頭蓋骨は一つの骨ではなく、複数の骨が縫合(ほうごう)してできています。
縫合線(ほうごうせん)にはいくつかありますが、そのうちの一つにラムダ縫合(英語表記で「Lambdoid suture」)があります。
今回はこのラムダ縫合について、
- ラムダ縫合の場所
- 頭蓋骨の模型によるラムダ縫合の場所
- ラムダ縫合のCT画像
- ラムダ縫合と小泉門の関係
などについてまとめました。
ラムダ縫合とは?場所は?
後頭骨と左右頭頂骨の間にあるラムダ形の縫合を、つまり・・・接続部をラムダ縫合といいます1)。
日本においては、別名「人字縫合」とも呼ばれます。
ちなみに、ラムダとはギリシア文字の「λ」で、そのλの形に似ているためラムダ縫合という名前がついているんです。
人とλ、なんとなくその形からイメージできると思います。
頭蓋骨の模型を横から見た写真です。
後頭部に見える縫合線が、ラムダ縫合です。
頭蓋骨の模型を後ろから見た写真です。
薄い茶色い骨が後頭骨、緑の骨が頭頂骨です。
ラムダ縫合は、頭蓋冠後部で後頭骨と左右の頭頂骨を結んでいるのがわかりますね。
λに見えるのはこの後ろから見たもので、なんとなくλの形に見えますね。
ラムダ縫合の場所をCT画像で確認
頭部のCT画像の横断像(輪切り)を頭頂部から見ていくと、
まず左右の頭頂骨を結ぶ矢状縫合が見えます。
さらに下に進んでいくと、前頭骨と頭頂骨を結ぶ冠状縫合が見えてきます。
さらに下に進んでいくと、後ろ側の矢状縫合が左右に分かれます。
これがラムダ縫合です。
これらのCT画像を3D再構成したものがこちらです。
ラムダ縫合は後ろからみたときに確認することができます。
ラムダ縫合と小泉門の関係は?
ちなみに・・・
- 冠状縫合と矢状縫合との交点をブレグマ(bregma)
- 矢状縫合とラムダ縫合との交点をラムダ(lambda)
といい、頭蓋計測の際、基準点としてこれらの交点が用いられるのです。
また、ラムダの前方では矢状縫合の両側に小孔(頭頂孔といい、導出静脈の通路)が見られます。
乳幼児の場合では、ブレグマやラムダにあたる部分の骨間が広く、結合組織繊維膜で閉ざされているんです。
そして、頭蓋泉門といわれる前頭骨と頭頂骨とで囲まれる泉門を大泉門といい、大きな菱形となっています。
それ以外にも、矢状縫合とラムダ縫合との交点にある泉門(小泉門)があり、これは前方に先端を向ける三角形状になっているんです。
大泉門は生後1.5〜2年で、小泉門は生後0.5〜1年で徐々に閉じます2)。
頭蓋冠を作る骨が作る縫合線
頭蓋冠を作る骨は、ラムダ縫合以外では、以下の縫合で連結されています。
- 冠状縫合(coronal suture)・・・前頭骨と左右にある頭頂骨との間の縫合
- 矢状縫合(sagittal suture)・・・左右にある頭頂骨の間で前後に走る縫合
これらの縫合は、非常に複雑で不規則なジグザク走行を示しているんです。
中には、縫合の間に小骨が見られることもあり、その小骨を縫合骨といい、ラムダ縫合や矢状縫合に見られることがあります。
新生児の場合、強固な縫合はまだ見られず、骨は可動性を持っているために、分娩の際に頭蓋が産道に適合できるようになっているんです。
CT画像における縫合線の場所・解剖についてはこちらの動画にまとめましたので、是非ご覧下さい。
参考文献:
1)第9版 イラスト解剖学P176
2)解剖学講義 改定2版P495
脳神経疾患ビジュアルブックP5
最後に
ポイントをまとめます。
- 後頭骨と左右頭頂骨の間にあるラムダ形の縫合をラムダ縫合という
- 頭蓋冠を作る骨は、ラムダ縫合以外にも冠状縫合や矢状縫合がある
- ラムダ縫合や矢状縫合には、縫合骨が見られることもある
- 新生児では、まだ強固な縫合はない
- 前方から、冠状縫合・頭頂骨付近に、矢状縫合・後方に、ラムダ縫合がある
ラムダ縫合についておわかりいただけましたでしょうか?
頭蓋冠後部で、後頭骨と左右の頭頂骨を接続するのがラムダ縫合ということですね。
参考になれば幸いです。