肺吸虫症(paragonimiasis)
- 最も代表的な肺寄生虫症。
- 北海道や東北の一部以外でほとんどの地方で報告あり。
- ヒトに寄生するのは、ウェステルマン肺吸虫症、宮崎肺吸虫症の2種類。頻度は前者が多い。
- 2種ともモズクガニやサワガニなどの淡水のカニの生食による感染が多い。
- 他、イノシシの生肉での感染の報告もある。
- 経口摂取し、消化管に侵入後、消化管の壁を穿通し、腹腔内→横隔膜→胸腔へと進む。
肺吸虫症の画像所見
- 宮崎肺吸虫症は、ヒトは最終宿主ではなく、増殖はできない。肺実質には陰影は認めず、気胸と胸水貯留が見られる。ただし、最近は増殖するという報告もある。
- ウェステルマン肺吸虫症は、肺実質に侵入し、虫嚢の形成あり。すりガラス影を伴う結節影、浸潤影、多房性嚢胞陰影、気管支壁の肥厚・小葉間隔壁の肥厚などさまざまな画像所見を呈する。虫道と呼ばれる虫体の移動したトンネル状の透亮像は、特徴的な画像。他、胸水、胸膜肥厚。陰影は移動することがある。慢性期には、不整形の腫瘤となり、腫瘤の内部には空洞や変性を伴う。
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肺の陰影の移動がある疾患
- 慢性好酸球性肺炎
- 特発性器質化肺炎
- 肺吸虫症