先に結論:外傷性くも膜下出血
- 外傷性くも膜下出血は頭部外傷で脳表の血管が傷ついて起こるくも膜下出血で、脳挫傷・硬膜下血腫を伴うことが多いです
- 打撲部位やその反対側(contrecoup)の脳溝に線状の高吸収として見え、脳動脈瘤破裂の好発部位(脳底槽)とは違う分布をとるのが特徴です
- 単独なら予後は比較的良好ですが、脳底槽中心の出血や受傷の状況がはっきりしないときは、動脈瘤破裂が転倒の原因だった可能性も考えてCTAを検討します
外傷性くも膜下出血(traumatic subarachnoid hemorrhage)
略語は外傷性SAH(tSAH)、読み方は「がいしょうせいくもまくかしゅっけつ」です。
- 外傷→脳表の血管損傷→くも膜下腔に広がる出血。くも膜下出血の原因として最も多いのは外傷性脳損傷である。

- くも膜下出血単独で見られることもあるが、脳挫傷、硬膜下血腫、びまん性軸索損傷、橋・延髄部横断損傷などを伴うことがある。
- 脳挫傷に伴い出血がくも膜下腔にまでしみ出してきてくも膜下出血として見られる場合もある。
- 脳表の架橋静脈の破綻によるくも膜下出血単独の場合は予後良好なことが多い。
- 予後は脳挫傷など合併損傷の有無と初期の損傷の重さに大きく左右される。
- 中等症〜重症の頭部外傷750例では41%に外傷性くも膜下出血がみられ、その群で経過良好だったのは15%と、ない群(41%)より少なかった(Servadei 2002)。一方、軽症頭部外傷に伴うものは悪化や手術の危険が非常に低いとされる(Griswold 2022)。
外傷性くも膜下出血の画像診断は?
- 受傷部位(coup injury)あるいは、その反対部位(contrecoup injury)やその近傍に出血が認められる。
- 少量の場合、単純CTで脳溝内に線状の高吸収として認められる。
- 脳挫傷や、硬膜下血腫など、他の外傷性病変の合併がしばしば見られる。
- CTでわかりにくい場合や、外傷から時間が経っている場合は、MRIのFLAIRが有用。
- 動脈瘤破裂の好発部位とは異なった分布をするのが特徴。
- ただし、外傷が契機となり動脈瘤が破裂することもある。
- 高齢者の転倒では、動脈瘤破裂で倒れて頭を打った可能性もあるため、脳底槽中心の出血ではCTAなどで動脈瘤を確認する。
頭を打ったあとに頭痛・吐き気・意識の変化などがあれば、すぐに医療機関を受診してください。
症例 80歳代男性 転倒

右のシルビウス裂に限局した血腫を認めています。
外傷性くも膜下出血を疑う所見です。
症例 40代男性 前頭部打撲

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症例 30代男性 前頭部打撲


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参考文献
- Griswold DP, Fernandez L, Rubiano AM. Traumatic Subarachnoid Hemorrhage: A Scoping Review. J Neurotrauma. 2022;39(1-2):35-48. PubMed
- Servadei F, Murray GD, Teasdale GM, et al. Traumatic subarachnoid hemorrhage: demographic and clinical study of 750 patients from the European brain injury consortium survey of head injuries. Neurosurgery. 2002;50(2):261-7. PubMed
- Provenzale JM. Imaging of traumatic brain injury: a review of the recent medical literature. AJR Am J Roentgenol. 2010;194(1):16-9. PubMed
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