
先に結論:尿管結石は何ミリで自然に出る?
- 4mm以下:多くが自然に出る(研究によって約8〜9割以上)
- 5〜6mm:出ることも多いが、出ない人が増えてくる
- 7mm以上:自然に出る割合は下がり、治療(砕く・取り出す)を考えることが増える
- 膀胱に近い下のほうにある石ほど出やすく、腎臓に近い上のほうは出にくい
- 発熱+石の詰まりは急いで受診(腎盂腎炎・敗血症の危険)

尿管結石とは
尿管(にょうかん)は、腎臓でつくられた尿を膀胱へ運ぶ細い管です。腎臓でできた石がこの管に落ちてきて詰まると、背中やわき腹の激しい痛み(腎疝痛)や血尿が起こります。これが尿管結石です。
石が尿の流れをふさぐと、腎臓に尿がたまって腎盂(じんう)がふくらみます。これを水腎症(すいじんしょう)といいます(くわしくは「水腎症とは?」)。
大きさ別の「自然に出る割合」
CTで測った石の大きさと、自然に出た割合を調べた研究を2つ紹介します。
| 石の大きさ(CTで測定) | 自然に出た割合 (Jendeberg 2017・20週まで) |
自然に出た割合 (Coll 2002) |
|---|---|---|
| 2mm以下 | 98% | 1mm:87% |
| 3mm | 98% | 2〜4mm:76% |
| 4mm | 81% | |
| 5mm | 65% | 5〜7mm:60% |
| 6mm | 33% | |
| 6.5mm以上 | 9% | 7〜9mm:48% 9mmより大:25% |
数字が研究ごとに少し違うのは、石の測り方(幅か長さか)や追跡した期間、薬の使い方などが違うためです。どちらの研究でも「小さいほど出やすい」「5〜6mmを超えると出にくくなる」という傾向は同じです。
出るまでの日数の目安もあります。米国の研究では、平均で2mm以下は約8日、2〜4mmは約12日、4mm以上は約22日でした。95%の石が出るまでには、2mm以下で31日、2〜4mmで40日、4〜6mmで39日かかっていました。また5mmを超える石の約半数で治療が必要でした(Miller 1999)。
痛みへの対処は「尿管結石の痛み止め(ロキソニンが効かないとき)」を参考にしてください。
場所による違い(上部尿管・下部尿管)
同じ大きさでも、石が尿管のどこにあるかで出やすさが変わります。Coll 2002では、骨盤の骨(仙腸関節)より上の上部尿管で48%、仙腸関節の高さの中部尿管で60%、それより下の下部尿管で75%、膀胱の入り口(尿管膀胱移行部)で79%が自然に出ていました。Jendeberg 2017でも、大きさと場所が自然排石を予測する最も重要な因子でした。この研究では、左右どちらか・水腎症の程度は、一部のグループでしか出やすさの予測に役立ちませんでした。つまり「腎臓が腫れている(水腎症がある)から出ない」とは限らず、まずは石の大きさと場所が目安になります。
CTの結果用紙で見るポイント
- 大きさ:何mmか(幅・長さ)。上の表と照らし合わせる
- 場所:上部・中部・下部尿管、膀胱の入り口のどこか
- 水腎症:石より上で尿がたまっているか、その程度
CTの役割:低線量CTで石を見る
尿管結石の多くはCTで白く写るため、造影剤を使わないCT(単純CT)で、石の有無・大きさ・場所、それに水腎症の程度がわかります。放射線の量を下げた低線量CT(3ミリシーベルト未満)でも、7つの研究のまとめで感度96.6%、特異度94.9%と、高い精度で石を見つけられると報告されています(Niemann 2008)。
一方で、救急外来で尿管結石が疑われた人を「最初にエコー」と「最初にCT」に分けた試験では、最初にエコーをした群でも、重い見逃しによる合併症や痛み、再受診は増えず、被ばくは少なくなりました(Smith-Bindman 2014)。最初はエコーで調べ、必要なときにCTを追加する方法も選ばれます。
骨盤の中には、静脈の石灰化である静脈石(じょうみゃくせき)もよく写り、尿管結石とまぎらわしいことがあります。見分け方は「静脈石のCT画像所見」と「尿管結石と静脈石をウインドウ幅/レベルで鑑別する方法」で解説しています。
症例 50歳代男性 左の差し込むような腹痛と血尿

引用:Radiopaedia(Obstructing ureteric calculus and ureteric anatomy)
骨盤の高さの単純CTです。赤い丸の中に小さな白い点があり、これが左の尿管が膀胱に入る所(尿管膀胱移行部)にはまった約5mmの結石です。報告では、この石より上の尿管と腎臓の中(腎盂・腎杯)が軽く広がっていました(水腎症)。
