遠位上腕二頭筋腱断裂 MRIとFABS撮像

遠位上腕二頭筋腱断裂とは、肘の前を通って橈骨粗面に付く上腕二頭筋の腱が、付着部の近くで切れるけがです。肘のMRIで「腱が見えない」「一部だけ切れている」と読んだあと、その先に何を書けばよいか迷ったことはありませんか。研修医のハジメくんと一緒に、部分断裂と完全断裂の見分け方、FABS撮像の使いどころ、lacertus fibrosusと断端の引き込みの関係を整理します。

先に結論

  1. 遠位上腕二頭筋腱断裂とは、橈骨粗面に付く上腕二頭筋の腱が切れるけが。中年男性に、肘を曲げて力を入れたところを急に伸ばされる力(遠心性収縮)で起こることが多い。
  2. MRIでは腱症・部分断裂・急性の完全断裂・慢性の完全断裂を区別し、断端の引き込みの長さとlacertus fibrosusが残っているかを書く。部分断裂は小さく見積もられることがある。
  3. FABS撮像は腱を1断面に長く写す撮り方。損傷の程度の判定や、高度の部分断裂か完全断裂かで迷う例で役立つが、正診率は変わらなかった報告もあり、全例に要るわけではない。

目的から読む: 遠位上腕二頭筋腱断裂とは / 解剖(橈骨粗面・腱膜) / 症状・逆ポパイ変形 / MRI所見 / 部分断裂 / FABS撮像 / lacertus fibrosusと引き込み

遠位上腕二頭筋腱断裂とは? 肘の前で腱が切れるけが

上腕二頭筋の下の腱(遠位腱)が、肘の前で橈骨粗面からはずれる・切れるけがです。上腕二頭筋の腱の断裂の大半は肩の側の長頭腱で、遠位の断裂は全体の3%ほどと少なく、発生は10万人あたり年1.2〜2.55人と報告されています(Jaschke 2023)。

ハジメハジメ(研修医)
先生、遠位上腕二頭筋腱断裂って、上腕二頭筋が肩のほうで切れるのと同じものですか?「力こぶがおかしい」って言われたら、全部同じだと思っていました。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
同じ筋肉ですが、切れる場所が違います。上腕二頭筋は、肩の側では長頭と短頭の2本の腱、肘の側では1本の腱になります。今日は肘の側、橈骨に付くほうの話です。どちらで切れたかで、力こぶの動く向きも、撮る場所も変わりますよ。

遠位上腕二頭筋腱の解剖: 橈骨粗面とlacertus fibrosus

腱は肘の前を斜めに走って橈骨粗面に付き、途中から腱膜(lacertus fibrosus)が内側の前腕屈筋群の筋膜へ広がります。読影では、この「腱」「付着部」「腱膜」の3つを分けて見ます。

腱は橈骨粗面に付き、腱膜が内側へ広がる

上腕二頭筋は、肩甲骨から始まる長頭と短頭の2つの頭をもつ筋肉で、上腕の前を下って1本の腱になり、肘の前を通って橈骨の内側にある橈骨粗面に付きます。働きは肘を曲げることと、前腕を外にひねる(回外)ことです。遠位の腱でも長頭と短頭の線維は分かれており、橈骨粗面では長頭が近位側、短頭が遠位側に付く形が示されています(Jaschke 2023)。同じ総説では、短頭は肘を曲げる力に、長頭は回外の力により大きく関わると説明されています(Jaschke 2023)。

腱の途中からは、薄い膜状の腱膜が内側へ広がり、前腕の屈筋群の筋膜に合流します。これがlacertus fibrosus(上腕二頭筋腱膜)です。腱が切れても腱膜が残っていると、腱の断端が上へ大きく縮むのを防ぎます。肘関節のMRIの正常解剖は肘関節MRIを読影する上で知っておくべき正常解剖、骨の解剖は肘関節の骨の解剖図で解説しています。

構造 画像で見るときのポイント
遠位上腕二頭筋腱 肘の前を斜めに走り、橈骨粗面へ向かう。肘を伸ばした通常の横断像では、腱が何枚もの断面にまたがって写る
橈骨粗面 腱の付着部。付着部の骨髄浮腫や、付着部からの腱の欠損を見る
lacertus fibrosus 腱から内側の前腕屈筋の筋膜へ広がる薄い膜。断裂の有無が断端の引き込みに関係する
二頭筋橈骨滑液包 腱と橈骨のあいだにある滑液包。部分断裂や腱症で液体がたまることがある

