先に結論:外陰部・腟の3つの嚢胞の違い

名前 できる場所 特徴
バルトリン腺嚢胞 腟の入り口の後ろ寄り(大陰唇の後半部) よくみられる嚢胞で、女性の約2%が一生のうちに嚢胞か膿瘍を経験する。感染して膿瘍になることがあり、症状があれば処置や手術
スキーン腺嚢胞 尿道の出口(外尿道口)のすぐ外側 良性で無症状が多い。尿が出にくいなどの症状があれば治療
ガートナー管嚢胞 腟の前外側の壁 胎児期の管(ウォルフ管)の名残。きわめてまれ

この記事の画像は外から見た写真ではなく、医療者向けのMRI画像です。※外陰部のしこりや腫れ・痛みが気になるときは婦人科を受診してください。

会陰部の嚢胞性病変

会陰部の嚢胞性病変には、

  • Bartholin腺嚢胞
  • Skene腺嚢胞
  • Gartner管嚢胞

がある。他、アポクリン汗腺、エクリン汗腺、皮脂腺がある。

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Bartholin腺嚢胞、Skene腺嚢胞、Gartner管嚢胞

Radiographics. 2011;31: 1583–98.より引用

Bartholin腺嚢胞

  • 膣口近傍から発生。男性の尿道球腺(Cowper腺)に相当。
  • 導管が炎症などにより閉塞すると貯留嚢胞を形成。
  • 粘液産生細胞からなる。
  • 外陰部によくみられる嚢胞で、女性の約2%が一生のうちにバルトリン腺の嚢胞か膿瘍を経験する(Omole 2019)。
  • 大陰唇の後半部で前庭球の後方にあり、小陰唇の内側に開口する。導管は腟前庭の4時と8時の位置に開く(Omole 2003)。
  • 腺は通常エンドウ豆ほどの大きさで、導管が詰まって嚢胞になったり膿瘍ができたりしたときに初めて触れるようになる(Omole 2003)。
  • 嚢胞は境界明瞭、内部は高い蛋白濃度を反映して、T1WIおよびT2WIにて高信号を呈する事が多い。
  • 感染を伴うことあり、その場合は膿瘍と同様の信号を呈する。
  • 稀にBartholin腺癌が発生する。
  • 膿瘍形成を反復したり、膣口に閉塞するものはope対象。

Skene腺嚢胞

  • 外尿道口外側から発生する。男性の前立腺に相当するのがskene腺。
  • 性的興奮時に分泌物を排出する器官。
  • 良性で無症状が多い。
  • 尿道憩室を生じることあり。女性の尿道周囲腫瘤では尿道カルンクル・尿道憩室・Skene腺嚢胞が多く、Gartner管嚢胞やMüller管嚢胞はまれとされる。症状や診察所見が互いに似るため、尿道周囲腫瘤の鑑別にはMRIが有用である。
  • 尿閉や排尿障害を生じると治療対象。
  • 症状のある嚢胞では摘出術や開窓術が行われることが多い。

症例 20歳代女性

Skene

Gartner管嚢胞

  • 膣壁、子宮頸部、あるいは広間膜に見られる中腎由来のWolff管の遺残。
  • 膣の前外側壁(膣円蓋から膣下1/3)から発生する。

バルトリン腺嚢胞はどう見える?膿瘍との違い

バルトリン腺嚢胞は、腟の入り口の後ろ寄り(4時か8時の方向)の片側にできる丸いふくらみとして気づかれます。感染して膿がたまる(バルトリン腺膿瘍)と、赤く腫れて痛むようになります(Lee 2015)。

バルトリン腺嚢胞 バルトリン腺膿瘍
中身 たまった粘液 膿(感染)
症状 無症状〜違和感 赤み・腫れ・強い痛み
MRI 境界明瞭な嚢胞。蛋白が多いとT1強調像でも高信号 壁が厚く造影され、周囲に炎症が広がる
対応 小さく無症状なら経過観察も可能 処置(排膿・カテーテル留置・造袋術など)が必要

