眼窩内の生理的石灰化(orbital calcification)
眼窩内に生理的石灰化をしばしば偶発的に認めますが、主に3箇所です。
- 外眼筋の強膜付着部
- 滑車
- ドルーゼン
です。
一つ一つ実際のCT画像と一緒に見ていきましょう。

外眼筋の強膜付着部の石灰化
外眼筋の中でも、内直筋・外直筋の強膜への付着部で石灰化が起こり、高齢者に多く、強膜プラークとも呼ばれることがあります。(※アスベストの胸膜プラークとは全く別物です(^_^;))
症例 80歳代男性
右の内直筋・外直筋、左の内直筋の強膜付着部に石灰化を認めています。
滑車の石灰化
滑車は上斜筋を軟骨性の構造で、眼窩前内側に認めます。
50歳を超すと25%に見られ、CTで同部に曲線状の小さな石灰化を示すことが知られています。
症例 90歳代女性
両側の滑車に石灰化を認めています。
石灰化ドルーゼン
石灰化ドルーゼン(drusen)は、視神経乳頭部に生じる石灰化であり、網膜色素上皮下にヒアリン様物質が沈着し、それが石灰化することで形成されます。この病変は加齢に伴って出現することが多く、加齢黄斑変性(AMD)とは異なる病態ですが、一部では加齢黄斑変性の前駆病変とみなされることもあります。
通常は両眼性に認められることが多いものの、片眼性に現れる例もあります。臨床的には偶発的に発見されることが多く、無症候性で経過する場合も少なくありませんが、まれに視野異常を伴うこともあります。
症例 10歳代
引用:radiopedia
左の視神経乳頭に小さな石灰化を認めています。石灰化ドルーゼン(drusen)を疑う所見です。
非提示ですが右にも認めており、若年者であることから遺伝性が考えられました。
参考文献:画像診断 Vol.37 No.13 2017 P1331
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