先に結論:肩甲挙筋の解剖
- 肩甲挙筋は第1〜4頸椎の横突起から起こり、肩甲骨の上角に付く細長い筋肉です
- 肩甲骨を持ち上げ(挙上)、首を横に曲げる働きがあり、肩こり・首の痛みと関係が深い筋肉です
- CTでは首の横から肩甲骨上角へ斜めに下る筋肉として見え、頸部のリンパ節や腫瘤の位置を説明する目印にもなります
肩甲挙筋(けんこうきょきん: levator scapulae muscle)は、頸部と肩甲骨をつなぐ細長い筋肉で、肩甲骨の動きや首の姿勢維持に重要な役割を果たします。
背中全体にわたる筋肉は、大きく分けて表層、中層、深層の筋肉が存在しますが、肩甲挙筋はこのうち菱形筋群とともに中層に位置します。

肩甲挙筋のCT、MRI画像の解剖
胸部のCTやMRI画像を読む上で肩甲挙筋がどの場所にあるのか解剖をチェックしましょう。
CTの横断像では以下の場所に肩甲挙筋があります。

肩甲挙筋は、CTの横断像で首の側面から肩甲骨上角に向かう細長い筋肉として確認されます。
自分でCT画像をスクロールしてコロコロ連続画像で見たい方はこちら→肩甲挙筋(levator scapulae muscle)のCT画像の解剖
肩甲挙筋の起始・停止・支配神経・作用(一覧)
| 起始 | 第1〜4頸椎の横突起(後結節) |
|---|---|
| 停止 | 肩甲骨の上角と内側縁の上部 |
| 支配神経 | 肩甲背神経と頸神経(C3・C4)の枝 |
| 作用 | 肩甲骨の挙上・下方回旋、首の側屈 |
CTで見える肩甲骨の主な部位
- 上角:肩甲骨の内側上の角。肩甲挙筋が付く
- 関節窩・肩甲頸:上腕骨頭と関節する受け皿(関節窩)と、そのすぐ内側のくびれ(肩甲頸)
- 肩峰・烏口突起・肩甲棘:肩の外側と前方に張り出す突起と、背中側の骨の稜線
肩甲挙筋の起始
- 第1~第4頸椎の横突起:首の第1頸椎(環椎)から第4頸椎の横突起から起始します。
肩甲挙筋の停止
- 肩甲骨の上角および内側縁の上部:肩甲骨の内側縁上部、特に上角付近に停止します。付着には個人差があり、前鋸筋や第1・2肋骨などへ向かう余分な筋束(副筋束)を持つ例が解剖の大規模検討で約13%、MRIの検討では約4割に報告されています。
肩甲挙筋の主な役割
- 肩甲骨の挙上:肩をすくめる動作(肩甲骨を上に引き上げる)を担います。
- 肩甲骨の下方回旋:肩甲骨の関節窩を下に向ける回転(下方回旋)を補助します。
- 首の側屈と回旋:片側が収縮すると首を側方に倒し、両側が収縮すると首を後方に引きます。
肩甲挙筋の特徴
- 位置:肩甲挙筋は僧帽筋の深層に位置し、菱形筋と連携して肩甲骨の動きを支えます。
- 姿勢の保持:首や肩甲骨を安定させる役割を持ち、姿勢の保持に寄与します。
- 動きの協調性:僧帽筋や菱形筋と連動して肩甲骨の動きをスムーズに調整します。
肩甲挙筋は、第1~第4頸椎の横突起から肩甲骨の上角に付着し、肩甲骨の挙上や下方回旋、首の側屈に関与します。肩甲骨と頸部を結ぶ筋肉として、姿勢の保持や肩の動きに不可欠な役割を果たします。肩こりや首の痛みの原因ともなりやすい筋肉です。
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肩甲挙筋でよくある疑問(Q&A)
Q. 肩甲骨の上角あたりが痛むのは肩甲挙筋と関係がありますか?
A. 肩甲骨の上内側の角の痛みを訴えた22人の検討では、肩甲挙筋を伸ばす動きで痛みが強くなり、解剖した30肩の半数以上で肩甲骨・前鋸筋・肩甲挙筋の間に滑液包がみられました(Menachem 1993)。痛みが続くときは整形外科などの医療機関に相談してください。
実際の画像で確かめるには、画像診断cafeの頸部MRIの正常解剖ツールで、スライスを動かしながら構造をタップすると名前が表示されます(無料・登録不要)。
参考文献
- Szostak Z, Piech P, Bronikowska A, et al. Levator scapulae muscle variability: pathology or anatomical variant? A narrative review with pragmatic classification and imaging relevance. Folia Morphol (Warsz). 2026;85:e01726118. PubMed
- Menachem A, Kaplan O, Dekel S. Levator scapulae syndrome: an anatomic-clinical study. Bull Hosp Jt Dis. 1993;53(1):21-24. PubMed
- Lee JH, Lee KW, Yi KH, et al. Ultrasound-guided Injection of the Levator Scapulae Muscle in a Cadaver Model. Pain Physician. 2023;26(4):E389-E395. PubMed
- Varol U, Valera-Calero JA, Sánchez-Jiménez E, et al. Levator Scapulae Stiffness Measurement Reliability in Individuals with and without Chronic Neck Pain by Experienced and Novel Examiners. Sensors (Basel). 2024;24(1). PubMed
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