足底、つまり足の裏にある筋膜に炎症が起こる疾患を、足底筋膜炎といいます。
足裏に症状を伴うと、歩行にも支障が出るというのは、自ずとお分りいただけるかと思いますが・・・何が原因で起こるのでしょう?
今回は、足底筋膜炎(そくていきんまくえん「Plantar fasciitis」)について
- 原因
- 症状
- 診断
- 治療法
を、実際のMRI画像や図を用いてわかりやすく解説しました!
先に結論:足底筋膜炎(足底腱膜炎)
- 足底筋膜炎は、足の裏の丈夫な膜(足底腱膜)のかかとの付け根が、くり返す負担(ランニング・立ち仕事・体重増加・足首の硬さ)で傷んで痛む病気で、かかとの痛みの原因として最も多いものです
- 朝起きた最初の一歩や、座ったあとの歩き始めに、かかとの内側前方が痛むのが典型で、診断は主に症状と診察で行います。超音波やMRIでは腱膜の付け根の肥厚(4mmを超える)・信号上昇や、疲労骨折など他の原因を確認します
- 多くはストレッチ・インソール・靴の調整・体重管理などの保存療法で改善します。改善しない場合は体外衝撃波治療なども検討されます
- 適切な治療で80%は12か月以内に改善します(Trojian 2019)。6か月以上治らない場合は、体外衝撃波治療や手術(足底腱膜切離術)が選択肢になります(Goff 2011)
※かかとの痛みが続くときは、整形外科を受診してください。
足底筋膜炎とは?
足底筋膜(足底腱膜)は筋肉ではなく、足の裏を支える丈夫な線維性の膜で、踵骨隆起の内側突起から起こり、扇状に広がり中足骨頭〜近位趾骨に付着しています。
その足底筋膜が、何らかの原因で炎症を起こす疾患が足底筋膜炎です。実際は炎症より変性が主体で、「足底腱膜症(plantar fasciopathy)」とも呼ばれます。生涯で10人に1人が経験するとされます(Trojian 2019)。

整形外科が専門になります。
足底筋膜炎の原因は?
- スポーツ(歩行・ランニング)
- 立ち仕事
- 肥満による体重増加
- 足首の硬さ(足関節の背屈制限)
- 足の過回内(土踏まずがつぶれるような足の動き)
※運動する人に多い一方、運動習慣のない人にも起こります(Goff 2011、Trojian 2019)。
など、足底に長時間・繰り返し負荷がかかることで
「過度な伸張刺激により、疲労性の小さな組織損傷が起こる」
「荷重により、足底筋膜の踵骨付着部分が踏みつぶされることで組織損傷が起こる」
などして炎症を起こしてしまうのです。
また、かかとの痛みは、外傷や神経の病気、全身の病気(関節リウマチなどの炎症性の病気)から起こることもあります(Barrett 1999)。
足底筋膜炎の症状は?
症状としては、痛みが出現します。
その痛みは、
- 歩行
- ジャンプ
- ランニング
など、運動により痛みが強くなりますが、かかとに出る痛みの原因としてもこの足底筋膜炎があり
「かかとの問題だと思っていたら、足底に問題が・・・」
ということもありますが、実は、かかとに痛みが出る疾患の原因としては最も頻度の多い疾患です。
足底筋膜炎の診断は?
かかとの痛みだと、他の疾患も疑われるため、画像診断が有用です。
MRI検査では、
- 足底腱膜の肥厚。系統的レビュー・メタ解析では、慢性の足底部痛がある人の足底腱膜は対照より平均2.16mm厚く(主に超音波での測定)、厚さ4.0mmを超えることが足底筋膜炎を示す目安とされています。X線での踵骨下の骨棘も患者群で多くみられました(オッズ比8.52)(McMillan 2009)。MRIでの患者の腱膜の厚さは平均0.47〜0.59cmでした(Zhang 2023)。
- 筋膜内の高信号
- 皮下組織や腱膜近傍の踵骨骨髄の浮腫性変化(腱膜周囲の浮腫は最も多い所見:Theodorou 2000)
が見られます。
そして、筋膜の信号変化は、T2強調像またはSTIR像で明瞭な高信号として認められるでしょう。
筋膜付着部の踵骨に、しばしば骨棘を認めるものの、無症状でも認められる所見でもあります。
症例 50歳代男性 左足底部の痛み MRI

