先に結論:小腸穿孔のCT

  • 小腸穿孔(しょうちょうせんこう)とは、小腸の壁に穴が開いて腸の内容物やガスがお腹の中に漏れる状態です
  • 小腸穿孔は大腸・胃十二指腸の穿孔より少なく、魚の骨やPTPシートなどの異物・外傷・虚血・クローン病・悪性リンパ腫・血管炎・薬剤などが原因になります
  • CTでは遊離ガスが少ないことが多いため、腸管周囲の小さな気泡・限局した壁肥厚と周囲の炎症を丁寧に探します
  • 治療は多くが手術で、限られた場合のみ保存的に治療します

※急な強い腹痛が続く・お腹が板のように硬いときは、すぐに救急車を呼んでください。

小腸穿孔とは(穿孔と穿通の違い)

小腸穿孔は、小腸の壁に穴が開き、腸の内容物やガスが腹腔に漏れる状態です。穴が周りの臓器や腸間膜・大網でふさがれて腹腔全体に広がらないものは穿通や被覆穿孔と呼ばれ、症状も画像所見も軽く見えることがあります。

小腸穿孔

・大腸穿孔に比べ頻度は低い。CTは小腸穿孔の診断に感度が高いが所見は軽微なことが多く、先進国ではCrohn病・憩室炎・異物・外傷・腫瘍・閉塞・虚血・医原性などが原因となる。

小腸穿孔の原因

  • 虚血性小腸炎、
  • Crohn病、
  • 憩室炎、
  • 異物、
  • 小腸閉塞、
  • 腸捻転・腸重積、
  • 悪性リンパ腫、
  • ベーチェット病、
  • 多発性動脈炎、
  • 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、旧称アレルギー性肉芽腫性血管炎)などの血管病変を有する膠原病、
  • ステロイドやNSAIDsなどの薬剤、
  • 外傷など

治療

・腹腔内感染が成立する前に開腹手術。

・例外は症状が限局しており、保存的治療に反応する場合(腸間膜側の穿孔、医原性穿孔など)。

小腸穿孔のCT所見

  • 腹腔内遊離ガス:小腸穿孔では上部消化管穿孔より少量のことが多く、肺野条件(ウィンドウ幅を広げた条件)で腸間膜や腸管周囲の小さな気泡を探す。
  • 腸管壁の不連続・限局性の壁肥厚、周囲の脂肪織濃度上昇・液体貯留、腸管外への造影剤や内容物の漏出。
  • 穿孔部位の推定には、遊離ガスが集まる場所と炎症の強い部位が手がかりになる。手術で確認された消化管穿孔85例の前向き研究では、MDCTで86%の症例の穿孔部位を正しく推定でき、腸管壁近くに集まる腸管外ガス、区域性の腸管壁肥厚、腸管壁の限局的な欠損が部位推定に強く寄与した。
  • 手術で確かめた小腸穿孔35例では、CTで88.6%に所見がありましたが、被覆穿孔の4例(11.4%)はCTで所見がありませんでした(Lacalamita 2014)。小腸穿孔の部位推定では、区域性の腸管壁肥厚が最も強い手がかりでした(Kim 2014)。
  • 原因として、異物(魚骨・PTPシート)・外傷・腫瘍(リンパ腫)・虚血・炎症性腸疾患を考え、異物の有無を薄いスライスで確認する。

症例 50歳代男性(魚骨による小腸穿孔)

魚骨による小腸穿孔 CT
引用:Radiopaedia(Small bowel perforation caused by a fish bone)

単純CTの横断像です。右腸骨窩の小腸の中に、両端のとがった線状の高吸収な異物(魚骨)があり、一端が腸管壁に刺さって壁が厚くむくみ、周囲の脂肪に軽い濃度上昇がみられます。この症例では遊離ガスや腹水はなく、手術で回腸の両側の壁を貫く魚骨が見つかりました。

参考文献

  1. Hines J, Rosenblat J, Duncan DR, et al. Perforation of the mesenteric small bowel: etiologies and CT findings. Emerg Radiol. 2013;20(2):155-61. PubMed
  2. Zissin R, Osadchy A, Gayer G. Abdominal CT findings in small bowel perforation. Br J Radiol. 2009;82(974):162-71. PubMed
  3. Hainaux B, Agneessens E, Bertinotti R, et al. Accuracy of MDCT in predicting site of gastrointestinal tract perforation. AJR Am J Roentgenol. 2006;187(5):1179-83. PubMed
  4. Lacalamita MC, Moschetta M, Mancini ME, et al. Role of CT in the diagnosis of jejunal-ileal perforations. Radiol Med. 2014;119(9):651-7. PubMed
  5. Kim HC, Yang DM, Kim SW, et al. Gastrointestinal tract perforation: evaluation of MDCT according to perforation site and elapsed time. Eur Radiol. 2014;24(6):1386-93. PubMed

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