腟の入り口付近の嚢胞や悪性腫瘍の評価にはMRIが適しています(Hosseinzadeh 2012)。外陰部のしこりや腫れ・痛みがあれば婦人科を受診してください。

バルトリン腺嚢胞のよくある疑問(Q&A)

Q. バルトリン腺嚢胞はどう治療する?
A. 開窓(造袋術)、カテーテル留置、硝酸銀やアルコールによる処置は、治りやすさと再発率が同程度とされ、針で吸うだけ・切開して膿を出すだけの処置は再発しやすく勧められていません(Omole 2019)。

Q. 年齢が上がってからできたしこりは注意が必要?
A. 閉経前後の女性でしこりが不整・でこぼこしている場合は、腺癌を除外するため切除して組織を調べることがあります(Omole 2003)。

スキーン腺嚢胞のよくある疑問(Q&A)

Q. スキーン腺嚢胞と尿道憩室はMRIでどう見分ける?
A. どちらも尿道のそばにできる嚢胞で、治療の仕方が違うため手術前の区別が重要である。MRIは女性の尿道・尿道周囲病変の評価で第一選択の検査とされる(Itani 2016)。スキーン腺嚢胞を摘出した10例の報告では、尿道憩室を除外するため全例でMRIが行われた(Foster 2016)。

Q. スキーン腺嚢胞の治療と治りやすさは?
A. 成人85例に切開・排液・造袋術(開窓)を行った報告では、平均5.5年の経過で97.6%(83例)が治癒し、再発は2例で再手術により治った(Sharifiaghdas 2014)。摘出術10例(平均3.5年追跡)でも再発はなかった(Foster 2016)。

Q. 赤ちゃんにもスキーン腺嚢胞はできる?
A. 新生児の女児に、陰唇の間のふくらみとして見つかることがある。母体のエストロゲンの影響や導管の閉塞が関係すると考えられており、3例の報告ではいずれも手術をせずに自然に消えた(Neto 2023)。

あわせて読みたい:侵襲性血管粘液腫(aggressive angiomyxoma)のMRI所見

参考文献

  1. Hosseinzadeh K, Heller MT, Houshmand G. Imaging of the female perineum in adults. Radiographics. 2012;32(4):E129-E168. PubMed
  2. Walker DK, Salibian RA, Salibian AD, et al. Overlooked diseases of the vagina: a directed anatomic-pathologic approach for imaging assessment. Radiographics. 2011;31(6):1583-1598. PubMed
  3. Chaudhari VV, Patel MK, Douek M, et al. MR imaging and US of female urethral and periurethral disease. Radiographics. 2010;30(7):1857-1874. PubMed
  4. Lee MY, Dalpiaz A, Schwamb R, et al. Clinical Pathology of Bartholin’s Glands: A Review of the Literature. Curr Urol. 2015;8(1):22-25. PubMed
  5. Zuo SW, Napoe GS. Evaluation and management of urethral and periurethral masses in women. Curr Opin Obstet Gynecol. 2023;35(6):517-524. PubMed
  6. Itani M, Kielar A, Menias CO, et al. MRI of female urethra and periurethral pathologies. Int Urogynecol J. 2016;27(2):195-204. PubMed
  7. Sharifiaghdas F, Daneshpajooh A, Mirzaei M. Paraurethral cyst in adult women: experience with 85 cases. Urol J. 2014;11(5):1896-9. PubMed
  8. Foster J, Lemack G, Zimmern P. Skene’s gland cyst excision. Int Urogynecol J. 2016;27(5):817-20. PubMed
  9. Neto JA, Carmo B, Rodrigues AM, et al. Skene’s gland duct cyst: three cases in female newborns. BMJ Case Rep. 2023;16(11):e256217. PubMed
  10. Omole F, Simmons BJ, Hacker Y. Management of Bartholin’s duct cyst and gland abscess. Am Fam Physician. 2003;68(1):135-40. PubMed
  11. Omole F, Kelsey RC, Phillips K, et al. Bartholin Duct Cyst and Gland Abscess: Office Management. Am Fam Physician. 2019;99(12):760-766. PubMed

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