イレウスの原因は?
研修医
		 イレウスの原因にはどんなものがありますか?
		指導医
		イレウスは、まず以下のように分類されます。
		
つまり、イレウスはまずイレウスが小腸に起こっているのか、大腸に起こっているのかで分類します。頻度としては小腸イレウスが多いです。
次に、小腸イレウスの場合、
- 機械性イレウス
 - 麻痺性イレウス
 
に分けられます。
研修医
		 はあ・・。機械性、麻痺性って言葉からして難しそうですね。
		機械性イレウスとは?
機械性イレウスは、いわゆる腸閉塞で、腸管に狭窄や閉塞など行き止まりがあって、先に進めない状態です。
原因としては以下のものが挙がります。
機械性イレウスの原因
- 癒着(最多):術後に多い。
 - 異物:胆石、腸石、食餌、宿便による。
 - 炎症:腸炎、膿瘍など
 - 虚血:ヘルニア嵌頓、腸捻転、腸重積など
 
麻痺性イレウスとは?
一方、麻痺性イレウスとは、行き止まりはないけども、周囲に炎症などがあり、腸管が麻痺して、蠕動運動がうまくいっていない状態です。
原因としては以下ものが挙がります。
麻痺性イレウスの原因
- 腹膜炎:膵炎、胆嚢炎、憩室炎、虫垂炎などによる。
 - 腹腔内出血
 - 薬剤性:麻薬、抗精神薬など。
 - 代謝性:低K血症、尿毒症など。
 - 神経性:術直後、脊髄病変など。
 - 偽性腸閉塞症
 
研修医
		 術後の癒着性が多いとはいえ、イレウスの原因たくさんありますね。
		症例 20歳代女性 腹痛

こちらの症例は小腸の拡張に加えて、小腸の壁が肥厚して、造影効果が増強しています。
また腸間膜や大網の脂肪織濃度の混濁・上昇、さらには腹膜に一部肥厚所見を認めており、腹水の貯留を認めます。
腹膜炎による麻痺性イレウスを疑う所見です。
そもそもイレウスとは?
研修医
		 あの・・・、そもそもイレウスって何ですか?腸閉塞とは違うんですか?
		指導医
		 イレウスと腸閉塞は、厳密には異なります。イレウスの方が、より広い病態を含みます。
		
研修医
		 なるほど。腸閉塞は、イレウスの一部ってことなんですね。
		イレウスのレントゲンのポイントは?
研修医
		 イレウスの画像診断のポイントを教えてください。
		指導医
		画像診断の前に、問診、診察をしっかりした上で、聴音や既往歴などから、イレウスを疑います。画像診断では、まずレントゲンを撮影します。
		- 腹部レントゲンは2方向で撮影する。
 - 2方向撮影することにより、ニボー像の有無や、腹水の有無を確認できる。
関連記事)腹痛患者への画像診断の適応は?CTは?エコーは? 

研修医
		 ニボー像がありますね。拡張しているのは小腸でしょうか??
		指導医
		 その通りです。拡大するとこのようになります。
		
拡張した小腸の場合、幅の狭い小腸ヒダである、Kerckringが見えます。臥位においてもこのKerckringは確認できます。
一方で大腸が拡張すると、下のように幅の広い大腸ヒダである、Haustaraが見えます。この場合は、結腸が拡張していると判断することができます。

小腸と大腸の区別
- 小腸イレウス
→ 立位像:液面(ニボー)形成、大腸拡張(-)
→仰臥位:Kerckringヒダあり (正常では見えない。) - 大腸イレウス→haustraあり。(Kerckringヒダの方がずっと細かい) 小腸拡張(-)
 
※小腸ガス+大腸ガスともにあり→大腸閉塞+回盲弁不全 or 麻痺性イレウスを示唆。
研修医
		 なるほど。イレウスならニボーと腸管拡張が出るんですね。
		指導医
		 ところが、イレウスでもこれらの所見を認めないことがあります。
		イレウスの状態であっても、レントゲンでニボー形成や腸管拡張を認めないことがあり、gasless abdomenと呼ばれる。
これは、絞扼性イレウスなどで見られ、拡張した腸管内に液体が充満し、ガス像が乏しくなることによる。
関連記事)gasless abdomenの画像診断
研修医
		 なるほど・・。レントゲンだけでは限界があるということですね。
		指導医
		ですね。臨床所見や採血結果、レントゲンから総合的に判断して、必要に応じてCTを撮影することになります。
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