先に結論:強膜バックリング術後のCT所見

  • 強膜バックリングは網膜剥離の手術で、シリコンの帯やスポンジを眼球の外側(強膜)に巻き付けて眼球をへこませ、網膜の穴をふさぎます
  • CTでは眼球を取り囲むリング状の構造として見え、シリコンラバーは高吸収、シリコンスポンジは空気に近い低吸収です
  • 眼球の変形や眼窩内の異物・膿瘍と間違えないよう、眼の手術歴を確認します

強膜バックリングのCT画像所見

  • 網膜剝離の治療法の一つに強膜バックリングがある。
  • シリコンの手術材料(シリコンラバーやシリコンスポンジ)を強膜に縫い付けることで眼球を一部くぼませて眼球内部に隆起を作り、剥離部の穴を眼の外側からふさぐという手術。
  • CTでは、シリコンラバーは眼球を変形させる眼球周囲の高吸収なバンドとして認められ、シリコンスポンジは空気に近い低吸収として認められることがある(Ito 2016)。MRIではシリコン製のバックル材はT1・T2強調像ともに低信号を示す。一方、ハイドロゲル製バックル(MIRAgel)は経年劣化で膨潤し、CTで低吸収・T2強調像で高信号の腫瘤として眼窩腫瘍と紛らわしくなることがある。

網膜剥離の術後にCTで見えるもの

手術 残るもの CT
強膜バックリング 眼球の外側のバックル 眼球を取り巻く高吸収または低吸収の帯
硝子体手術 眼内のガス 硝子体腔が空気の濃度
硝子体手術 シリコンオイル 硝子体腔が高吸収

(Ito 2016)

症例 30歳代男性

左眼球に眼球を取り囲むように存在するリング状の低吸収域あり。

シリコンスポンジによる強膜バックリングを疑う所見です。

10年前に手術歴がありました。

Q. 強膜バックリングの術後にバックルのトラブルは起こりますか?
A. 露出や感染で取り外しが必要になることがあります。562例の報告では、露出はスポンジで12.6%、タイヤ(帯状のシリコン)で3.4%でした(Kiraly 2026)。

あわせて読みたい:眼球癆とは?画像所見は?

参考文献:画像診断 Vol.37 No.13 2017 P1295

  1. Ito Y, Yamazaki I, Kikuchi Y, et al. Imaging characteristics of the postoperative globe: a pictorial essay. Jpn J Radiol. 2016;34(12):779-785. PubMed
  2. Bressler EL, Weinberg PE, Zaret CR. Silicone encircling bands for retinal detachment: CT appearance. J Comput Assist Tomogr. 1984;8(5):960-2. PubMed
  3. Shields CL, Demirci H, Marr BP, et al. Expanding MIRAgel scleral buckle simulating an orbital tumor in four cases. Ophthalmic Plast Reconstr Surg. 2005;21(1):32-8. PubMed
  4. Kiraly P, Lippera M, Ally N, et al. Outcomes and complications of sponges versus tires for scleral buckling in primary rhegmatogenous retinal detachment: The Manchester Buckle Study. Acta Ophthalmol. 2026;104(5):e538-e543. PubMed

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