脾静脈(splenic vein, SV)は脾門から流出し、膵体尾部の後面を右走して膵頸部の後方で上腸間膜静脈(SMV)と合流し、門脈を形成します。

今回は脾静脈のCT画像における解剖についてまとめました。

先に結論:脾静脈・SMV・IMVと門脈のつながり

  • 脾静脈(SV)は脾臓から出て、膵臓(体部・尾部)の裏側を右へ走ります。膵臓の首の部分(膵頸部)の裏で上腸間膜静脈(SMV)と合流して門脈になり、肝臓へ向かいます
  • SMV(上腸間膜静脈)は小腸・右側の大腸からの血液を集める静脈で、CTでは上腸間膜動脈(SMA)の右側に並んで見えます
  • IMV(下腸間膜静脈)は左側の大腸・直腸からの血液を集め、脾静脈・SMV・その合流部のいずれかに注ぎます(人によって違う)

脾静脈は膵臓のすぐ裏を通るため、膵炎や膵がんで脾静脈が詰まる(血栓・閉塞)と、胃のまわりの静脈が太くなる(胃静脈瘤)ことがあります。

脾静脈(splenic vein, SV)の解剖:走行と位置関係

  • 起始:脾門で脾静脈枝が合流して本幹を形成。
  • 走行:膵体尾部の後面溝を右走し、膵頸部の後方で上腸間膜静脈(SMV)と合流して門脈を形成。
  • 主な流入枝:短胃静脈・左胃大網静脈・膵静脈、そして下腸間膜静脈(IMV)(変異あり)。

症例 20歳代男性 スクリーニング

脾門で脾静脈枝が合流して脾静脈を形成し、膵体尾部の後面溝を右走します。そして、膵頸部の後方で上腸間膜静脈(SMV)と合流して門脈を形成します。

自分でCT画像をスクロールしてコロコロ連続画像で見たい方はこちら→脾静脈(splenic vein)のCT画像における解剖

脾静脈の計測:正常径と読み方

  • 径の目安:門脈相CT 916例の平均径は脾静脈1.02 cm(門脈1.48 cm、SMV 1.2 cm、IMV 0.5 cm)(Krumm 2011)。
  • 計測の位置:再現性のため脾静脈の終わり(合流部)から2 cm手前(大動脈の前あたり)で測る方法が用いられています(Péré 2021)。
  • 臨床的示唆:脾摘前CTで脾静脈径 > 10 mmは術後門脈血栓症(PVT)の独立リスク因子とされます(多変量解析のオッズ比3.03:Péré 2021)。

下腸間膜静脈(IMV)の流入パターン(頻度)

IMVの合流先は個人差があり、報告により分布が異なります:

  • MDCT 916例の検討:脾静脈 37.6%、合流部 28.8%、SMV 19.2%、その他のまれな型 14.4%。
  • 3D-CT 66例の検討:脾静脈 48.5%、SMV 40.9%、合流部が残り(Arimoto 2019)。

SMV・IMVの走行と主な流入枝

  • SMV:SMAの右側を上行し、膵頸部の後ろで脾静脈と合流。主な流入枝は空腸・回腸静脈、回結腸静脈、右・中結腸静脈、胃結腸静脈幹(Henleの幹)。
  • IMV:上直腸・S状結腸・左結腸静脈を集めて十二指腸空腸曲の左側を上行し、膵臓の裏で脾静脈・合流部・SMVのいずれかに注ぐ。

関連記事:脾動脈のCT画像における解剖:走行、分岐バリアント

参考文献

  1. TeachMeAnatomy. Venous Drainage of the Abdomen.
  2. TeachMeAnatomy. The Pancreas – Anatomy, Duct System, Vasculature.
  3. Kenhub. Splenic vein: Anatomy, tributaries, drainage. 
  4. Péré G, Basselerie H, Maulat C, et al. Splenic volume and splenic vein diameter are independent pre-operative risk factors of portal vein thrombosis after splenectomy: a retrospective cohort study. BMC Surg. 2021;21(1):366. PubMed
  5. Krumm P, Schraml C, Bretschneider C, et al. Depiction of variants of the portal confluence venous system using multidetector row CT: analysis of 916 cases. Rofo. 2011;183(12):1123-9. PubMed
  6. Carneiro C, Brito J, Bilreiro C, et al. All about portal vein: a pictorial display to anatomy, variants and physiopathology. Insights Imaging. 2019;10(1):38. PubMed
  7. Arimoto A, Matsuda T, Hasegawa H, et al. Evaluation of the venous drainage pattern of the splenic flexure by preoperative three-dimensional computed tomography. Asian J Endosc Surg. 2019;12(4):412-416. PubMed
  8. Graf O, Boland GW, Kaufman JA, et al. Anatomic variants of mesenteric veins: depiction with helical CT venography. AJR Am J Roentgenol. 1997;168(5):1209-1213. PubMed

実際の画像で確かめるには、画像診断cafeの腹部CTの正常解剖ツールで、スライスを動かしながら構造をタップすると名前が表示されます(無料・登録不要)。全体の見方は腹部CTの解剖にまとめています。

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →