先に結論:巨大脳動脈瘤

  • 巨大脳動脈瘤は最大径2.5cm以上の脳動脈瘤で、内頸動脈海綿静脈洞部・中大脳動脈・脳底動脈などにみられ、脳神経や脳幹の圧迫症状で見つかることもあれば、くも膜下出血で発症することもあります
  • 内部に血栓が層状にたまることが多く、MRIで層状の信号(target sign)と開存部のflow voidが見られます。CTでは壁の石灰化を伴うことがあります
  • 血管造影やCTAでは血栓化していない部分しか写らないため、本当の大きさはMRIやCTで評価します。腫瘍(髄膜腫・下垂体腺腫など)と間違えないことが大切です

巨大脳動脈瘤

  • 最大径2.5cm以上の脳動脈瘤のこと。
  • 中大脳動脈、内頚動脈海綿静脈洞部、脳底動脈遠位部などにみられる。手術例82例では前方循環が76.8%を占めた(Luzzi 2020)。
  • 脳神経圧迫などの占拠性病変として見つかることがあるが、破れにくいわけではなく、くも膜下出血で発症することもある。自然経過は厳しく、50%以上が破裂し、2年での死亡率は60%を超えるとされる(Choi 2003)。
  • 血栓の状態から、非血栓化型、部分血栓化型、完全血栓型に分けて考える。国際共同前向き研究(ISUIA)では、くも膜下出血の既往のない最大径25mm以上の未破裂動脈瘤の5年累積破裂率は、内頸動脈・前大脳動脈・中大脳動脈で40%、後方循環・後交通動脈で50%と高い。

巨大脳動脈瘤の画像診断

  • CTでは脳実質と比べて等吸収-軽度高吸収。動脈壁に卵殻状の石灰化を認めることがある。
  • MRIでは、壁在出血を繰り返すことにより、内部が層状(target sign)となり、動脈瘤内血液、血栓、動脈壁線維組織を反映する。開存腔は血流の流速によって異なるが、T1WI、T2WIともに血流が早い場合は無信号(flow void)を呈する。遅い場合は高信号となり、乱流を生じていれば高信号と低信号が混在する不均一な信号となる。
  • 動脈瘤壁の造影効果が認められることがある。
  • 脳血管造影や造影CTAでは血栓化していない内腔のみが描出されるため、全体像の輪郭を描出されない点に注意。
  • MRAにおいても開存している内腔も乱流や血流速度の低下により、TOF効果が減弱する(高信号として認めない)ことがある。
  • CTでは内頸動脈系の動脈瘤が、脳実質外腫瘍(髄膜腫、下垂体腫瘍、脳実質外海綿状血管腫、三叉神経鞘腫など)との鑑別が問題となることがある。
症例 80歳代男性 ふらつき

中脳の左腹側に2cm大の高吸収腫瘤を認めています。

中脳を圧迫している様に見えます。

T1WIおよびT2WIでは辺縁部を中心にflow voidを疑う低信号域を認めており、また中脳には浮腫を示唆する高信号を認めています。

左椎骨動脈造影で、左後大脳動脈に連続して描出され、巨大動脈瘤であることがわかります。

※巨大動脈瘤の定義は最大径2.5cm以上で、今回の症例は最大径は1.8cm程度でしたので、厳密には巨大動脈瘤という定義からは外れます。

巨大脳動脈瘤でよくある疑問(Q&A)

Q. 巨大脳動脈瘤の定義は?
A. 最大径2.5cm(25mm)以上の脳動脈瘤です。血栓で埋まった部分も含めた大きさで測るため、MRIやCTで全体の輪郭を確認します。

Q. 治療しないとどうなりますか?
A. 未破裂の巨大脳動脈瘤276例の検討では、経過観察した群は平均7年の追跡で22.2%が破裂し(年7.3%)、死亡は26.7%でした。開頭手術群は7.2%、血管内治療群は5.4%で、後方循環や40mm以上、高齢は予後不良の因子でした(Lu 2021)。

Q. どんな手術がありますか?
A. クリップで動脈瘤の首を閉じて血管の形を作り直す方法、バイパスを置いて親血管ごと閉じる方法、コイルや親血管閉塞などの血管内治療があります(Choi 2003、Luzzi 2020)。手術例82例では、動脈瘤を血流から外せたのが91.4%、死亡は10%でした(Luzzi 2020)。

急な激しい頭痛や、ものが二重に見えるなどの症状があれば、すぐに医療機関を受診してください。

あわせて読みたい:脳動脈瘤破裂の危険因子は?(大きさ、部位、形状、Dome/Neck比など)

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参考文献:
頭部画像診断の勘ドコロ P131
よくわかる脳MRI(第3版) P305
臨床画像 Vol.27,No.4,2011 P508-510

  1. Wiebers DO, Whisnant JP, Huston J 3rd, et al. Unruptured intracranial aneurysms: natural history, clinical outcome, and risks of surgical and endovascular treatment. Lancet. 2003;362(9378):103-110. PubMed
  2. Choi IS, David C. Giant intracranial aneurysms: development, clinical presentation and treatment. Eur J Radiol. 2003;46(3):178-194. PubMed
  3. Lu J, Li M, Burkhardt JK, et al. Unruptured Giant Intracranial Aneurysms: Risk Factors for Mortality and Long-Term Outcome. Transl Stroke Res. 2021;12(4):593-601. PubMed
  4. Luzzi S, Gragnaniello C, Giotta Lucifero A, et al. Surgical Management of Giant Intracranial Aneurysms: Overall Results of a Large Series. World Neurosurg. 2020;144:e119-e137. PubMed

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