副鼻腔のCT画像を読影する上で非常に重要なものの一つにOMU(オーエムユー)があります。
OMUとはostiomeatal unitの略で、日本語での意味は「洞口鼻道系」となります。
具体的にこの解剖がOMUというものではなく複数の構成要素からなる抽象的呼称です。
今回はOMUについて、臨床的意義およびどのような解剖が構成するのかについてまとめました。
OMUの臨床的意義は?
副鼻腔が正常な機能を果たすためには、
- 副鼻腔の自然口が開存していること
- 粘膜における正常な線毛運動、分泌物の性状
が必要です。
副鼻腔には、前頭洞、上顎洞、篩骨洞(前篩骨洞、後篩骨洞)、蝶形骨洞がありますが、このうち、前頭洞、上顎洞、前篩骨洞は中鼻道に開口します。
この部分に閉塞性病変が生じると、副鼻腔は正常な機能を果たせず、これらの副鼻腔が粘液で充満されることになります。
従って、これらの副鼻腔が正常な機能を果たすためにOMUは開存している必要があり、副鼻腔炎を評価する上でこのOMUの開存や閉塞の有無をチェックすることは重要なのです。
また耳鼻咽喉科における副鼻腔の内視鏡手術(ESS)におけるメルクマールとなり、術前の解剖の把握が手術時の事故を未然に防ぎます。
OMUの構成要素は?
先ほど申し上げたように、OMU=この解剖というものではなく、複数の構成要素があります。
具体的には、
- 中鼻甲介
- 半月裂孔
- 中鼻道
- 篩骨漏斗
- 鈎状突起
- 上顎洞自然口
- 篩骨胞
が挙げられます。
OMUのCT画像における解剖は?
では、次に具体的にOMUの解剖をチェックしましょう。
OMUの評価には副鼻腔CT(あるいは頭部CT)の冠状断像が非常に有用です。
動画を作成しましたので、動画を見ていていただいた後で記事を読んでいただくとよりスムーズに解剖が入ってくると思います。
まず中鼻甲介です。
続いて、中鼻甲介が作る中鼻道です。
中鼻道の一部である、半月裂孔です。
続いて、上顎洞に突出する構造の鈎状突起です。
鈎状突起の上側にある道が、篩骨漏斗です。
上顎洞から篩骨漏斗への出口のことを、上顎洞の自然口といいます。
その上の前篩骨洞で最も大きい嚢胞が、篩骨胞です。
これらがOMUを形成するということになります。
ですのでこれらの構造に閉塞がないかをCTを読影する際にはチェックすることになります。
参考文献:画像診断 Vol.31 No.11 臨時増刊号 2011 P32-33