腰ヘルニアとは?
- 側腹部に生じるまれな腹壁ヘルニア。
- 術後の腸骨稜の欠損による二次性ものや特発性のものがある。
- 臀部の軟部腫瘤としてCTやMRIで発見されることが多い。
- 特発性のものは側腹部の2個所の脆弱部に生じやすい。下腰三角(Petitの三角)と、上腰三角(Grynfeltt三角)と呼ばれる2箇所である。
上腰三角(Grynfeltt三角):superior lumbar triangle
- 上方を第12肋骨、前方を内腹斜筋後縁、後方を仙棘筋で境され、腹横筋筋膜で構成される。表面を広背筋と下後鋸筋に覆われる。逆三角形の形。
- 上腰三角またはGrynfeltt三角と呼ばれる。
下腰三角(Petitの三角):inferior lumbar triangle
- 後方を広背筋、前方を外腹斜筋、下方を腸骨稜で境された領域。三角形の形。
- 下腰三角あるいはPetitの三角と呼ばれる。
- 外傷後の腰ヘルニアの好発部位。
- ヘルニア内容としては消化管、大網、腎、脾、胃など。
- ヘルニア門が広いため内容物の絞扼をきたすことはほとんどない。
- ただし、外傷後に腰ヘルニアが見逃された場合には慢性の腰痛やヘルニア嵌頓が約25%、絞扼性イレウスが約10%ありとの報告あり。
- 腰三角は、脆弱な部位であるため後腹膜の炎症や腫瘍の進展経路となる。急性膵炎による側腹部の皮膚の着色斑(Grey-Turner徴候)は、急性膵炎の炎症が腰三角から皮下に波及した結果である。
症例 70歳代男性 腰ヘルニア、症状なし。
右上腰三角(Grynfeltt三角)に大網の脱出あり。
腰ヘルニアを疑う所見です。
参考)
・画像診断 vol.31 No.12 2011 P1173-1175
・臨床画像 2011年6月 P720