なお、肩の側の上腕二頭筋長頭腱の損傷(腱鞘炎・断裂・脱臼)は別の病気で、上腕二頭筋長頭腱のMRI・エコーで解説しています。

遠位上腕二頭筋腱断裂の原因と症状: 逆ポパイ変形とHook test

多くは中年の男性が重い物を持ち上げるときなど、肘を曲げて力を入れたところに急に伸ばす力が加わって起こります。症状は肘の前の痛みと、力こぶが上へ移る「逆ポパイ変形」、肘を曲げる・前腕を外へひねる力の低下です。

ハジメハジメ(研修医)
重い荷物を持ち上げたときに肘の前で「ブチッ」として、力こぶの形が変わった患者さんです。力こぶが変形しているなら、ポパイ徴候ですよね?
ごろ〜ごろ〜(指導医)
いいところまで来ています。では、腱が肘の側で切れたら、筋肉はどちらへ縮むと思いますか?ゴムひもの下の端を放したところを想像してみてください。
ハジメハジメ(研修医)
あっ…上に縮みます。肩の側で切れたときは下に落ちるから、向きが逆なんですね。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
そのとおりです。だから「逆ポパイ変形」と呼びます。力こぶの位置が上か下かは、どちらの腱を撮るかを決める手がかりになります。

遠位上腕二頭筋腱断裂は比較的まれなけがで、主に中年の男性に、肘を曲げて力を入れているところに急に伸ばされる力が加わったとき(遠心性の収縮)に起こります(Jaschke 2023)。患者の95%以上が中年男性で、重い物を持ち上げる活動的な生活の人に多く、背景には喫煙・高いBMI・使いすぎ・年齢などの変性の要因があるとされます(Jaschke 2023)。症状は肘の前の痛みと、力こぶの位置が上に移る変形です。肩側の長頭腱が切れたときに力こぶが下へ落ちる「ポパイ徴候」と逆の向きになるため、「逆ポパイ変形」と表現されます。肘を曲げる力が30〜40%、回外の力が50%以上落ちることが多いと報告されています(Jaschke 2023)。

ハジメハジメ(研修医)
診察で完全断裂かどうかは、わかるものなんですか?
ごろ〜ごろ〜(指導医)
Hook testが役立ちます。肘を90度に曲げて前腕を回外し、肘の前で腱に外側から指をかけます。内側からかけると、残った腱膜(lacertus fibrosus)に指がかかって、切れているのに「ある」と感じてしまうことがあります(Jaschke 2023)。腱膜は、MRIでもあとで大事になりますよ。

診察では、肘の前で指を腱にかけるHook testが完全断裂の診断に役立ちます(Vishwanathan 2021)。完全断裂の多くは、診察で筋肉の近位への移動と特有のテストから診断でき、必要に応じて超音波やMRIで確かめます(Jaschke 2023)。X線は通常撮られますが、検査の中心はMRIです(Vishwanathan 2021)。

遠位上腕二頭筋腱断裂のMRI所見: 腱症・部分断裂・完全断裂の見分け方

MRIでは、腱の連続性が保たれているか(腱症・部分断裂)、橈骨粗面から腱がはずれているか(完全断裂)を見て、完全断裂なら断端がどこまで引き込まれたか、新しいか古いかまで判断します。

ハジメハジメ(研修医)
MRIでは「切れているか、切れていないか」がわかれば十分ですか?
ごろ〜ごろ〜(指導医)
それだけだと、整形外科医が次の一手を決めにくいんです。部分か完全か、新しいか古いかで治療の考え方が変わります。4つの状態に分けて考えてみましょう。

4つの状態を区別する

診察と画像の目的は、腱症・部分断裂・急性の完全断裂・慢性の完全断裂を区別することです(Vishwanathan 2021)。治療の考え方がそれぞれ違うためです。完全断裂には手術(橈骨粗面への再固定)が勧められ、部分断裂や活動性の低い人の完全断裂では保存的治療も選ばれます(Vishwanathan 2021)。部分断裂では、腱の50%未満の損傷ならまず保存的治療、50%を超える損傷なら手術が勧められるとする考え方が紹介されています(Jaschke 2023)。

