巨大脳槽とくも膜嚢胞
巨大大槽(mega cisterna magna)
- 小脳と延髄結合部のくも膜下腔(大槽)が拡大した状態。
- 大槽は上面が小脳虫部下部、前面が延髄、後面は後頭上骨の正中部で囲まれたくも膜下腔のこと。
- 脳脊髄液と同じ成分。
- Dandy-Walker complexの1型とする考え方もある。
症例 70歳代女性
小脳背側にT2WI高信号あり。
FLAIRでは信号を認めず、脳脊髄液と同じ。
矢状断像では、くも膜下腔と連続している様子がわかり、巨大大槽(mega cisterna magna)と診断される。
くも膜嚢胞(arachnoid cyst)
- 脳脊髄液が嚢胞状にくも膜下腔に貯留したもの。
- くも膜下腔が存在するいかなる場所にも発生する。
- 中頭蓋窩(50-60%)、小脳橋角部(10%)、鞍上部(10%)
巨大脳槽とくも膜嚢胞の鑑別1)
水頭症を起こすような巨大なくも膜嚢胞の場合は、鑑別が必要になることもあるが、両者は鑑別の必要もないことが多い。
両者は区別が困難な場合もあるが、
- 嚢胞が第4脳室(くも膜下腔)と連続せず、小脳および第4脳室脈絡叢の前方への圧排があればくも膜嚢胞。
- 嚢胞が第4脳室(くも膜下腔)と交通し、小脳の圧排がみられなければ巨大脳槽。
を考える。
嚢胞による後頭骨内板の侵食は両者に見られうるため、鑑別点とはならない。
参考文献:
1)臨床画像 vol.27,No.1,2011 P4