先に結論:小腸悪性リンパ腫

  • 小腸リンパ腫は消化管原発リンパ腫の20〜30%で、組織型はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が最多、好発部位は回腸・回盲部です(濾胞性リンパ腫は十二指腸に多い)
  • CTでは均一に造影される厚い壁肥厚が典型で、腸閉塞を起こしにくく、病変部の内腔がむしろ広がるaneurysmal dilatationが特徴です
  • 短い全周性狭窄を作る小腸癌との区別がポイントになります
  • 十二指腸の濾胞性リンパ腫は下行部に多く、症状がないことが多く、内視鏡で多発する白っぽい小さな隆起として見つかります

小腸悪性リンパ腫

・病変の主体が腸管に存在すれば、腸管外病変の有無に関わらず腸管を原発臓器とする。

▶疫学:
・頻度:消化管原発リンパ腫の20-30%
・あらゆる年齢に発生。男女比は2:1。

▶病因:B細胞性リンパ腫では染色体異常
・濾胞性リンパ腫:t(14;18)(q32;q21)転座が約90%
・Mantle細胞リンパ腫:t(11;14)(q13;q32)転座が90%以上
・MALTリンパ腫:t(11;18)(q21;q21)転座が10-30%、t(11;18)陽性症例はピロリ菌除菌に抵抗性
・びまん性大細胞型Bリンパ腫:MYC,BCL2,BCL3,BCL6,PAX5など腫瘍関連因子の関与

▶組織分類:びまん性大細胞Bリンパ腫(最多)>濾胞性リンパ腫(2位)>MALTリンパ腫(3位)

▶肉眼分類:
・潰瘍型>隆起型、
・multiple lymphomatous polyposis(MLP)型は広範囲に無数の隆起性病変を生じる(濾胞性リンパ腫、Mantle細胞リンパ腫)。
・びまん型は、T細胞性リンパ腫、IPSID(immunoproliferative small intestinal disease)

▶MALTリンパ腫はピロリ除菌により消失の報告あり、EBウイルス、HIV、HTLV-Ⅰが関与。

▶好発部位は回腸>回盲部>空腸、ただし濾胞性リンパ腫は十二指腸が最多。

小腸悪性リンパ腫の画像所見

・腫瘤は均一に強く造影効果を認めることが多く、通常イレウスをきたさない。

・腫瘍部位の小腸は限局的な拡張を認め、aneurysmal dilatationと呼ばれる。・ただしaneurysmal dilatation様の所見はリンパ腫に特異的ではない。穿孔を伴う小腸の間質腫瘍(GIST)が偽動脈瘤様の拡張を示し、CT・FDG PET/CTでリンパ腫と紛らわしかった報告がある。

CTでの見え方のパターン

・小腸リンパ腫42例のCTでは、腸管が全周性に均一に厚くなる型が33例(壁の厚さ1.5〜7cm、平均2.6cm)、結節状の壁肥厚とともに内腔が大きく拡張する型が13例で、腸間膜・後腹膜のリンパ節腫大は免疫正常者の60%にみられた(Balthazar 1997)。

十二指腸の濾胞性リンパ腫の画像

・消化管濾胞性リンパ腫125例では、最も多い部位は十二指腸下行部(81%)、次いで空腸(40%)で、下行部に病変がある例の85%は空腸・回腸にも病変があった。下行部病変のある群では腹部症状がないことと多発結節が多く、経過も良好であった(Takata 2011)。

・内視鏡では白色調の病変として見え、拡大観察では9例全例で大小不同の白い斑点がみられた(Iwamuro 2015)。CTでは目立たないことも多く、診断は内視鏡と生検が中心になる。

症例 50歳代男性 腹痛

小腸悪性リンパ腫 造影CT 冠状断像
引用:Radiopaedia(Small bowel lymphoma)

造影CT冠状断像で、左中腹部の空腸に、壁が全周性に厚く腫瘍化した腸管があり、その内腔は狭くならずに拡張して造影剤で満たされています(aneurysmal dilatation)。報告では約10cmにわたる空腸の壁肥厚(最大18mm)と、周囲の脂肪織混濁・領域リンパ節腫大が指摘されています。病理で悪性リンパ腫と確認された症例です。

参考文献

  1. Lewis RB, Mehrotra AK, Rodríguez P, et al. From the radiologic pathology archives: gastrointestinal lymphoma: radiologic and pathologic findings. Radiographics. 2014;34(7):1934-53. PubMed
  2. Ghimire P, Wu GY, Zhu L. Primary gastrointestinal lymphoma. World J Gastroenterol. 2011;17(6):697-707. PubMed
  3. Alaggio R, Amador C, Anagnostopoulos I, et al. The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Lymphoid Neoplasms. Leukemia. 2022;36(7):1720-1748. PubMed
  4. Xiao L, Wang Y, Li L. A Stromal Tumor Presenting as a Pseudoaneurysmal Dilation of the Small Bowel Mimicking a Lymphoma on FDG PET/CT. Clin Nucl Med. 2022;47(1):e83-e84. PubMed
  5. Balthazar EJ, Noordhoorn M, Megibow AJ, et al. CT of small-bowel lymphoma in immunocompetent patients and patients with AIDS: comparison of findings. AJR Am J Roentgenol. 1997;168(3):675-80. PubMed
  6. Takata K, Okada H, Ohmiya N, et al. Primary gastrointestinal follicular lymphoma involving the duodenal second portion is a distinct entity: a multicenter, retrospective analysis in Japan. Cancer Sci. 2011;102(8):1532-6. PubMed
  7. Iwamuro M, Okada H, Takata K, et al. Magnified endoscopic features of duodenal follicular lymphoma and other whitish lesions. Acta Med Okayama. 2015;69(1):37-44. PubMed

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