異所性膵(迷入膵)とは?
- 異所性膵(ectopic pancreas)とは解剖学的にも血行学的にも連続性を持たず、他臓器中に存在する膵組織と定義される。
- 先天性の解剖学的異常。
- 剖検例の2~14%にみられ、多くが無症状であるため他疾患で画像検査を施行されるなどにより偶然発見される場合が多い。
- ほとんどが消化管の粘膜下病変として存在し、発生部位は十二指腸(29%)、胃 (27%)、空腸(16%)、回腸(6%)、メッケル憩室(6%)と続く。
病理学的分類としてHeinrich分類
- I型は導管、膵腺房細胞、ランゲルハンス島からなるもの、
- Ⅱ型はランゲルハンス島を欠き膵腺房細胞、導管を有するもの、
- III型は導管とその周囲の平滑筋線維の増生がみられるもの
である。
- 合併症として膵炎、膵仮性嚢胞、消化管出血、イレウス、膵癌の報告がある。
- 異所性膵からの癌化の報告は稀であることから予防的切除の必要はなく、保存的に経過観察可能であるとされ、上記合併症や有症状である場合に切除が考慮される。
異所膵の画像所見
- 造影効果が膵とほぼ同様である点、MRCPで膵管の描出を認める点が診断に有用とされる。
- ただし、Ⅱ型が最多で、必ずしも膵臓組織と同じでないこともある。
- 大きさ0.5〜3cmが大部分。
- 嚢胞を示す異所性膵もある。
- 画像検査では消化管粘膜下腫瘤として描出される場合が多く、鑑別にはGISTやカルチノイド、 デスモイド、Lymphomaや他臓器癌からの転移などが挙がる。
症例 50歳代男性
造影CTにおいて正常膵と連続性を持たない膵臓とほぼ同程度の造影効果を示す分葉状構造あり。
十二指腸と連続性あり。
MRIでは、T1WIで正常膵と等信号〜やや低信号、造影効果はほぼ同じ。脂肪抑制T2WIでは正常膵よりやや高信号が目立たない。
正常膵と似た信号パターンですが、全く同じではないことがわかります。
異所性膵としてフォローされています。
分かりやすい