状態 MRIの見え方
腱症 腱が太くなり、腱の中の信号が上がる。腱の連続性は保たれる
部分断裂 腱の一部の線維が途切れる、付着部で腱が細くなる、腱の中に液体の信号が入る。周りの滑液包に液体がたまる
急性の完全断裂 橈骨粗面から腱がはずれ、断端が上へ引き込まれる。断端のまわりに血腫・浮腫
慢性の完全断裂 断端が大きく引き込まれ、瘢痕や筋の萎縮を伴う。修復に移植腱が必要になることがある(Alotaibi 2026)

MRIと超音波の比べ方

手術で確かめられた31人で、手術前のMRIと超音波を比べた研究では、完全断裂の診断の正確さはMRIが86.4%、超音波が45.5%でした(Lynch 2019)。部分断裂では、どちらも66.7%でした。全体の正確さはMRIが80.6%、超音波が51.6%で、著者らはMRIが断裂の型を正しく見分けるのに向くとしています。超音波は手軽で安価ですが、検査する人の技量に左右されやすいとされます(Jaschke 2023)。

遠位上腕二頭筋腱の部分断裂: MRIで小さく見積もられる

部分断裂はMRIで実際より軽く読まれることがあります。手術で50%を超える断裂だった人の約3割が、手術前のMRIでは「断裂なし」と読まれていました(Schmidt 2025)。

ハジメハジメ(研修医)
MRIで部分断裂、それも軽いと書いてあれば、手術にはならない軽いけがと考えていいですよね?
ごろ〜ごろ〜(指導医)
そこは一度立ち止まりましょう。MRIは部分断裂を小さく見積もることがある、とわかっています。とくに、けがのきっかけがはっきりせず少しずつ痛くなった人で起こりやすいんです。診察の所見と食い違うときは、MRIの読みのほうを疑ってみる価値があります。

部分断裂はMRIで小さく見積もられる

部分断裂の評価は難しく、MRIで過小評価されることがあります。手術で部分断裂を治療した68人を見直した研究では、手術時の断裂は全員が50%を超えていましたが、手術前のMRIでは20人(29%)が断裂なしと読まれ、高度の断裂を正しく指摘できた感度は44%でした(Schmidt 2025)。痛みが少しずつ始まった人では、外傷をきっかけとした人より高度の断裂と読まれにくい結果でした(27%と55%)。症状が出てからMRIを撮るまでの期間は、高度の断裂と読めるかどうかとはっきりした関係がありませんでした(Schmidt 2025)。

FABS撮像とは? 腱の全長を1断面で写す撮り方

FABSは肘を曲げ、肩を外に開き、前腕を回外した姿勢で撮るMRIです。斜めに走る腱が筋腱移行部から付着部まで1枚の断面に写りやすくなります。

ハジメハジメ(研修医)
ふつうの肘のMRIの横断像だと、腱がどこにあるのか追いかけるだけで迷子になります…。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
腱は肘の前を斜めに走って、奥の橈骨へもぐり込みます。肘を伸ばした横断像では、その腱を何枚もの断面で輪切りにしているわけです。ホースを斜めに切ると、どの切り口も楕円の点にしか見えませんよね。

腱の全長を1断面で写す

FABSは、Flexed elbow(肘を曲げる)、Abducted shoulder(肩を外に開く)、forearm Supinated(前腕を外にひねる)の頭文字です。患者はうつぶせで腕を頭の上に挙げ、肘を90度に曲げて前腕を回外した姿勢をとります(Jaschke 2023)。この姿勢では、遠位上腕二頭筋腱が筋腱移行部から付着部まで1枚の断面にまっすぐ写りやすくなります(Jaschke 2023)。

マサマサ(技師)
……FABSは、腕を頭の上に挙げたまま肘を曲げた形を保ってもらう撮り方なんですよね。その間に腕が少しでも動くと、細い腱がぼけます。撮るなら、何を知りたいのかを依頼に一言書いてもらえると、時間をかける所を決めやすいです。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
撮る側の負担もあるわけですね。では、その手間に見合うだけの効果があるのか、報告を見てみましょう。

FABSの効果は報告によって違う

FABSの役割は研究によって評価が分かれます。主な2つの報告を表にまとめます。

報告 結果
Schenkels 2020(手術で確かめた50人と対照50人) 部分断裂の感度・特異度はFABS 84%・86%、通常の撮像76%・98%で有意差なし。損傷の程度の判定はFABSが有意に正確。読影者間の一致は損傷群でFABS 92%、通常68%
Tiegs-Heiden 2021(肘のMRI 46件) FABSを加えると読影の確信度が上がった(10点中7.16→8.37)。手術で確かめた例での正診率は変わらず(0.651と0.615)。多くの例ではFABSの追加は勧めないが、高度の部分断裂か完全断裂かで迷う例では、わずかに残る腱の線維を見つけるのに役立つことがある

まとめると、FABSは「全部の例に必須」ではなく、部分断裂の程度や、完全断裂かどうかで迷う例で特に役立つ撮像と考えられます。撮像の方法は施設によって異なります。

lacertus fibrosusと断端の引き込み: 腱が「見えない」ときの読み方

完全断裂で断端がどこまで縮むかは、lacertus fibrosusが残っているかどうかに左右されます。腱膜も切れると断端は上腕の中へ大きく引き込まれ、筋肉の中に丸まって「腱がない」ように見えることがあります。

ハジメハジメ(研修医)
肘の近くを探しても腱が見つからないMRIがありました。腱がなくなっているなら、もう縫えないですよね?
ごろ〜ごろ〜(指導医)
そう思いたくなりますが、もう少し上まで探してみましょう。切れた腱が、亀が首を甲羅に引っこめるように、筋肉の中に丸まって入り込んでいることがあります。これを turtle neck sign と呼んだ研究があります。

腱が全部切れたとき、断端がどれだけ上へ縮むかには、lacertus fibrosusが続いているかどうかが関わります(Vishwanathan 2021)。腱膜が残っていれば断端は肘の近くにとどまりやすく、腱膜も切れると断端は上腕の中へ大きく引き込まれます。慢性の断裂では、腱膜が保たれていない限り、瘢痕と近位へ縮んだ腱のために橈骨粗面への再固定が難しくなるとされます(Jaschke 2023)。

矢状断のMRIで、引き込まれた腱を「まっすぐ縮んだもの」と「筋肉の中に丸まって入り込んだもの(turtle neck sign)」に分けた研究があります(Boonrod 2022)。37人のうち、まっすぐの引き込みは19人で長さは7cm未満(平均3.3±1.9cm)、turtle neckの引き込みは18人で7cm以上(平均9.1±1.6cm)でした。turtle neckの群では、Hook testの異常、完全断裂、lacertus fibrosusの断裂がいずれも100%で、まっすぐの群(58%、68%、37%)より多くみられました。

引き込みの型(Boonrod 2022) 引き込みの長さ lacertus fibrosusの断裂
まっすぐの引き込み(19人) 7cm未満(平均3.3cm) 37%
turtle neck(18人) 7cm以上(平均9.1cm) 100%

MRIで腱が短い、または見えないとき、修復できない腱と判断されがちですが、腱が筋肉の中に丸まっているだけのことがあります(Boonrod 2022)。この研究では、2つの型のあいだで修復できるかどうかに有意な差はありませんでした。

引用元の図 慢性の遠位上腕二頭筋腱断裂のMRI

慢性遠位上腕二頭筋腱断裂の矢状断・冠状断T2強調MRI
引用:Alotaibi AM, et al. Two-year delayed reconstruction of chronic distal biceps tendon rupture with allograft: a case report. J Surg Case Rep. 2026 (Figure 2)。PMC13033150(CC BY-NC 4.0)

受傷から2年たって受診した33歳男性のボディビルダーです(Alotaibi 2026 Figure 2)。

  • A 矢状断T2強調像:切れた遠位上腕二頭筋腱の断端が、上へ大きく引き込まれています。
  • B 冠状断T2強調像:橈骨粗面に腱が見られず、全層の断裂に一致します。

診察では逆ポパイ変形と強い筋力の低下があり、MRIでは大きな引き込みと筋の萎縮を伴う完全断裂でした。アキレス腱の移植腱で再建されています(Alotaibi 2026)。

読影レポートに書き添えること

読影では、引き込みの長さと、断端がどこにあるか、腱膜が残っているかを書き添えると、手術の計画に役立ちます。

ハジメハジメ(研修医)
「完全断裂」と書いたら終わりだと思っていました。引き込みの長さと腱膜まで書くんですね。
ごろ〜ごろ〜(指導医)
手術をする側が知りたいのは「どこまで探せば腱があるか」と「縫いやすそうか」です。部分断裂なら、どのくらいの割合が切れていそうか。それを順に書けば、読影はぐっと役に立つものになります。肘の後ろの腱が切れる上腕三頭筋腱断裂は、上腕三頭筋付着部炎・腱断裂のテストと画像診断で、診察のテストと画像の見方を合わせて確かめられます。

