大網捻転(omental torsion)
- 大網の一部あるいは全体がその長軸方向に捻転し、急性腹症をきたしうる比較的まれな疾患。
- 女性より男性でやや多い。
- 30-60歳に見られることが多い。
- 8割の症例で 37度以上の発熱あり、血液検査では炎症反応の上昇を認める。
- ビリルビンが軽度上昇することも指摘されており、捻転した大網内の出血が溶血するためと考えられている 。
- 特発性と続発性あり。続発性が多い。
- 続発性の原因は、分裂した大網の正常変異と関連していることが多く、小児に多い。
- 他には、嚢胞や腫瘍、炎症部、術後瘢痕、鼠径ヘルニアとの癒着、外傷と関連し、成人に見られる。
- 大網は右側で長く自由度に富むため、捻転は右(右半結腸腹側)に多い。そのため虫垂炎と診断されることが多い。
- 右では時計回り、左では半時計回りが多い。
- 治療は保存的。
大網捻転の画像所見
- 大網脂肪織の吸収値が上昇し、その中に渦巻き状の層状構造(spiral fat pattern,whirl sign)の構造を認める。
- これは、捻転に伴う脂肪織の浮腫や拡張した小血管を反映している。
- 消化管は巻き込まれないので、腸管拡張や壁肥厚を認めることは少ない。
動画で学ぶ大網捻転
▶キー画像
鑑別診断
▶結腸周囲の脂肪織濃度上昇としての鑑別
・急性虫垂炎
・憩室炎
・結腸垂炎(腹膜垂炎)
・大網梗塞など
▶腫瘤としての鑑別
・脂肪腫
・脂肪肉腫
・奇形腫など