先に結論:関節軟骨損傷のMRI
- 関節軟骨はレントゲンには写らないため、損傷の評価にはMRIを使います。脂肪抑制プロトン密度強調像などで、軟骨の厚みの減少・表面の亀裂・欠損や、その下の骨髄浮腫を確認します
- 損傷の深さはICRS分類などで評価し、骨まで達する深い欠損や骨軟骨片の遊離は手術(骨軟骨移植など)の対象になります
- スポーツ外傷では前十字靱帯・半月板の損傷を伴うことが多いため、合わせて評価します
関節軟骨のMRI画像所見
- まず関節軟骨はMRIのシークエンスによって様々な信号を示す。
- T2WIでは低信号、T2*WI・脂肪抑制PDWI(プロトン密度強調像)では高信号を示す。
- T2WIでは周囲の脂肪組織や関節液とのコントラストが強く、厚みなどの関節軟骨の評価がしやすい。T2WIだけでなく脂肪抑制PDWIなど複数のシークエンスを組み合わせて確認する。
- T2*WI、脂肪抑制PDWI(プロトン密度強調像)では半月板と関節軟骨のコントラストが強いため両者を分離しやすいメリットがある。また、骨髄浮腫も検出できる。T2WIの場合はともに低信号で両者の分離は分かりにくい。
PDWI(プロトン密度強調像)とは?T1WI・T2WIとの違い
PDWIは、TRを長く・TEを短くして、組織に含まれる水素原子(プロトン)の量を反映させた画像です。T1・T2の影響が小さく、軟骨や半月板の形を見やすいのが特徴で、脂肪抑制を加えると関節液や骨髄浮腫が白く目立ちます。
| 撮像法 | 関節軟骨 | 関節液 | 主な見どころ |
|---|---|---|---|
| T1WI | 中間 | 低 | 解剖・骨髄 |
| T2WI | 低 | 高 | 関節液とのコントラスト |
| PDWI | 中間 | 中間〜やや高 | 軟骨・半月板の形 |
| 脂肪抑制PDWI・脂肪抑制T2WI(STIR) | 中間〜高 | 高 | 軟骨欠損・骨髄浮腫 |
症例 40歳代男性

関節軟骨はT2WIで低信号、T2*WIでは高信号に描出されている。
関連記事:膝関節MRIの正常構造と信号パターン
関節軟骨損傷のMRI画像診断
- T2WIや脂肪抑制PDWIで、関節軟骨と高信号の関節液のコントラストに着目し、関節軟骨の表面の不整、菲薄化、欠損、関節遊離体および関節液流入を評価する。膝軟骨欠損に対する3D MRIの診断能を調べたメタ解析(27研究・1710検査)では、3D MRIは2D MRIと同等の診断能で、3.0T・3D高速スピンエコー法・多断面再構成の使用で診断能が向上すると報告されている。ルーチンの2D撮像に3D撮像を加えるかは、装置と撮像時間に応じて判断する。
- 関節鏡と比べた診断能は、高速スピンエコー法の検討(88例)で感度87%・特異度94%(Potter 1998)、冠状断STIRの検討では2人の読影者で感度77%・76%、特異度96%・89%だった(Jungius 2006)。
関節軟骨損傷の分類(MRIで用いる修正Outerbridge分類)
- Grade0:正常
- Grade1:表面の膨化
- Grade2:浅い部分の亀裂や粗造化
- Grade3:軟骨厚み50%を越える亀裂や粗造化(変法では軟骨下骨レベルまでの亀裂とするなど、文献により定義が異なる)
- Grade4:全層病変(軟骨下骨まで及ぶ)
参考文献
- Jungius KP, Schmid MR, Zanetti M, et al. Cartilaginous defects of the femorotibial joint: accuracy of coronal short inversion time inversion-recovery MR sequence. Radiology. 2006;240(2):482-8. PubMed
- Walter SS, Fritz B, Kijowski R, et al. 2D versus 3D MRI of osteoarthritis in clinical practice and research. Skeletal Radiol. 2023;52(11):2211-2224. PubMed
- Crema MD, Roemer FW, Marra MD, et al. Articular cartilage in the knee: current MR imaging techniques and applications in clinical practice and research. Radiographics. 2011;31(1):37-61. PubMed
- Shakoor D, Guermazi A, Kijowski R, et al. Diagnostic Performance of Three-dimensional MRI for Depicting Cartilage Defects in the Knee: A Meta-Analysis. Radiology. 2018;289(1):71-82. PubMed
- Potter HG, Linklater JM, Allen AA, et al. Magnetic resonance imaging of articular cartilage in the knee. An evaluation with use of fast-spin-echo imaging. J Bone Joint Surg Am. 1998;80(9):1276-84. PubMed
- Link TM, Joseph GB, Li X. MRI-based T1rho and T2 cartilage compositional imaging in osteoarthritis: what have we learned and what is needed to apply it clinically and in a trial setting? Skeletal Radiol. 2023;52(11):2137-2147. PubMed
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