上半規管裂隙症候群
・1998年にMinorらにより報告された比較的新しい疾患概念。成人発症が多く、小児例は稀。
・上半規管を被っている中頭蓋窩天蓋や上錐体洞近傍の上半規管周囲に骨欠損を生じ、 頭蓋内との間に痩孔ができる。
・そのため、音刺激や圧刺激などの外的刺激によって、上半規管内の外リンパ還流が影響を受ける。
・特徴的な臨床症状を呈する症例にCTを施行し、冠状断で上半規管上部の裂隙を同定できれば診断が可能である。
症状
・患側耳近くで強大音を聴くとめまいやふらつきの自覚と動揺視が出現することもある(Tullio現象)。中耳圧や頭蓋内圧の変化によりめまいやふらつきが生じる(痩孔症状)、頭位変換に伴っためまいを生じることもある。
・難聴や耳鳴、耳閉感などの鍋牛症状の訴えは多くない。
頻度
・頻度は報告によって様々である。
・側頭骨病理標本を検討したCareyらの報告では1000耳中5耳(0.5%)
・高分解能CT所見を検討したWmiamsonらの報告では442耳中39耳(9%)。
・献体を検討したTsunodaらの報告では244耳中1耳(0.4%)。
・欧米からの報告が多く、アジアでは報告が少ない。