先に結論:造影剤の濃度・量・注入ルート

  • 造影剤の量・濃度・注入速度と、アレルギー様の副作用の起こりやすさには明らかな関係がありません(速いと熱感は増えます)
  • 注入は右肘の静脈が最適です。左からだと左腕頭静脈を通る距離が長く、静脈内の高濃度造影剤によるアーチファクトや頸静脈への逆流が起こりやすくなります
  • 留置針は細い22Gで血管外漏出が多く、手背より肘窩が漏れにくいとされます
  • 高速注入には耐圧のある留置針と延長チューブを使い、既存の点滴ルートやCVポートは耐圧を確認してから使います。造影剤を体温程度に温めると粘りが下がり、注入しやすくなります

造影剤濃度、量と副作用の関係

  • 造影剤投与量と副作用発現率に相関はない。(Radiology 175:621-628(1990))
  • 造影剤濃度と副作用発現率に相関はない。(Appl Radiol 31(3):34-37(2002))
  • 造影剤濃度と腎機能への影響に相関はない。(Acta Radiol 37:962-965(1996)、Contrast Media in Radiology:211-214(1982))

自動注入器を用いて造影剤を注入する際の留意点

  • 急速注入の際には、注入圧が高くなるため、留置針を用いて耐圧性の高い延長チューブを使用する。
  • 血管外漏出に対するモニターをする。患者さんの反応、注入部位の疼痛、膨隆、腫脹、違和感など。CT 69,657件の非イオン性ヨード造影剤静注の検討では、血管外漏出は0.7%に起こり、ほとんどは軽微か無症状であった。中等度以上の障害(コンパートメント症候群など)はまれで、多くは漏出量が多い場合(成人ではほぼ50mL以上)にみられた。

どの血管から造影剤を注入するべきか?

  • 右肘静脈がベスト。
  • 左肘静脈だと、心臓に到達するまでの距離が長いため(さらに頸静脈は右のほうが左よりも流速が速く、左の場合は内頸静脈への逆流の可能性があるため)に、造影剤の到達時間の遅延、静脈内の造影剤のアーチファクトによる、動脈描出の妨げ、3D画像作成での骨との分離困難、末梢に到達する造影剤のボーラス性の減少といった問題が生じる可能性あり。(ちょっと役立つ造影検査に関する話題CT編 Contrast media in Practice(ver.2.0)日本放射線科専門医会・医会、バイエル薬品株式会社 P52)
  • 左右を比べた研究でも、左腕からの注入で静脈周囲のアーチファクトと頸部静脈への逆流が強く(Demirpolat 2011)、左の中心静脈は右より狭くなりやすい(Yun 2012)と報告されている。
  • 手背や足の静脈はできるだけ避ける。

留置針のゲージ(太さ)と注入速度

  • CT 4,457例では、血管外漏出(1.2%)は造影剤の濃度・注入速度・量と関係がなく、22Gの留置針で最も多く(2.2%)、20Gでは手背が肘窩より多かった(1.8%と0.8%)(Wienbeck 2010)。
  • 22G・20Gの留置針でも、多くの患者で22Gは3mL/秒、20Gは5mL/秒まで注入できた(Schwab 2009)。注入前に生理食塩水でスムーズに流れるかを確かめる。

耐圧ルート(耐圧チューブ)とは?なぜ必要?

  • 自動注入ではルートに高い圧がかかるため、通常の点滴用チューブでは外れや破損のおそれがあるため、耐圧性が表示された延長チューブ(耐圧チューブ)を使う。

造影剤を投与するルートの注意点

  • 既存ルートでは耐圧性に乏しいため、新たなルート確保することが望ましい。
  • ただし、新たなルート確保が困難な場合は、生理食塩水でフラッシュして、他の薬剤と造影剤が混ざらないようにする。また、既存ルートでは高速注入は行わないのが望ましい。
  • 薬剤どうしの接触は何が問題か? 抗ヒスタミン薬や、ステロイドなどと混合されることにより配合変化が生じる可能性あり。
  • IVHやリザーバーカテーテルから造影剤を投与してもよいか?耐圧性が高くないため避けるべき。どうしても使うなら、カテーテルの耐圧リミットを確認する。

造影剤の加温、注入速度、血管外に付着した場合の注意点

  • 造影剤を加温した方がいいか? 特に細い針を使用し、高速注入するときは加温した方がよい。粘稠度が下がるため(X線造影剤 基礎と臨床の概要P14(2012))。
  • 造影剤の加温により血管外漏出の頻度が低下する可能性を示唆する報告あり(Radiology 262(2):475-484(2012))この報告では、37℃への加温をやめると、粘りの強いイオパミドール370で血管外漏出(0.27%→0.87%)と有害事象全体(0.43%→1.25%)が増えたが、イオパミドール300では差がなかった。
  • 造影剤の注入速度と副作用発現率に相関はない。熱感などの頻度は増加(Radiology 209(2):411-416(1998))。
  • ヨード造影剤が眼にはいったり、衣服についたら? 特に心配はない。微温湯や水、生理食塩水で洗浄すればよい。

(ちょっと役立つ造影検査に関する話題CT編 Contrast media in Practice(ver.2.0)日本放射線科専門医会・医会、バイエル薬品株式会社 P52-53)

あわせて読みたい:造影剤の血管外漏出とは?症状・対応・処置と注意すべきコンパートメント症候群

参考文献

  1. Katayama H, Yamaguchi K, Kozuka T, et al. Adverse reactions to ionic and nonionic contrast media. A report from the Japanese Committee on the Safety of Contrast Media. Radiology. 1990;175(3):621-8. PubMed
  2. Jacobs JE, Birnbaum BA, Langlotz CP. Contrast media reactions and extravasation: relationship to intravenous injection rates. Radiology. 1998;209(2):411-6. PubMed
  3. Davenport MS, Wang CL, Bashir MR, et al. Rate of contrast material extravasations and allergic-like reactions: effect of extrinsic warming of low-osmolality iodinated CT contrast material to 37 degrees C. Radiology. 2012;262(2):475-84. PubMed
  4. Bae KT. Intravenous contrast medium administration and scan timing at CT: considerations and approaches. Radiology. 2010;256(1):32-61. PubMed
  5. Wang CL, Cohan RH, Ellis JH, et al. Frequency, management, and outcome of extravasation of nonionic iodinated contrast medium in 69,657 intravenous injections. Radiology. 2007;243(1):80-7. PubMed
  6. Wienbeck S, Fischbach R, Kloska SP, et al. Prospective study of access site complications of automated contrast injection with peripheral venous access in MDCT. AJR Am J Roentgenol. 2010;195(4):825-829. PubMed
  7. Schwab SA, Uder M, Anders K, et al. Peripheral intravenous power injection of iodinated contrast media through 22G and 20G cannulas: can high flow rates be achieved safely? A clinical feasibility study. Rofo. 2009;181(4):355-361. PubMed
  8. Demirpolat G, Yüksel M, Kavukçu G, et al. Carotid CT angiography: comparison of image quality for left versus right arm injections. Diagn Interv Radiol. 2011;17(3):195-198. PubMed
  9. Yun EJ, Yoon DY, Han A, et al. Central venous stenosis of left versus right arm: its prevalence and effects on image quality in CT of the neck. Eur J Radiol. 2012;81(2):e126-e131. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →