脊椎分離症(spondylolysis)とは?
- 分離症は、関節突起間部の欠損あるいは骨折線として認める。
- 頻度は5%。男性に多い。
- 10-20歳で発症する。スポーツを行なっている小学校高学年以上に多い。
- 主訴は無症候性が多い。他、腰痛。
- L5が最多で8割。続いて、L4に多い。
- 慢性的負荷による疲労骨折が偽関節となった病態。ただし先天的要因もあり。
- CTが分離部の形態的評価に優れる。
- ただし、初期にはMRIのSTIRや脂肪抑制T2WIにて高信号を認め、有用。
症例 腰椎分離辷り症(20代男性)
L5の前方への辷りを軽度認めています。
L5の関節突起間部に骨折線を認めています。
横断像においてL5両側に分離を認めています。
腰椎分離症の所見です。
動画で学ぶ腰椎分離辷り症(20代男性)
では続いて、腰椎辷り症について見ていきましょう。
腰椎辷り症(spondylolisthesis)とは?
- 原因は大きく2つ。1つは脊椎分離症によるもの。もう1つは変性に伴うもの。
- 分離辷り症(分離を伴う辷り症)は50歳以下の男性に多い。
- 一方、脊椎変性に伴う辷り症は中高年の女性に多く、若い人には少ない。
- 脊椎変性辷り症は、背側支持機構である椎間関節の変形性関節症、椎間板変性、靭帯変性などにより腰痛や下肢のしびれや疼痛、および脱力などで発症する。
分離辷り症と変性辷り症の違いは?
病名 | 分離辷り症 | 変性辷り症 |
本態 | 関節突起間部の疲労骨折 | 椎間関節の変形性関節症 |
好発部位 | L5(8割)>>L4(2割) | L4 |
年齢 | 10−20歳 | 中高年の女性 |
症状 | 無症候性が多い。 臀部から大腿への放散痛。腰痛。 椎間孔狭窄による神経根症。 分離の5割は辷りを生じない。 |
腰痛、大腿後部痛。
中心性脊柱管狭窄による馬尾神経性跛行。 |
症例 60歳代女性(L4腰椎辷り症)
腰椎L4は前方辷りあり。
横断像において、L4/5に脊柱管狭窄及び両側神経根の狭小化を認めています。
黄色靭帯及び椎間関節の肥厚も目立ちます。
腰椎変性辷り症を疑う所見です。
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