先に結論:円板状半月板とは

  • 半月板はふつう三日月(C字)形ですが、生まれつき真ん中まで厚く広がった円板(お皿)のような形になっているものが円板状半月板です。ほとんどが外側半月板で、日本人など東アジアの人に多い(欧米の3〜5%に対し最大15%程度)のが特徴です
  • 形が大きく厚いぶん傷みやすく、断裂しやすいため、膝の痛み・引っかかり・曲げ伸ばしでのクリック音・膝が伸びない(ロッキング)の原因になります。子どもの膝の痛みで見つかることも、大人になって症状が出ることもあります
  • MRIでは、矢状断で蝶ネクタイ形の半月板が3スライス以上連続する、冠状断で外側半月板が膝の中央まで伸びていることで診断します。症状がなければ経過観察、断裂や症状があれば関節鏡での形成術(形を整える)・縫合を行います
  • 膝の半月板の傷みは年代で顔つきが違います。子どもでは円板状半月板や、前十字靱帯損傷に伴う断裂、中高年では変性による断裂や根部断裂が目立ちます。MRIで断裂があっても、症状の原因とは限りません(下の節)

※膝の痛みやひっかかりが続くときは、整形外科を受診してください。

円板状半月板(discoid meniscus)とは?

  • 半月板が厚く幅広い円板の形をしたもの。先天的な形態異常で、胎生期に中央部が吸収されずに遺残するという説があるが、胎児の正常な発生過程で円板状の段階は確認されておらず、成因ははっきりしていない(Saavedra 2020)。
  • 東洋人に多い。
  • 頻度は欧米で3〜5%、アジアでは最大15%程度とされる。
  • ほとんどは外側半月板で生じやすい。両側性のこともあり、両膝にみられる割合は15〜25%と報告されている(Saavedra 2020)。内側半月板の円板状半月板は非常にまれ。
  • なぜこれがあるのが問題になるのか?→あると半月板の変性や断裂を生じやすいから。結果、膝の痛みやlockingの原因となる。
  • 小児期に全く症状がなく、成人で症状が出てくることもある。
  • 断裂は水平断裂が多い。症状のある円板状外側半月板138膝の検討では、関節面を覆う型(discoid型)で水平断裂が、覆う範囲が狭い型(semi-discoid型)で横断裂(radial tear)や断裂なしが多く、症状が出た年齢は10歳代が53.6%と最も多かった(Yamaguchi 2022)。
  • 10歳未満で膝内障がある場合、円板状半月板断裂のことがあるので鑑別に入れる。

円板状半月板の分類(Watanabeの分類)は?

  • 完全型(complete、discoid):脛骨顆部関節面の全面を覆う。
  • 不完全型(incomplete、semi-discoid):脛骨顆部関節面を一部だけ覆う(覆う範囲は80%以下)。
  • Wrisberg型:半月板後部が関節包へ付着せずWrisberg靭帯により大腿骨に付着する。非常に稀。

円板状半月板の画像診断は?

単純レントゲン
  • 膝関節の外側部の関節裂隙が広い。
  • 脛骨関節面の陥凹。
  • 大腿骨外側顆の低形成。
MRI所見
  • 矢状断像の連続する多スライス(5mmスライスで3スライス以上(正常は2スライス))で、蝶ネクタイの形をした厚い半月板を認める。
  • 冠状断像で外側半月板の中央部が顆間窩まで延長して認められる。冠状断で外側半月板の体部中央の横径が14mmを超えることも診断の目安とされます(Arakiらの基準、正診率93%)。ただし不完全型(semi-discoid)では典型的な所見がそろわないことがあり、臨床所見とあわせて判断します。
  • 断裂や変性は他の半月板損傷〜断裂と同様だが、関節面に達していなくても症状をきたし得るので注意。MRIでは半月板が前方・後方・中央へずれているか(shift)も見ます。82膝の検討で、shiftのある型は辺縁の断裂が多く、縫合が必要になる割合が高かった(55%対28%)と報告されています。

円板状半月板でよくある疑問(Q&A)

Q. 「discoid(ディスコイド)」とはどういう意味ですか?
A. discoidは「円板(disc)のような形の」という意味です。discoid meniscus(discoid LM)は円板状の外側半月板のことで、「円板状半月板」「円盤状半月板」は同じものを指します。

Q. 生まれつきのものですか?
A. はい、生まれつきの形の変異と考えられています。多くは無症状で、断裂や不安定性が生じて初めて症状が出ます(Saavedra 2020)。

Q. semi-discoid型(II型)とは何ですか?
A. Watanabeの分類で、脛骨の関節面を覆う範囲が80%以下のもの(type II、semi-discoid)をいいます。MRIで典型的な所見がそろわないことがあります(Saavedra 2020)。

Q. 症状がなければ手術は必要ですか?
A. 症状のない円板状半月板は経過観察が基本です。片方の膝を手術するときに、症状のない反対側も予防的に手術する利点は示されていません。痛み・引っかかり・ロッキングなどが続く場合に手術を考えます(Saavedra 2020)。

Q. 子どもと大人で、半月板の傷み方は違いますか。
A. 違います。子どもの正常な半月板の断裂は外傷によるものが多く、前十字靱帯損傷を伴うことがあります。円板状半月板では外傷がなくても断裂します(Geffroy 2021)。中高年では、変性による断裂や根部断裂が多くなります(Jarraya 2017)。

Q. MRIで半月板の断裂があると言われたら、手術が必要ですか。
A. 断裂があっても症状がない人は多く、断裂そのものでは手術を決められません(Englund 2008)。痛み、引っかかり、ロッキングなどの症状と合わせて、整形外科で相談してください。

