先に結論:急性喉頭蓋炎とは・サムサイン(thumb sign)

  • 急性喉頭蓋炎は、のどの奥で気管の入り口にふたをする喉頭蓋が細菌感染で急に腫れる病気で、窒息して命にかかわることがあります。強いのどの痛み・飲み込めない(よだれ)・くぐもった声・息苦しさが特徴で、口から見えるのどの所見が軽くても否定できないのが落とし穴です。現在は大人に多く見られます
  • サムサイン(thumb sign)とは、首の横向きのレントゲンで、腫れた喉頭蓋が親指(thumb)のように太く丸く写る所見です。CTでも喉頭蓋の腫れと周りの炎症が見えます
  • 診断は喉頭ファイバー(内視鏡)が確実です。息苦しさがあるときは横にせず、検査より気道の確保を優先します

※強いのどの痛みで唾も飲み込めない・息苦しいときは、すぐに救急受診してください。

急性喉頭蓋炎とは?

  • かつてはほとんどがインフルエンザ菌b型(Hib)によるものだったが、Hibワクチン普及後は成人例が中心となり、原因菌はレンサ球菌やブドウ球菌が多くなっている(Bridwell 2022)。
  • 小児は発熱と呼吸困難で急に、成人は強い嚥下困難で亜急性に発症することが多い(Bridwell 2022)。口から見える範囲(扁桃など)に強い所見がないこともあり、見た目だけで否定しない。
  • 以前は幼児に多かったが、Hibワクチンの普及後、小児ではまれになり、現在は成人に多い。
  • よだれ、くぐもった声(muffled voice)、息苦しさを伴うこともある(Bridwell 2022)。横になれず座って前かがみになる姿勢は、気道が狭くなっているサインとして注意する。
  • 内視鏡で非侵襲的に診断するとともに、気道閉塞の危険が高い場合は、気管挿管や気管切開による気道確保をためらわずに行う。
  • SpO2が正常でも気道が安全とは限らない。ワクチン導入後の成人例でも10.9%で気道確保が必要で、喉頭蓋膿瘍・吸気性喘鳴(stridor)・糖尿病があると必要になりやすい(Sideris 2020)。

急性喉頭蓋炎の画像所見

  • 画像では頸部単純X線写真側面像が用いられる(確定診断は喉頭内視鏡)。腫大した喉頭蓋の形が親指の形に似ることからthumb signと呼ばれる。
  • CTでも矢状断像で同様の所見が見られる。ただし頸部側面X線写真は偽陰性となることがあり、診断の決め手は喉頭蓋の直接観察(喉頭内視鏡)である。写真で異常がなくても臨床的に疑わしい場合は否定しない。

サムサイン(thumb sign)とは?頸部X線側面像の見方

  • 正常の喉頭蓋は頸部X線側面像で細く反り返った板状の影ですが、腫れて太く丸い親指の先のような形になったものをサムサイン(thumb sign)と呼びます。
  • vallecula sign:舌根と喉頭蓋の間のくぼみ(喉頭蓋谷)の空気が、喉頭蓋の腫れで浅く消えて見える所見です。このサインを学んだ後は、側面像による診断の感度が78.5%から98.2%に上がりました(Ducic 1997)。
  • 喉頭蓋の幅の計測も役立ち、喉頭蓋基部の幅5.02mmを境にすると感度96.2%・特異度98.2%でした(Kim 2018)。
  • CTでは、喉頭蓋と披裂喉頭蓋ひだの腫れを確認し、喉頭蓋膿瘍がないかを見ます。息苦しい人をCTのために寝かせるより、気道の安全を優先します。

症例 20歳代女性 発熱・嚥下時痛

急性喉頭蓋炎 単純X線 頸部側面像
引用:Radiopaedia(Epiglottitis)

頸部側面のX線写真で、喉頭蓋が親指のように太く丸く腫れています(thumb sign)。症例報告では披裂喉頭蓋ひだの肥厚と咽頭の過膨張も指摘されています。

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参考文献:

  1. 必修 小児の画像診断 P16
  2. レジデント初期研修用資料内科診療ヒントブックP13
  3. Bridwell RE, Koyfman A, Long B. High risk and low prevalence diseases: Adult epiglottitis. Am J Emerg Med. 2022;57:14-20. PubMed
  4. Sideris A, Holmes TR, Cumming B, et al. A systematic review and meta-analysis of predictors of airway intervention in adult epiglottitis. Laryngoscope. 2020;130(2):465-473. PubMed
  5. Ducic Y, Hébert PC, MacLachlan L, et al. Description and evaluation of the vallecula sign: a new radiologic sign in the diagnosis of adult epiglottitis. Ann Emerg Med. 1997;30(1):1-6. PubMed
  6. Kim KH, Kim YH, Lee JH, et al. Accuracy of objective parameters in acute epiglottitis diagnosis: A case-control study. Medicine (Baltimore). 2018;97(37):e12256. PubMed

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