受診の目安:熱があるときは緊急
- すぐ受診:発熱・寒気(ふるえ)がある、ぐったりしている、尿がほとんど出ない
- 早めに受診:痛み止めが効かない、吐き気で水分がとれない、痛みがくり返す
- 経過をみながら通院:小さい石で痛みがおさまっている場合も、出たかどうかを確認する検査を受ける
石が詰まった状態で細菌感染が起こる閉塞性腎盂腎炎は、命にかかわることがあります。ガイドラインでは、たまった尿を外に逃がして圧を下げる処置(減圧)が勧められています。米国の解析では、こうした患者さんの27.4%が減圧を受けておらず、病院による差が問題とされました(Borofsky 2015)。熱がある結石は「様子見」にしないことが大切です。
よくある疑問(Q&A)
Q. 痛みがなくなったら、石は出たということ?
A. そうとは限りません。痛みが消えても石が尿管に残っていることがあります。出たかどうかは、主治医の指示で画像検査で確かめてください。
Q. 何mmなら手術ですか?
A. 決まった線はありません。上の研究では5mmを超える石の約半数で治療が必要でした(Miller 1999)。大きさ・場所・痛み・感染・腎臓の働きなどから、泌尿器科で判断します。
Q. 毎回CTが必要ですか?
A. 必ずしも必要ではありません。最初にエコーで調べても安全性は変わらなかったという試験があり(Smith-Bindman 2014)、CTが必要なときは低線量で撮ることもできます。
まとめ
- 4mm以下の尿管結石は多くが自然に出る。5〜6mmを超えると出にくくなる
- 膀胱に近い下部尿管の石ほど出やすい
- 出るまで1か月以上かかることもある
- 単純CT(低線量CTを含む)で大きさ・場所・水腎症がわかる
- 発熱を伴う詰まりは緊急。治療方針は泌尿器科・主治医に相談してください
▶ ほかの所見も調べる:健診・人間ドックの画像検査で言われやすい所見一覧
参考文献
- Jendeberg J, Geijer H, Alshamari M, et al. Size matters: The width and location of a ureteral stone accurately predict the chance of spontaneous passage. Eur Radiol. 2017;27(11):4775-4785. PubMed
- Coll DM, Varanelli MJ, Smith RC. Relationship of spontaneous passage of ureteral calculi to stone size and location as revealed by unenhanced helical CT. AJR Am J Roentgenol. 2002;178(1):101-103. PubMed
- Miller OF, Kane CJ. Time to stone passage for observed ureteral calculi: a guide for patient education. J Urol. 1999;162(3 Pt 1):688-690. PubMed
- Niemann T, Kollmann T, Bongartz G. Diagnostic performance of low-dose CT for the detection of urolithiasis: a meta-analysis. AJR Am J Roentgenol. 2008;191(2):396-401. PubMed
- Smith-Bindman R, Aubin C, Bailitz J, et al. Ultrasonography versus computed tomography for suspected nephrolithiasis. N Engl J Med. 2014;371(12):1100-1110. PubMed
- Borofsky MS, Walter D, Li H, et al. Institutional characteristics associated with receipt of emergency care for obstructive pyelonephritis at community hospitals. J Urol. 2015;193(3):851-856. PubMed
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