先に結論:PTPシート(薬の包装)誤飲は「CT」で探す
- PTPシート(錠剤をプラスチックとアルミで1錠ずつ包んだシート、薬のヒート)の誤飲は高齢者に多く、角が鋭いため食道に刺さって穿孔・縦隔炎を起こすことがあります。誤飲した自覚がなく、のどや胸の痛みで受診することも少なくありません
- プラスチックはX線を通しやすく、レントゲンでは写らないことが多いため、疑ったらCTで探します。食道に引っかかることが多く、見つかれば内視鏡で取り出します
- CTでは、シートの中の錠剤(白っぽい)とまわりの空気の組み合わせが特徴的な形に見え、ウィンドウ幅を調整すると見つけやすくなります。皮下気腫・縦隔気腫などの穿孔のサインも確認します
※薬のシートを飲み込んだかもしれないときは、症状が軽くても早めに受診してください。
PTP(Press Through Package)包装シートの誤飲は、特に高齢者や認知症患者に多く見られ、誤飲したことを自覚せずに咽頭痛や胸痛で受診することもあり、診断が困難になるケースがあります。
このような状況において、CT画像診断はPTP誤飲の特定に非常に重要な役割を果たします。
ここでは、PTP誤飲のCT画像所見のポイントについて解説します。
PTP包装シートとは

- PTPは、薬剤を包む凸型の樹脂シート(プラスチックのドーム)とアルミニウム箔で構成されており、錠剤やカプセルが1錠ずつ包まれている。
- シートの材質には、ポリ塩化ビニル(PVC)やポリプロピレン(PP)のほか、ポリエチレン(PE)などが使用されている。
PTP包装の誤飲のCT画像を見る前に知っておくべきこと

- PTP誤飲は食道に存在することが多い。内視鏡で摘出した61例では、上部胸部食道で最も多く見つかった(Ishihara 2025)。
- 食道に引っかかった場合は、穿孔、縦隔炎を起こし、致死的となることがある。食道から消化管全体を注意深く観察し、穿孔に伴う皮下気腫や縦隔気腫、膿瘍形成などの所見がないかを確認することが重要。
- 食道や胃に見つかった場合は、内視鏡にて摘出をする。幽門を越えて先へ進んだ後に症状が出た場合は、CTや早めの手術を考える(Hou 2006)。
- まれではあるが回腸末端などの狭窄部位で穿孔をきたすこともある。
PTP包装シートのCT画像所見のポイント
- PTP誤飲の診断にはCTが有用だが、その見え方は様々な要因に左右される。なお、初回の胸部X線では異常なしと判断されCTで診断された症例でも、後から見直すとPTPに一致する淡いリング状のガス像(ring-shaped gas sign)が写っていたという報告がある。X線でリング状の透亮像を見たら、PTP誤飲を疑ってCTで確認するとよい。
- ウィンドウレベル(WL)やウィンドウ幅(WW)を調整することで、輪郭がはっきりし、低吸収の異物でも見えやすくなることがある。
- 未開封のPTPでは、薬剤とPTP内に存在する薬剤周囲の空気とのコントラストにより、ターゲット像として特徴的な所見を認めることがある。薬剤自体は比較的吸収値が高いため、CT上で高吸収の構造物として認識されやすい。
- 錠剤がシート内に残っている場合、その周囲の空気によって、PTPシートとの間隙にある空気の濃度が特徴的に観察されることがある。この空気の層は「カニの爪」や「三日月」のような形状を示すこともある。
- PTPシートの材質はCTでの見え方に大きく影響する。ポリ塩化ビニル(PVC)はX線吸収値が高く認識しやすいが、ポリプロピレン(PP)はX線吸収値が低く、特に周囲が水と同程度の濃度の場合、ほとんど認識できないことがある。内視鏡で摘出した61例のCTでの検出率は、PVC・PVDC製で97.8%、PP製で53.3%で、錠剤の入っていないPP単独のシートはCTで1例も検出できなかった(Ishihara 2025)。
- シートの中に錠剤があるかどうかでも見え方は変わる。錠剤のほとんどはCTで認識可能であるため、たとえシート自体がCTに写らない透過性の素材であっても、錠剤の存在によって診断が可能となる場合がある。しかし、錠剤がなく、シートも透過性の素材の場合は、同定が非常に困難になる可能性がある。
- 食道内のPTPを正面から見ているか、側面から見ているかによっても所見は変わるため、MPR(Multiplanar Reconstruction)により多方向から観察することが推奨される。
症例 70歳代女性 PTP誤飲

下部食道にPTPの形状をした高吸収異物を認めています。
横断像だけで薬剤の形状がわかります。
穿孔など合併症を疑う所見は認めません。
症例 80歳代女性 PTP誤飲

頸部食道にPTPの形状をした高吸収異物を認めています。縦隔条件より肺野条件の方が気づきやすいかも知れません。

MPR(Multiplanar Reconstruction)により多方向から観察することでより形状や場所が分かります。
PTPシート誤飲でよくある疑問(Q&A)
Q. 飲み込んだらどうする?ガイドラインは?
A. 欧州消化器内視鏡学会(ESGE)のガイドラインでは、食道にある鋭い異物はできれば2時間以内、遅くとも6時間以内の緊急内視鏡、胃にある鋭い異物は24時間以内の内視鏡で取り出すことを推奨しています。穿孔などの合併症が疑われる場合はCTを推奨しています(Birk 2016)。角の鋭いPTPシートもこれに準じて早めの対応が必要です。
Q. 便と一緒に出る?
A. 胃より先に進んで便と出ることもありますが、鋭い角が引っかかって小腸(回腸)に穿孔を起こした報告があり(Inoue 2026)、腹痛などが出たらすぐ受診が必要です。
Q. CTで写らなければ心配ない?
A. PP製で錠剤の入っていないシートはCTでも見つけにくく、穿孔の危険を考えると、CTで見つからなくても内視鏡が必要な場合があるとされています(Ishihara 2025)。
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参考文献:
- 画像診断 Vol.39 No.11 増刊号 2019:p.A90〜A143
- 臨床画像 Vol.34 No.10 増刊号,2018 P173-4
- 救急画像診断のロジック P218-220
- 画像診断別冊KEY BOOKシリーズわかる!役立つ!消化管の画像診断 P220-221
- Takeda M, Yaguchi A, Harada T, et al. Multidetector computed tomography to detect ingested press-through packages: utility of multiplanar reconstruction imaging in the emergency department. Acute Med Surg. 2014;2(3):202-206. PubMed
- Kubota D, Tsuji Y, Hayakawa Y, et al. A ring-shaped gas sign: a case of the accidental ingestion of a press-through package. Clin J Gastroenterol. 2025;18(1):53-56. PubMed
- Ishihara Y, Ichita C, Jinushi R, et al. Clinical assessment of computed tomography for detecting ingested blister packs: A single-center retrospective study. DEN Open. 2025;5(1):e406. PubMed
- Hou SK, Chern CH, How CK, et al. Press through package mis-swallowing. Int J Clin Pract. 2006;60(2):234-7. PubMed
- Birk M, Bauerfeind P, Deprez PH, et al. Removal of foreign bodies in the upper gastrointestinal tract in adults: European Society of Gastrointestinal Endoscopy (ESGE) Clinical Guideline. Endoscopy. 2016;48(5):489-96. PubMed
- Inoue T, Kobayashi H. Ileal Perforation Caused by the Accidental Ingestion of a Press-Through Package in an Elderly Patient With Dementia: A Case Report. Cureus. 2026;18(8):e114270. PubMed
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