結節性筋膜炎:(nodular fasciitis)
- 筋膜から発生して、周囲の皮下脂肪組織や筋肉に広がる境界不明瞭な結節性病変。
- Pseudosarcomatous fibromatosis(偽肉腫性線維腫症)とも呼ばれる反応性増殖性病変。
- 原因は不明であるが、外傷を契機に発生することがある。
- 好発年齢は、20~40歳台で、性差はない。
- 約半数が上肢に発生し前腕拳側に好発し、次いで、胸壁、大腿に発生する。
- 数日〜2週間以内に急速に増大する径1~2cmの腫瘤で、軽度の圧痛、自発痛がある。
- 同じ筋膜炎で足底部にできるものは足底部筋膜炎(plantar fasciitis)と呼ばれ、足底筋膜起始部における炎症。
結節性筋膜炎の画像所見
- CT画像では、筋と同程度の吸収値で、比較的境界明瞭な腫瘤。
- MRIでは、組織像により信号強度はさまざまさま。粘液基質が多い病変→T1WIで筋と同程度の低信号、T2WIで著明な高信号。細胞成分が多い病変→T1,T2強調像とも低信号。
- 周囲には浮腫性変化を伴うことが多い。
- Gd造影により全体が均一に増強されることが多いが、辺縁のみが増強されることもある。病変は筋膜に沿って広がるような形態を示し、fascial tail signと呼ばれる。
しかし、画像のみからは悪性腫瘍やデスモイド型繊維腫症との鑑別は困難。
症例 30歳代女性 右大腿部前面の触知可能な痛みを伴う表面結節
引用:radiopedia
大腿前面皮下にT1WIで筋肉と等信号、T2WIでやや高信号、造影で均一に造影される結節あり。
筋膜に沿って存在し、周囲浮腫性変化は軽度。
手術にて結節性筋膜炎と診断されました。
参考文献
- 新 骨軟部画像診断の勘ドコロ P280-281
- 新版 所見からせまる脳MRI P462
- 骨軟部疾患の画像診断 第2版 P381
- 南山堂医学大事典第19版