膵臓は
- 膵体尾部(+膵頭部・膵鉤部の一部)
- 膵頭部・膵鉤部
とで、栄養する血管系が異なります。
今回は、ちょっとややこしい膵臓を栄養する血管(動脈)とその解剖についてまとめました。
膵臓を栄養する血管(動脈)の解剖
膵臓を栄養する動脈は大きく2つの種類に分かれます。
- 背側膵動脈ー横行膵動脈ー大膵動脈系
- 膵十二指腸アーケード系
の2つです。
- 背側膵動脈ー横行膵動脈ー大膵動脈系 →膵体尾部(+膵頭部・膵鉤部の一部)を栄養
- 膵十二指腸アーケード系 →膵頭部・膵鉤部を栄養
します。
背側膵動脈ー横行膵動脈ー大膵動脈系とは?
膵体尾部(+膵頭部・膵鉤部の一部)を栄養します。
(厳密には、膵体尾部と腹側膵芽由来の膵頭下部〜膵鉤部)
腹腔動脈(CA:ceriac artery)から脾動脈(SP:splenic artery)が出ますが、その脾動脈から分枝するのが
- 大膵動脈(GP:great pancreatic artery)
- 横行膵動脈(TP:transverse pancreatic artery)
です。
また、腹腔動脈から分岐することが多い
- 背側膵動脈(DP:dorsal pancreatic artery)
があります。
これらにより、栄養されるのが膵尾部(+膵頭部・膵鉤部の一部)で、これを背側膵動脈ー横行膵動脈ー大膵動脈系と呼びます。
膵十二指腸アーケード系とは?
一方で、膵十二指腸アーケード系は、膵頭部・膵鉤部を栄養します。
(厳密には、背側膵芽由来の膵頭上部〜膵頸部)
腹腔動脈(CA:ceriac artery)から総肝動脈(CH:common hepatic artery)が分岐し、さらにそこから胃十二指腸動脈(GD:gastroduodenal artery)が分岐します。
さらにそこから分岐する
- 上膵十二指腸動脈(SPD:superior pancreaticoduodenal artery )
- 後下膵十二指腸動脈(PIPD:posterior inferior pancreaticoduodenal artery)
により栄養されます。
これらの腹腔動脈から分岐した動脈は上腸間膜動脈(SMA:superior mesenteric artery)から分岐する膵臓枝とアーケードを形成します。
腹腔動脈の枝と上腸間膜動脈の枝同士が手を繋いで膵臓を栄養するというイメージです。
これを、膵十二指腸アーケード系といいます。
2系統は吻合枝により結ばれる
そしてこの2系統は吻合枝によって結ばれています。
ですので、何らかの原因でどちらか一方の系統の血流が少なくなっても相互で補い合えるということです。
合わせると次のようになります。
最後に
膵臓を栄養する動脈・解剖について図を用いてまとめました。
膵臓の神経内分泌腫瘍などの局在検索に選択的動脈内刺激薬注入法(SASIテスト)が行われることがあります。
この方法では、複数の血管から刺激を与えます。
それは膵を栄養する血管が今回まとめたように複数あるからですね。
参考になれば幸いです<(_ _)>
参考文献:腹部画像解剖 徹頭徹尾 P59
日頃より大変勉強させていただいております。
貴サイトに掲示されていた内容に誤植と思われる記載がございました。
恐縮ですが以下にご報告させていただきます。
【まとめ】膵臓の血管の解剖は?栄養する動脈はこれ!
上記の項目にある血管の図に前下膵十二指腸動脈の略称がPIPDとなっておりました。
お手数ですが、ご修正の程よろしくお願いいたします。
渡邉様
誤植をご指摘いただありがとうございます。
早速修正しました。
また、おかしなところがございましたらご指摘いただけると幸いです。