巨大脳動脈瘤
- 最大径2.5cm以上の脳動脈瘤のこと。
- 全脳動脈瘤の5%を占める。
- 男女比は1:3で女性に多い。
- 中大脳動脈、内頚動脈海綿静脈洞部、脳底動脈遠位部に好発する。
- 比較的破れにくく、くも膜下出血よりは、脳神経圧迫所見などで精査され、占拠性病変として見つかることが多い。
- 血栓の状態から、非血栓化型、部分血栓化型、完全血栓型の3型に分類される。
巨大脳動脈瘤の画像診断
- CTでは脳実質と比べて等吸収-軽度高吸収。動脈壁に卵殻状の石灰化を認めることがある。
- MRIでは、半数で壁在出血を繰り返すことにより、内部が層状(target sign)となり、動脈瘤内血液、血栓、動脈壁線維組織を反映する。開存腔は血流の流速によって異なるが、T1WI、T2WIともに血流が早い場合は無信号(flow void)を呈する。遅い場合は高信号となり、乱流を生じていれば高信号と低信号が混在する不均一な信号となる。
- 動脈瘤壁の造影効果が認められることがある。
- 脳血管造影や造影CTAでは血栓化したいない内腔のみが描出されるため、全体像の輪郭を描出されない点に注意。
- MRAにおいても開存している内腔も乱流が血流速度の低下により、TOF効果が減弱する(高信号として認めない)ことがある。
- CTでは内頸動脈系の動脈瘤が、脳実質外腫瘍(髄膜腫、下垂体腫瘍、脳実質外海綿状血管腫、三叉神経鞘腫など)との鑑別が問題となることがある。
症例 80歳代男性 ふらつき
中脳の左腹側に2m大の高吸収腫瘤を認めています。
中脳を圧迫している様に見えます。
T1WIおよびT2WIでは辺縁部を中心にflow voidを疑う低信号域を認めており、また中脳には浮腫を示唆する高信号を認めています。
左椎骨動脈造影で、左後大脳動脈に連続して描出され、巨大動脈瘤であることがわかります。
※巨大動脈瘤の定義は最大径2.5cm以上で、今回の症例は最大径は1.8cm程度でしたので、厳密には巨大動脈瘤という定義からは外れます。
参考文献:
頭部画像診断の勘ドコロ P131
よくわかる脳MRI(第3版) P305
臨床画像 Vol.27,No.4,2011 P508-510