線維腺腫(Fibroadenoma:FA)
- 上皮と間質の両者が増殖する過形成性増殖。
- 乳腺良性腫瘤の中で最多。多発、両側例もしばしばあり。
- 20〜30歳代に多い。閉経後は自然退縮する。
- 病理:上皮成分の組織形態により4つに分類される。管内型、管周囲型、類臓器型、乳腺症型の4つ。
- 自然退縮もあり治療の必要なし。線維腺腫内に乳癌が発生することはまれ。
- 7割はサイズ変化なし-退縮、3割はサイズが増大する。
- 3cm以上の場合や症状がある場合は摘出の適応となる。
画像所見
- 4亜型を画像で診断する必要はない。陳旧性線維腺腫か否かを判断できればよい。
- 境界明瞭平滑で扁平な腫瘤。超音波で、縦横比は0.6以下が多い。
- 内部性状は間質成分の性状により、粘液浮腫状(粘液癌と似ている)から硝子化から石灰化を伴うものまである。
- MRIでは、浮腫状のものはT2WIで著明な高信号を示し、強く造影されることが多い。この場合は、鑑別として粘液癌を考慮する。
- 内部には密な膠原線維帯を反映して、T2WIで低信号を呈する隔壁を認めることがあり、dark internal septationと呼ばれる。
- 間質の浮腫が減るにつれてT2WIの信号は等信号に近づき、同時に造影効果も減弱していく。特に、間質の硝子化が進んだ陳旧性の線維腺腫の場合、T2WIで低信号を呈し、造影されなくなる。両者が混在して、悪性と鑑別が困難な場合もある。
- 典型例では、ダイナミックでは、persisitentパターンが典型的だが、若年者の血流の多いものだと、washoutを呈することもある。
- DWIでは、T2 shine-throughの影響により高信号を呈するが、ADCは高値なので悪性と鑑別できる。
線維腺腫と粘液癌の鑑別点
FA(浮腫状) | FA(硝子化) | 粘液癌 | |
エコー | 低-等エコー 後方エコー増強 |
低エコー 後方エコー減弱 |
等-高エコー 後方エコー増強 |
T2WI | 高信号 | 低信号 | 著明な高信号 |
ダイナミック | Persistent Rapid-plateau |
弱いPersistent | 弱いPersistent |