腹膜垂炎(epiploic appendagitis)とは?

epiploic appendagitis figure

  • 正常の腹膜垂は、直腸以外の虫垂を含めた全結腸にあり、盲腸とS状結腸に多く、その数は約50〜100個と言われている。
  • 結腸の自由紐と大綱紐に沿って垂れ下がる脂肪組織。
  • 腹膜垂炎の発生機序は、茎部捻転による炎症(73%)、嵌頓ヘルニア(18%)、腸管閉塞(8%)、腹腔内の異物(1%)などが挙げられている。
  • 臨床所見は非特異的で、術前に診断できるのは全体の2.5%軽度と言われている。
  • 20歳〜50歳台の男性に多い。
  • 症状は通常2週間以内に消失。しかし、CT所見は6ヶ月後でも残存することがある。

腹膜垂が石灰化し脱落したものを腹膜ネズミと言います。→腹膜垂と腹膜鼠(ねずみ)

腹膜垂炎の画像所見

エコー
  • 結腸に接して高エコーの構造物として描出る。結腸には異常が見られない。
CT
  • 結腸から突出した直径5cm以下の卵円形の正常よりも吸収値の高い脂肪組織
  • 辺縁に高吸収のrimを伴う。高吸収のrimは炎症により肥厚・増強された腹膜を反映。
  • 脂肪濃度の腫瘤の内部に点状あるいは境界不明瞭な高吸収域がみられ、血栓化した静脈や出血、線維組織に相当。
  • 高度な炎症所見の割に、接する結腸に異常が目立たないことが多い。
  • 術前診断は困難なことが多い。
症例 30歳代男性 左下腹部痛

epiploic appendagitis ct findings1

腹部単純CTで左下腹部に結腸に接して、高吸収(白い)の外縁(rim)を有する卵円形の脂肪組織を認めています。

周囲には軽度脂肪織の濃度上昇を認めています。

接する下行結腸には壁肥厚は認めていません。

腹膜垂炎を疑う所見です。

動画はこちら(解説はなし)。

症例 20歳代男性 左下腹部痛

epiploic appendagitis ct findings1

下行結腸に接して高吸収の外縁を高吸収(白い)の外縁(rim)を有する卵円形の脂肪組織を認めています。

周囲には軽度脂肪織の濃度上昇を認めており、腹膜の肥厚を認めています。

一方で下行結腸には浮腫性変化など炎症を示唆する所見は認めません。

epiploic appendagitis ct findings2

冠状断像でも同様です。

腹膜垂炎と診断されました。

こちらの症例を動画でチェック。

 

 

動画で学ぶ腹膜垂炎

▶キー画像

hukumakusuien

SD junction周囲、主に腹側に脂肪織濃度上昇を認めています。

高吸収のrim様所見を認めています。

ただし、結腸の壁の肥厚は認めません。

腹膜垂炎を疑う所見です。

hukumakusuien1

冠状断像でも同様です。

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