半月板の断裂の型と、年代による違い

円板状半月板に限らず、半月板の傷みは「断裂の型」と「年代」で見方が変わります。

断裂の型

  • 水平断裂:半月板を上下に割るように走る断裂。discoid型(関節面を覆う型)の円板状半月板で多い型です(Yamaguchi 2022)。
  • 縦断裂:半月板の長軸に沿った断裂。はまり込むと「バケツの柄」のようになります(bucket-handle tear)。
  • 横断裂(radial tear):半月板の内縁から外縁に向かう断裂。MRIでは他の型より見逃されやすく、冠状断や横断(軸位断)も確認します(Jarraya 2017)。
  • 根部断裂(root tear):半月板が骨に付く部分(後角の付着部)の断裂。半月板の断裂全体の10〜21%を占めるとされ、MRIでは内側半月板の3mm以上の逸脱、軸位断での後根部の高信号、矢状断で半月板が見えない「ghost sign」が手がかりです(Chahla 2019)。
  • ramp病変:内側半月板の後ろの端と関節包の間の断裂で、小児では見落とさないように注意が必要とされます(Geffroy 2021)。

年代別の傾向

年代 よくある病変・MRIでの注意
子ども・10歳代 正常な半月板の外傷性断裂は、後節の縦方向の断裂が多く、前十字靱帯損傷を伴うことがあります。正常でない半月板(円板状半月板)では、外傷なしに断裂します。内側半月板の後節にある血管由来の線状の高信号を断裂と見間違えないように注意が必要です(Geffroy 2021)。膝では、膝蓋骨や膝蓋腱の損傷、骨端線の骨折、骨軟骨の異常、靱帯損傷もよくみられます(Leschied 2017)。
10歳代〜若い成人 スポーツによる外傷性断裂、前十字靱帯損傷に伴う断裂。症状のある円板状外側半月板138膝の検討では、10歳代が53.6%を占めました(Yamaguchi 2022)。
中高年 変性断裂。半月板内の高信号は、同じ部位の変性断裂の危険を高めます。内側半月板の後ろの横断裂や根部断裂は、軟骨の減少や半月板の逸脱を伴い、変形性膝関節症との関係が深い病変です(Jarraya 2017)。大腿骨内側顆の軟骨下脆弱性骨折(SIFK)の70%は内側顆にあり、対照より半月板断裂が有意に多く、MRIで併せて確認します(Sayyid 2019)。

MRIの断裂が症状の原因とは限らない

  • 50〜90歳の991人のMRIでは、半月板の断裂や破壊の割合は、50〜59歳の女性の19%から、70〜90歳の男性の56%までありました。断裂のある人の61%は、前の1か月に膝の痛み・こわばりが全くありませんでした(Englund 2008)。
  • 英国の合意文書でも、半月板の変性による病変(高信号や断裂)は一般の人にもよくみられ、膝のMRIで偶然に見つかることが多い、とされています(Abram 2018)。
  • 画像の所見は、症状(引っかかり、ロッキング、関節裂隙の痛み)や診察と合わせて判断します。膝の痛みが続くときは、整形外科を受診してください。
症例 40歳代女性

DISCOID MENISCUS

脛骨顆部関節面までを外側半月板が描出されている。

円板状半月板を疑う所見。

関連記事:内側半月板(MM)と外側半月板(LM)断裂のMRI画像診断総論

参考文献

  1. Saavedra M, Sepúlveda M, Jesús Tuca M, et al. Discoid meniscus: current concepts. EFORT Open Rev. 2020;5(7):371-379. PubMed
  2. Niu EL, Lee RJ, Joughin E, et al. Discoid Meniscus. Clin Sports Med. 2022;41(4):729-747. PubMed
  3. Araki Y, Yamamoto H, Nakamura H, et al. MR diagnosis of discoid lateral menisci of the knee. Eur J Radiol. 1994;18(2):92-5. PubMed
  4. Ahn JH, Lee YS, Ha HC, et al. A novel magnetic resonance imaging classification of discoid lateral meniscus based on peripheral attachment. Am J Sports Med. 2009;37(8):1564-9. PubMed
  5. Yamaguchi N, Chosa E, Tajima T, et al. Symptomatic discoid lateral meniscus shows a relationship between types and tear patterns, and between causes of clinical symptom onset and the age distribution. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2022;30(4):1436-1442. PubMed
  6. Geffroy L. Meniscal pathology in children and adolescents. Orthop Traumatol Surg Res. 2021;107(1S):102775. PubMed
  7. Leschied JR, Udager KG. Imaging of the Pediatric Knee. Semin Musculoskelet Radiol. 2017;21(2):137-146. PubMed
  8. Chahla J, LaPrade RF. Meniscal Root Tears. Arthroscopy. 2019;35(5):1304-1305. PubMed
  9. Jarraya M, Roemer FW, Englund M, et al.. Meniscus morphology: Does tear type matter? A narrative review with focus on relevance for osteoarthritis research. Semin Arthritis Rheum. 2017;46(5):552-561. PubMed
  10. Englund M, Guermazi A, Gale D, et al.. Incidental meniscal findings on knee MRI in middle-aged and elderly persons. N Engl J Med. 2008;359(11):1108-15. PubMed
  11. Sayyid S, Younan Y, Sharma G, et al.. Subchondral insufficiency fracture of the knee: grading, risk factors, and outcome. Skeletal Radiol. 2019;48(12):1961-1974. PubMed
  12. Abram SGF, Beard DJ, Price AJ, et al.. National consensus on the definition, investigation, and classification of meniscal lesions of the knee. Knee. 2018;25(5):834-840. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →