門脈圧亢進に伴う側副血行路
- 門脈圧が上昇すると、門脈に血流が還れなくなり、正常では求肝性の血流の一部が遠肝性となり、側副血行路が形成される。(門脈に帰れないので遠回りしてIVC,SVCに帰る)
- 原因としては肝硬変が最も多く、その他、特発性門脈圧亢進症、Budd-Chiari症候群、肝外門脈閉塞症など。
- 遠肝性の側副路の1つである食道・胃静脈瘤などの消化管静脈瘤は、破裂すると出血により命に関わる。
- 側副路が肝性脳症の発生に大きく関与している事も多い。
- そのため、側副血行路を評価することは、治療方針決定を含めて極めて重要。
正常の門脈血の流れ
- 門脈圧亢進のない状態だと、下のように、
- 上腸間膜静脈←食道下部、胃、十二指腸、小腸、上行結腸、横行結腸
- 下腸間膜静脈←下行結腸、S状結腸、直腸上部
- 脾静脈←脾臓、胃、膵臓
へと合流し、それらが門脈へと合流する。
遠肝性側副血行路(門脈に帰れないので遠回りしてIVC,SVCに帰る)
- 噴門部・食道静脈瘤(cardiac and esophageal varices)
- 胃腎短絡路(gastro-renal shunt:G-R shunt)
- 脾腎短絡路(spleno-renal shunt:S-R shunt)
- 傍臍静脈(paraumbilical vein)
- 直腸周囲静脈瘤
- 腸間膜静脈瘤
- 肝内門脈瘤(門脈-肝静脈短路)
- 精巣・卵巣静脈瘤
噴門部・食道静脈瘤(cardiac and esophageal varices)
胃腎短絡路(gastro-renal shunt:G-R shunt)/脾腎短絡路(spleno-renal shunt:S-R shunt)
傍臍静脈(paraumbilical vein)
直腸静脈瘤
症例 50歳代 男性 肝硬変
肝硬変あり。直腸に静脈の発達あり。側副血行路の発達を疑う。