Kartagener症候群
- 線毛機能不全(ciliary dyskinesia)の代表的疾患(50%を占める)。
- 常染色体劣性遺伝。
- 慢性副鼻腔炎、気管支拡張症、内臓逆位を3徴とする症候群。
- 原発性線毛運動不全(primary ciliary dyskinesia)は、慢性副鼻腔炎、気管支拡張症、右胸心を3徴とし、これに内臓逆位(半数に認める)を伴えば、Kartagener症候群と診断する。
- 線毛機能不全はダイニン遺伝子の欠損や異常による。この遺伝子の異常により、線毛機能不全→慢性副鼻腔炎、気管支拡張症が起こる。
- その他、精子の形態・機能異常、上下気道感染症、再発性中耳炎、鼻ポリープ、水頭症、難聴の原因となる。
- 内臓逆位が起こる機序は不明だが、特定の遺伝子には臓器の左右を決定する機能があるとの報告もあり。
症例 70歳代女性
両側肺に気管支拡張および小葉中心性の粒状影〜結節影あり。粘液栓を疑う棍棒状の構造も多数あり。副鼻腔炎の合併および内臓逆位を認めており、Kartagener症候群を疑う所見。
副鼻腔気管支症候群(SBS:sinobronchial syndrome)
- 慢性で反復性の好中球性の気道炎症を上下気道に合併し、喀痰を伴う湿性慢性咳嗽をきたす症候群。
- 喀痰を伴う湿性慢性咳嗽の原因として最多。
- このSBSには、びまん性汎細気管支炎、Kartagener症候群、嚢胞性線維症などが含まれる。
- 治療は、マクロライド系抗菌薬の少量長期投与。