軸椎(じくつい、英語でaxis)と呼ばれる椎体骨(背骨)があります。
軸椎は別名第2頚椎、C2(シーツー、シーに)などとも呼ばれ、頚椎の上から2番目の椎体骨です。
頚椎の中でも上から2つ、すなわち第1頚椎(C1)、第2頚椎(C2)は形状が特殊なのもあり、それぞれ環椎、軸椎と呼ばれているのです。
今回はその軸椎についてまとめました。
- 軸椎とは
- 軸椎の場所・解剖
- 軸椎歯突起とは
- 軸椎歯突起骨折とは
以上の項目を、図や実際のレントゲン、CT画像を交えて解説していきます。
軸椎とは?
先ほども説明したように、軸椎とは、頚椎の中でも上から2番目の骨のことです。
レントゲン画像の側面像でその場所・解剖を確認してみましょう。
上のように、軸椎は横から見ると上に突出する三角形のような形状をしています。
一見これが頚椎の一番上に存在するようにも見えますが、軸椎の上の方(あとで出てくる歯突起)を取り囲むように環椎と呼ばれる第1頚椎(C1)が存在します。
この軸椎がどの高さにあるかを今度はCTの矢状断像(横から見た画像)で確認してみましょう。
するとC2やC1の上縁は、鼻から口の間くらいに存在することがわかります。
軸椎(C2)の骨折の有無をレントゲンで評価する際に、開口位と言って、口を開けた状態で正面像を撮影します。
これは、口を開けないと歯が軸椎(C2)の前に存在して評価ができなくなるためで、そのことが上の画像からも納得できますね。
つまり、口を開けた奥に軸椎は存在するということです。
軸椎歯突起(Dens of axis)とは?
軸椎や環椎を前から見たCT画像(冠状断像)は以下のようになり、軸椎から上に突出している様子がわかります。
この部分を軸椎の歯突起(しとっき)と言います。
軸椎歯突起骨折とは?
この歯突起の骨折を軸椎歯突起骨折(読み方は「じくついしとっきこっせつ」)と言います。
軸椎歯突起骨折は上位頚椎の骨損傷で最も多く、青壮年に多いとされます。
骨折の原因としては、交通事故や転落によるものが多く、頭部の出血などに目が行きやすく見逃される事もある骨折です。
軸椎歯突起骨折の分類
軸椎歯突起骨折の分類にはAndersonの分類1)が用いられます。
上のようにType Ⅰ〜Ⅲに分けられ、頻度としてはType Ⅱ>Type Ⅲ>Type Ⅰの順に多いと言われています。
実際の症例を見てみましょう。
症例 80歳代女性 転倒
頚椎CTの矢状断像のほぼ正中(ど真ん中)部位です。
軸椎C2の形にずれがあり、骨折線があることがわかります。
正中から少しずらした部位が次の画像です。
さらにずれや骨折線の様子がわかります。
これを正面から見た冠状断像で見ると次のようになります。
歯突起の根元で骨折していることがわかります。
Andersonの分類のTyp3相当であることがわかります。
保存的に加療されました。
軸椎歯突起骨折の治療
Typeごとに治療方針は異なり以下のようになります。
- Type Ⅰでは装具を着けるなどの保存療法を行います。
- Type Ⅱでは偽関節になる確率が高いため、手術が検討されます。
- Type Ⅲは基本的に保存療法で様子を見ますが、不安定な場合は手術となります。
軸椎の骨折には歯突起骨折のほかにhangman骨折もあります。
関連:Hangman骨折(軸椎関節突起間骨折)の画像診断のポイント
最後に
軸椎についてまとめました。
- 軸椎とは頚椎の上位から2番目に存在し、別名第2頚椎、C2などと呼ばれる。
- 軸椎は上に出っ張った形状をしており、この場所を軸椎歯突起と呼ぶ。
- 軸椎歯突起は外傷により骨折をすることがあり、軸椎歯突起骨折という。
- 軸椎歯突起骨折にはAndersonの分類により3つのタイプに分けられ、それぞれ治療方針が異なる。
と言った点がポイントとなります。
参考になれば幸いです。
1)J.Bone Joint Surg.,56-A:1663-1691,1974