尺骨肘頭骨折(olecranon fracture)
- 肘頭に直接外力が加わることにより起こる。(手をつく形で受傷した場合は、肘関節脱臼が多い。)
- 肘周囲骨折の約10%を占め、本損傷の22%に同側上肢の合併損傷を認める。
- 肘頭の近位には尺骨神経が通過しており、骨折に伴い尺骨神経障害が10%に起こるとされる。
- 小児よりも成人に多い。
- ほとんどは骨折すると上腕三頭筋に引っ張られ、上方に転位する。そのため、ギブス固定だけでは、正常の部位に持ってこれず、観血的に引き寄せ締結法(tension band wiring法)にて治療されることが多い。
- 転位が2mm以下と小さい場合は保存的治療も可能。
尺骨肘頭骨の画像所見
- 多くは関節内横骨折で、単純X線側面像で診断可能。
- 骨片の転位の有無や、骨折型をチェックする。
- 一般的にMayo分類やColton分類が用いられる。
Mayo分類
- typeⅠ:関節が安定していて、かつ転位がない(あっても2mm未満)
- typeⅡ:関節が安定しているが、転位がある(3mm以上)
- typeⅢ:関節が不安定でかつ脱臼骨折をしている
の3つのタイプに分類されます。
症例 50歳代女性 外傷
CT矢状断および3D再構成にて、尺骨肘頭骨折を認めており、骨片は大きく転位していますが、脱臼は認めません。
Mayo分類 TypeⅡと診断されました。
外科的手術が必要。
参考文献:骨折ハンター P120-122