錐体尖蜂巣の左右差による非対称性錐体尖部骨髄とは?
- 側頭骨の錐体尖部は、多くの場合、骨髄を含む骨構造として認められる。
- ただし、乳突蜂巣が発達しており骨髄ではなく含気があるものもある。
- 左右ともに骨髄である場合や、含気がある場合は左右差がなく指摘されないケースが多い。
- 一方で、片一方は骨髄で、片一方は含気があるという場合は、錐体尖蜂巣の左右差による非対称性錐体尖部骨髄の状態であり、MRIのT1WIやT2WIで左右差として認識され、コレステリン肉芽腫などの腫瘍として認識される場合があるので注意が必要。
- 実際は、単なる左右差なので、正常変異であり、leave me alone lesionsとして報告されている。錐体尖部に含気を認める人の4-7%では対側錐体尖部は骨髄であると報告されている。
錐体尖部の骨髄と含気の画像所見
- 骨髄の場合は、脂肪髄を反映して、T1WI高信号、T2WI高信号、脂肪抑制される。
- 含気の場合は、CTで乳突蜂巣の含気を確認することができる。(かつ正常な骨皮質と骨梁構造を認める)
という特徴があります。
症例20歳代 男性
左錐体尖部にT1WI、T2WIともに高信号域あり。明らかな左右差を認めています。
腫瘍の可能性も考えられましたが、同部位は造影効果ははっきりせず、脂肪抑制で信号が抑制されています。
つまり、同部には(骨髄の)脂肪が含有されていることがわかります。
CTで含気を見てみますと、右は乳突蜂巣の含気を錐体尖部でも認めているのに対して、左側では認めていないことが確認できます。
錐体尖蜂巣の左右差による非対称性錐体尖部骨髄と診断されました。
参考文献:側頭骨の画像診断 ‘Leave me alone’ lesions と 錐体尖部破壊性病変