特殊なSAHとは?
- 中脳周囲SAH(perimesencephalic SAH)
- 外傷性SAH
- 脳動静脈奇形によるSAH
- 脳動脈解離によるSAH
- 脳腫瘍によるSAH
- 脊髄病変によるSAH
SAHは動脈瘤の破裂によるものが多いですが、それ以外が原因になることがあります。
中脳周囲くも膜下出血(perimesencephalic SAH)とは?
- 出血源として脳動脈瘤(脳底動脈系が多く3−9%)などを同定できないものをperimesencephalic nonaneurysmal SAHというが、これと同義として扱われる。
- 脳幹周囲の静脈の破綻が原因と推定されており、再出血はしない。
- SAH全体の10%を占める。(結構ある)
- 脳幹腹側に限局することが多い。
- 予後良好(なことが多い)のSAH。経過観察でよい。
症例 80歳代男性
中脳〜橋の腹側に限局した高吸収域を認めており、くも膜下出血を疑う所見です。
脳血管造影にて動脈瘤や椎骨動脈解離は認めず、unknown SAHとして保存的に加療されました。
1ヶ月後のCTで血腫は消失しています。
外傷性くも膜下出血
- 受傷部位とその近傍・対角延長線上(coup・contre-coup injury)に血腫が存在するので、この部分を中心に観察する。
- 脳挫傷や硬膜下血腫を伴うことが多い。
- 全身的な外傷では、脊柱管内にもSAHを認める。
詳細は、外傷性くも膜下出血のまとめへ。
参考&引用改変文献)
・画像診断2007年6月 くも膜下出血の画像診断 大阪市立大学 下野太郎先生
・臨床画像2009年4月増刊号 救急画像診断 くも膜下出血 亀田総合病院 菊池陽一先生
・画像診断2010年8月くも膜下出血の画像所見 富山大学 野口京先生