腹部の結核
- 消化管
- リンパ節
- 腹膜
- 腸間膜
- 腹部実質臓器
が障害される。
結核性リンパ節炎
・頸部が最も多い。鼠径、腋窩、腹部、縦隔や乳房内のリンパ節など。
・肺外結核では腹部が多く、腹部の結核感染としては結核性リンパ節炎が最多。腹部の結核の40-70%に見られる。
・20-40代に多く、特にAIDS患者で見られる。
・腸間膜、大網、門脈周囲、膵臓周囲、傍大動脈節浸潤が多い。小腸や回盲部からのリンパ流が関与している
・喀痰嚥下→消化管→回盲部、右半結腸にて多発潰瘍→腸間膜の所属リンパ節→SMA/Vに沿って門脈に向かい、膵頭部から総胆管周囲の肝十二指腸間膜に沿ったリンパ節に流入。
・CTでは乾酪壊死を反映し、腫大したリンパ節の中心部に低吸収域を認め、辺縁に造影効果を認める。しかし、NTM,精巣腫瘍のリンパ節転移、悪性リンパ腫の放射線照射後、Whipple病にも見られ、Tbに特異的ではない。
症例 60歳代女性
転移や膵腫瘍の可能性を否定できず、開腹生検の結果、結核性リンパ節炎であった。
結核性腸炎(腸結核)
結核性腸炎、腸結核はこちらを参照してください。
結核性腹膜炎
・30-40歳代の女性に多い。
・全身倦怠感、腹痛、発熱などで慢性の経過。
・血清CA125,腹水ADA活性の上昇が知られている。
・感染経路は肺の初感染巣から血行性に腹膜へ潜在性感染巣を形成し、その後活動性になるものがほとんど。
・腹壁や壁側・臓側腹膜には粟粒大の結核結節が形成され、大網は巻き込まれ腫大する。
・病態はwet typeが90%を占め、大量自由腹水と被包化腹水を認める。高蛋白や細胞成分により腹水のCT値が25-45HUと高値。ただし、癌性、腹膜中皮腫・抗酸菌以外の腹膜炎でも同様。腸間膜に見られるリンパ節や膿瘍などの径5mm以上の結節は有意なCT所見とされる。