漏斗胸とは?
- 漏斗胸は胸骨とそれに接合する肋軟骨の陥凹偏位である。
- 胸壁変形の90%を占める。
- 頻度は出生児400〜1000人に1人。
- 男児における頻度は女児より3〜5倍多い。通常は孤発性である。
- 肋軟骨の過剰成長が原因と考えられている。
- 前胸部の形状には、深く限局性の明瞭な陥凹(cup-shaped concavity)や、浅く広い陥凹(saucer-shaped concavity、flat chest)などさまざま。
- 変形の程度により症状が生じ、右室の圧排による収縮期雑音や僧帽弁逸脱、頻脈、動悸、胸部痛、疲労感が出現しうる。
漏斗胸の画像所見
- 陥凹した胸骨そのものは単純X線側面像でないと描出できない。
- 単純X線正面像では、
- 背側の肋骨では通常より水平方向、外側〜腹側の肋骨は急峻に下斜め方向に走行する。
- 心臓が左方偏位し、右心陰影が消失する。
- 右下肺野内側に中葉無気肺に類似した陰影が生じる。
と言った所見を認める。
- CTでは胸骨の陥没が明瞭となる。
- Marfan症候群の一部として漏斗胸が認められることがあるため、大動脈起始部拡張などを除外することは必要。
症例 40歳代女性
右下肺野内側に濃度上昇を認めています。
浸潤影や無気肺(中葉)のようにも見えます。
また右心陰影がはっきりしません。
また正常例と比較してみると、前肋骨の角度が正常よりも急峻であることがわかります。
第一肋骨と胸骨との接合部位も正常よりもだいぶ下ですね。
CTが撮影されました。
肺野に浸潤影や腫瘤影は認めませんでした。
胸骨が内側に陥没しており、いわゆる漏斗胸の形態です。
漏斗胸によって胸部レントゲンの浸潤影様所見、右心陰影の不明瞭化、前肋骨の急峻化を認めていたと言うことが分かります。
漏斗胸の胸部XPについて正しいものを一つ選べ。
- 前肋骨の角度が正常である
- 前肋骨の角度が正常よりも急峻となる
- 前肋骨の角度が正常よりもなだらかとなる
正解!
不正解...
正解は前肋骨の角度が正常よりも急峻となるです。
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参考文献:
画像診断 Vol.31 No.5 2011 P380
単純X線写真読影のためのキーワード201 P198
背側の肋骨では通常より水平方向、外側〜腹側の肋骨は急峻に下斜め方向に走行します。そのため、前肋骨の角度が正常よりも急峻となります。