先に結論:前頭縫合の遺残
- 前頭縫合(metopic suture)は左右の前頭骨の間の縫合で、通常は乳児期(多くは生後1年以内)に閉じますが、成人でも数%(集団によっては1割近く)に残っています
- 頭部CTで前頭骨の正中にまっすぐな線として見え、外傷時に骨折と間違えないことが大切です
- 縫合は辺縁がギザギザで骨硬化の縁がある、骨折は鋭く直線的で周りの腫れを伴うのが区別の手がかりで、3D画像も役立ちます
前頭縫合の残存・遺残(persistent metopic suture)
- 前頭縫合は前頭骨の左右の中間部にある縫合線で、通常は乳児期に癒合し消失する(頭部外傷児477例の3D-CTでは、多くが生後4か月頃に閉鎖が始まり9か月頃までに完了していた、Vinchon 2019)。
- 成人での残存頻度は集団により異なり、505頭蓋の検討では全体で約2.6%、欧州系で約8%と報告されている(Zdilla 2018)。
- 外傷後の頭部CTで骨折と誤認しないように注意が必要。小児の3D-CTによる検討でも、1歳以降の前頭縫合残存は5.1%(Vinchon 2019)、2歳以上の1034例では全長が開いたままの縫合が4.8%(部分的な閉鎖が6.3%)と報告されており(Chaisrisawadisuk 2021)、外傷で撮影した頭部CTでも珍しくない所見である。
症例 70歳代男性 転倒

頭部CTの3D再構成で、正常ならば見られないラインを前頭骨の正中部に認めています。

骨条件で確認すると、骨折ではなく他の縫合線と同じような線であり、前頭縫合であることが確認できます。
関連記事:頭蓋骨の縫合線を頭部CT画像で正しく見分けるポイントとは?骨折との鑑別と正常解剖の理解
Q. 大人になっても前頭縫合が残っているのは異常ですか?
成人まで前頭縫合が残ること(metopism)は正常変異と考えられており、病気ではありません(Vinchon 2019)。一方、乳児で前頭縫合が早く閉じすぎると、おでこが三角形にとがる三角頭蓋の原因になります(Vinchon 2019)。おでこのへこみや盛り上がりが気になる場合は、医療機関で相談してください。
参考:画像診断 Vol.37 No.13 2017 P1292
参考文献
- Zdilla MJ, Russell ML, Koons AW, et al. Metopism: a Study of the Persistent Metopic Suture. J Craniofac Surg. 2018;29(1):204-208. PubMed
- Vinchon M. The metopic suture: Natural history. Neurochirurgie. 2019;65(5):239-245. PubMed
- Chaisrisawadisuk S, Constantine S, Lottering N, et al. Incidence of persistent metopic suture in Australia: findings from 1034 three-dimensional computed tomography scans. Childs Nerv Syst. 2021;37(12):3871-3879. PubMed
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