足関節のMRIのSTIR矢状断像です。
足底筋膜の肥厚及びSTIRでの異常な高信号を認めています。
足底筋膜炎を疑うMRIの画像所見です。
鑑別疾患
かかとの痛みは、足底筋膜炎のほか神経・外傷・全身の病気からも起こります(Barrett 1999)。たとえば次のような病気が、画像で確認される対象になります。
- アキレス腱断裂
- アキレス腱炎
- かかとの皮下組織の脂肪織炎
- 踵骨の病変(疲労骨折・骨髄炎・腫瘍など)
- 神経絞扼症候群
超音波やMRIは、保存療法で治りにくい場合や、ほかの病気を除外したいときに使われます(Goff 2011)。
足底筋膜炎の治療法は?
荷重を軽減させることが重要で、一般的には保存療法が選択されます。
保存療法
- 局所安静(テーピング・サポーター)
- アイシング
- 薬物療法(非ステロイド系抗炎症剤など)
- ストレッチ(足底腱膜・ふくらはぎ)
などにより、炎症がおさまり、症状が消えるのを待ちます。
治し方の流れ(治らないときの次の一手)
| 段階 | おもな治療 |
|---|---|
| まず自分で(数週間) | 安静・運動量の調整、アイスマッサージ、痛み止め、ストレッチ |
| 痛みが続くとき(医療機関で) | リハビリ(理学療法)、足底板(インソール)、夜間装具、ステロイド注射 |
| 6か月以上治らないとき | 体外衝撃波治療、手術(足底腱膜切離術) |
※上の流れはGoff 2011による整理です。これらの保存療法で90%の患者が改善するとされます(Goff 2011)。ただし夜間装具やインソールは偽薬との差がはっきりしないとする報告もあります(Trojian 2019)。
また、同じことを繰り返していたら再発する例も多く、今後の予防も重要です。
足底筋膜炎の予防
- ストレッチを行い柔軟性をつける
- ダイエット(肥満による荷重を軽減)
- インソールを使用する
などがあります。
足底筋膜炎対策グッズとして、専用のインソールも販売されています。
足底筋膜炎対策インソール
このインソールはかかと部分を保護するよう、衝撃を吸収するもので、男女兼用で使えます。

参考文献:骨軟部疾患の画像診断 第2版P138・139
参考サイト:January Special 足底腱膜炎 最新治療法から現場での対応まで
最後に
足底筋膜炎についてまとめます。
- 足底筋膜が、何らかの原因で炎症を起こす疾患が足底筋膜炎
- 足底に長時間・繰り返し負荷のかかることが原因
- かかとに痛みが出る疾患の原因としては、最も頻度の多い疾患
- 画像診断により、他のかかとに痛みの出る疾患を除外
- 保存療法で改善する
誰にでも起こりうる疾患です。
症状を我慢し、同じ動作を繰り返していると悪化するばかりなので、しっかり病院を受診し、治療することをオススメします。
- McMillan AM, Landorf KB, Barrett JT, et al. Diagnostic imaging for chronic plantar heel pain: a systematic review and meta-analysis. J Foot Ankle Res. 2009;2:32. PubMed
- Theodorou DJ, Theodorou SJ, Kakitsubata Y, et al. Plantar fasciitis and fascial rupture: MR imaging findings in 26 patients supplemented with anatomic data in cadavers. Radiographics. 2000;20 Spec No:S181-97. PubMed
- Theodorou DJ, Theodorou SJ, Farooki S, et al. Disorders of the plantar aponeurosis: a spectrum of MR imaging findings. AJR Am J Roentgenol. 2001;176(1):97-104. PubMed
- Goff JD, Crawford R. Diagnosis and treatment of plantar fasciitis. Am Fam Physician. 2011;84(6):676-82. PubMed
- Trojian T, Tucker AK. Plantar Fasciitis. Am Fam Physician. 2019;99(12):744-750. PubMed
- Barrett SJ, O’Malley R. Plantar fasciitis and other causes of heel pain. Am Fam Physician. 1999;59(8):2200-6. PubMed
- Zhang L, Cai M, Gan Y, et al. Anatomical features of plantar fasciitis in various age cohorts: Based on magnetic resonance imaging. J Orthop Surg (Hong Kong). 2023;31(1):10225536231161181. PubMed
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