よくある勘違い

Q. 力こぶが変形していれば、ポパイ徴候(長頭腱断裂)と考えてよい?

いいえ。肘の側の遠位腱が切れると、筋肉は上へ縮んで力こぶが上に移ります(逆ポパイ変形)。肩の側の長頭腱断裂では下へ落ちます。向きで、撮る場所が変わります。

Q. MRIで「軽い部分断裂」なら、実際も軽い?

そうとは限りません。手術で50%を超える部分断裂だった人のうち29%が、手術前のMRIで断裂なしと読まれていました(Schmidt 2025)。痛みが少しずつ始まった人で起こりやすく、診察の所見と合わせて判断します。

Q. 肘の近くに腱が見えなければ、修復できない?

決められません。腱膜(lacertus fibrosus)も切れると、腱が上腕の筋肉の中に丸まって入り込み、腱がないように見えることがあります(turtle neck sign)。この研究では、まっすぐの引き込みとのあいだで修復できるかどうかに有意な差はありませんでした(Boonrod 2022)。

今日のまとめ

  1. 力こぶが上へ移れば肘の側の遠位腱断裂(逆ポパイ変形)。中年男性の遠心性収縮が典型。
  2. MRIは部分か完全か・新しいか古いかを分け、引き込みの長さ・断端の位置・lacertus fibrosusまで書く。部分断裂は小さく見積もられることがある。
  3. FABSは腱を1断面に長く写す撮り方。全例ではなく、程度の判定や部分か完全かで迷う例で役立つ。

根拠(もう少し詳しく): 要点と出典

項目 ポイント
どんなけがか 比較的まれで、中年男性の遠心性収縮で起こることが多い(Jaschke 2023)
MRIで見ること 腱症・部分断裂・急性の完全断裂・慢性の完全断裂の区別(Vishwanathan 2021)、引き込みの長さ、lacertus fibrosus
FABS撮像 読影の確信度と損傷程度の判定が上がった報告(Tiegs-Heiden 2021、Schenkels 2020)。正診率は大きく変わらない
部分断裂の落とし穴 手術で50%を超える部分断裂だった68人のうち、MRIで断裂なしと読まれたのが29%(Schmidt 2025)
lacertus fibrosus 残っているかどうかで断端の引き込みの程度が変わる(Vishwanathan 2021、Boonrod 2022)

参考文献

  1. Jaschke M, Rekawek K, Sokolowski S, et al. Distal biceps tendon rupture: a comprehensive overview. EFORT Open Rev. 2023;8(11):865-873. PubMed
  2. Vishwanathan K, Soni K. Distal biceps rupture: Evaluation and management. J Clin Orthop Trauma. 2021;19:132-138. PubMed
  3. Tiegs-Heiden CA, Frick MA, Johnson MP, et al. Utility of the FABS MRI sequence in the evaluation of distal biceps pathology. Skeletal Radiol. 2021;50(5):895-902. PubMed
  4. Schenkels E, Caekebeke P, Swinnen L, et al. Is the flexion-abduction-supination magnetic resonance imaging view more accurate than standard magnetic resonance imaging in detecting distal biceps pathology? J Shoulder Elbow Surg. 2020;29(12):2654-2660. PubMed
  5. Schmidt GJ, Fischer JP, Hoyer RW, et al. Accuracy of MRI in Assessment of High-Grade Partial Distal Biceps Tears. Hand (N Y). 2025;20(2):291-295. PubMed
  6. Lynch J, Yu CC, Chen C, et al. Magnetic resonance imaging versus ultrasound in diagnosis of distal biceps tendon avulsion. Orthop Traumatol Surg Res. 2019;105(5):861-866. PubMed
  7. Boonrod A, Harasymczuk M, Ramazanian T, et al. The Turtle Neck Sign: Identification of Severe Retracted Distal Biceps Tendon Rupture. Orthop J Sports Med. 2022;10(1):23259671211065030. PubMed
  8. Alotaibi AM, AlNahari AS, Korkoman AJ, et al. Two-year delayed reconstruction of chronic distal biceps tendon rupture with allograft: a case report. J Surg Case Rep. 2026;2026(3):rjag211. PubMed

症例画像は各図の引用元のとおりです。

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