先に結論:尿管結石と静脈石の見分け方

  • 骨盤内の小さな石灰化は尿管結石と静脈石(静脈の中の石灰化)の区別が問題になり、soft tissue rim sign(結石の周りの尿管壁)とcomet tail sign(静脈石から伸びる静脈)が知られています
  • ウインドウ幅を広げて中を見ると、静脈石は球形で中心が抜けて見える(中心透亮像)ことが多く、尿管結石はいびつで中心が詰まっていることが多いのが手がかりです
  • 静脈石は成人の骨盤の4割前後にみられるありふれた石灰化で、尿管結石では尿管拡張・水腎症・腎周囲脂肪織の濃度上昇を伴うことが多いです
  • CT値では区別できないため、尿管の走行を上から連続して追い、水腎症や尿管周囲の脂肪の濃度上昇を合わせて判断します

尿管結石と静脈石の鑑別方法として、soft tissue rim sign、comet tail signが知られています、このサインなかなか分かりにくいのが現実です。

関連:尿管結石の症状、CT画像診断のポイントは?

そこでウインドウ幅やウインドウレベルを変更して両者を鑑別する方法を紹介したいと思います。両サインの診断能も報告されており、soft tissue rim signは尿管結石の77%、静脈石の8%にみられ(感度77%・特異度92%)、comet tail signは静脈石の65%にみられ尿管結石では0%でした(感度65%・特異度100%)。どちらもサインが見えないときは「決められない」と考えるのが原則で、特にrim signは大きい結石ほど見えにくくなります。

静脈石とは?

静脈の中の血栓が層状に石灰化したもので、成人の骨盤では38.9〜48%にみられ、40歳以上に多く、男女差ははっきりしません(Luk 2017)。それ自体は治療の必要がない所見です。尿管結石を示唆する所見はrim signと角ばった形、静脈石を示唆する所見は中心透亮像、丸い形、comet tail signと整理されています(Luk 2017)。

結石の形態による鑑別

尿管結石は、もともとは腎臓内で形成された腎結石が、尿管に落石したものです。

腎臓内で形成される原因としては、長期にわたる尿の停滞や慢性感染があります。

慢性的に結晶化・凝集を繰り返して増大するため、尿管結石の多くは針状結晶、もしくは多数の凹凸を表面にもつ不整形な形態をとります。

一方で静脈石は、静脈うっ滞などにより静脈壁に生じた血栓を核として、同心円状に層状の石灰沈着や膠原線維束形成を繰り返すため、特有な球状結石が形成されます。

この中心部の血栓の部分は、単純X線写真では約2/3で中心透亮像として見えますが、5mm厚の通常のCTでは99%で中心の低吸収が描出されなかったとの報告があり、CTで透亮像がないことは静脈石を否定する根拠になりません。

ですので、ウインドウレベル/幅を調節して、

  • 凹凸不整で中心部に透亮像がない→尿管結石
  • 球形でかつ中心部に透亮像がある→静脈石

と鑑別することができます。

CT値による鑑別はできる?

主な尿路結石の成分と平均CT値は以下の様に報告されています。

結石の種類 平均CT値(HU)
シュウ酸カルシウム結石 >1500
リン酸カルシウム結石 >1500
リン酸マグネシウムアンモニウム結石 1000~1100
シスチン結石 700~900
尿酸結石 350~600

1)P106表を引用。

一方で、静脈石の主成分はハイドロキシアパタイトとする報告が多く、概ね1200HU以上の高いCT値を呈するため、CT値による両者の鑑別はできません。

結石の発生部位による鑑別

骨盤部の静脈石は、直腸、膀胱、前立腺、子宮、膣など骨盤底部の臓器周囲の静脈叢に多く生じます。

骨盤底部の静脈叢は、臓器周囲の蔓状管構造として同定され、部位による静脈石の識別は比較的容易ですが、静脈石は精巣・卵巣静脈内にも生じることがあり、尿管と近接した位置であれば単純CTでの鑑別が難しいことがある点に注意が必要です。

症例 60歳代男性 スクリーニング

また、前立腺静脈叢の一部に石灰化を認めており、静脈石を疑う所見です。

尿管結石などと間違えないように注意が必要です。

尿管結石のCT画像の見方(閉塞の二次所見)

石灰化が尿管内か迷うときは、尿の流れが止まったことによる二次所見を合わせて見ます。尿管結石132例の単純CTでは次の所見がみられ、二次所見がまったくなかったのは5例だけでした(Yaqoob 2004)。

  • 尿管の拡張:93例
  • 水腎症:69例
  • 腎周囲脂肪織の濃度上昇:66例
  • 尿管周囲の浮腫:42例

腎盂から尿管を上から順に追い、拡張した尿管がどこで細くなるかを確認すると判断しやすくなります。急な脇腹や背中の強い痛み、血尿がある場合は医療機関を受診してください。

関連記事:静脈石のCT画像所見のポイント!尿管結石との違いは?

参考文献:

1)ビギナーのための腹部画像診断 (画像診断 Vol.41 No.4 増刊号2021)P106-108

  1. Heneghan JP, Dalrymple NC, Verga M, et al. Soft-tissue “rim” sign in the diagnosis of ureteral calculi with use of unenhanced helical CT. Radiology. 1997;202(3):709-711. PubMed
  2. Boridy IC, Nikolaidis P, Kawashima A, et al. Ureterolithiasis: value of the tail sign in differentiating phleboliths from ureteral calculi at nonenhanced helical CT. Radiology. 1999;211(3):619-621. PubMed
  3. Traubici J, Neitlich JD, Smith RC. Distinguishing pelvic phleboliths from distal ureteral stones on routine unenhanced helical CT: is there a radiolucent center? AJR Am J Roentgenol. 1999;172(1):13-17. PubMed
  4. Yaqoob J, Usman MU, Bari V, et al. Unenhanced helical CT of ureterolithiasis: incidence of secondary urinary tract findings. J Pak Med Assoc. 2004;54(1):2-5. PubMed
  5. Luk AC, Cleaveland P, Olson L, et al. Pelvic Phlebolith: A Trivial Pursuit for the Urologist? J Endourol. 2017;31(4):342-347. PubMed

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