴った時に折れる。皮膚の観察が重要。ヒト咬傷になっていることがある。
▶基節骨以遠の骨折:掌側シーネ固定。隣の指とBuddy-tapeした方が安定。
▶PIP脱臼:
- 掌側脱臼はOberst麻酔下に整復を試みる。整復できれば伸展位で掌側シーネ固定。
- 整復できなければ伸筋腱が介在している可能性が高く手術を要する。
- 背側脱臼は中節骨のlipの骨折を伴う。軽度屈曲位で掌側シーネ固定。
▶槌指変形(mallet finger):
- 突き指で起こる。伸筋腱の末節骨付着部での断裂。DIP伸展位でのシーネ固定。
- 小骨片を伴う場合(骨性マレット)は手術適応