頭蓋内出血では、活動性/持続性出血かどうかが、血腫増大や転帰、治療方針に直結します。
その評価に役立つ代表的サインとして Swirl sign(単純CT) と Spot sign(造影CT/CTA) が知られています。
これらは脳実質内の血腫だけでなく、硬膜外血腫や硬膜下血腫など頭蓋内出血において用いられるサインです。
先に結論:血腫が大きくなるサイン(swirl sign・spot sign)
- swirl signは、単純CTで白い血腫の中に渦巻くような黒っぽい部分(まだ固まっていない新しい出血)が混ざる所見で、出血が続いている可能性を示します
- spot signは、造影CT(CTA)で血腫の中に点状に造影剤がもれ出している所見で、このあと血腫が大きくなる強い予測因子です
- 新しい血腫は単純CTで白く(高吸収)見え、発症24時間以内の脳出血では平均CT値が約57HUでした。CT値が低めの血腫ほど増大しやすいと報告されています(Jeong 2021)
- どちらも早い血圧管理・止血(抗凝固薬の中和)・手術の検討を急ぐ手がかりになり、短い間隔での再検査が勧められます
※突然の頭痛・まひ・意識の低下があるときは、すぐに救急車を呼んでください。
Swirl signとは(単純CT)
- 活動性(持続性)出血を反映した領域である。血腫(高吸収)内部に、周囲より低吸収に見える部分が混在する所見を指す。
その低吸収域は、血管外漏出したまだ凝固していない血液(hyperacute nonclotted hemorrhage)を反映すると解釈される。凝固した血腫は高吸収に見える(CT値は下の「血腫のCT値」を参照)。 - 高吸収血腫の中に「まだら」「渦巻き状」に低吸収域が混ざる。※swirl とは日本語で渦巻き。
- 出血が進行中で、血腫が増大し得るリスクサインとされる。実際に、単純CTでのswirl signは血腫増大と関連することが報告されている。8施設2,465例の脳出血を調べた研究では、単純CTの血腫内低吸収域(hypodensities)が44%にみられ、血腫増大の独立した予測因子(オッズ比3.11)であった。CTAを撮れない場面でも、単純CTで増大リスクを見積もれる可能性がある。
症例 30歳代男性 転落

引用:Radiopaedia
右硬膜外血腫を認め左側への正中構造偏位を認める。
血腫内には渦巻きのような低吸収(swirl sign)を認め、活動性出血を示唆する所見です。
Spot signとは(造影CT/CTA)
- 活動性(持続性)出血を反映した領域であり、造影CT(CTA)で血腫内に点状の造影剤集積(血管外漏出)として描出される所見で血腫増大の予測因子として知られ、spot signと呼ばれる。
- CTAにおいて血腫内の「点状の増強(スポット)」として見られる。これは造影剤が血管外へ漏れている=現在進行形の出血を強く示唆する。多施設前向き研究(PREDICT)では、発症6時間以内の脳出血の約30%にspot signがみられ、血腫増大に対する感度は51%、特異度は85%でした。spot signが陰性でも血腫増大は否定できない点に注意が必要です。
症例 90歳代女性 突然の左半身麻痺

引用:Radiopaedia
右基底核を中心とする脳実質内出血およびその周囲の浮腫を認め、脳室内に穿破しています。
CTAでは血腫内に高吸収なspot signを認め、血腫増大が今後示唆されます。
その後血腫は著明に増大しました(非提示、引用リンク先からご覧いただけます)。
血腫のCT値(脳出血のCT値)
- 血液のCT値は主に赤血球(ヘマトクリット)で決まり、血のかたまりが締まるほど高くなる。発症24時間以内の脳出血89例では、血腫の平均CT値は57.5±3.3HUで、のちに増大した血腫は増大しなかった血腫より低かった(55.7HU vs 58.6HU)(Jeong 2021)。
- 貧血ではCT値が下がり、脱水などの血液濃縮では上がる。静脈洞の血液のCT値はヘマトクリット・ヘモグロビンと相関し、正常例166例では70HUを超えなかった(Black 2011)。
- 血腫は時間がたつと吸収されて周りの脳と同じくらい(等吸収)になり、やがて低吸収になる。
Swirl signとSpot signの違い
| 項目 | Swirl sign | Spot sign |
|---|---|---|
| モダリティ | 単純CT | 造影CT/CTA |
| 本質 | 血腫内の低吸収混在(未凝固血の混入) | 血腫内の造影剤漏出(点状増強) |
| 示唆 | 活動性出血の可能性、血腫増大リスク | 活動性出血をより直接的に示唆、血腫増大リスク |
| 強み | 単純CTのみで評価可能(救急現場で汎用) | 漏出を直接描出し予測性能が高い報告が多い |
| 弱み | 低吸収混在の解釈に迷う例がある | 造影が必要、撮像条件/タイミングの影響あり |
脳出血のCTでよくある疑問(Q&A)
Q. 脳出血を示すサインにはどんなものがありますか?
A. 単純CTでは血腫そのものの高吸収と、増大を予測するswirl sign(血腫内の低吸収)、造影CT(CTA)ではspot signが代表的です(Ng 2018、Demchuk 2012)。
Q. 「高吸収域」「LDA」とは何ですか?
A. 高吸収域はCTで周りより白く見える部分(high density area: HDA)、LDA(low density area)は黒く見える低吸収域のことです。新しい出血は高吸収域、脳梗塞や浮腫は低吸収域として見えるのが基本です。
参考文献
- Al-Nakshabandi NA. The swirl sign. Radiology. 2001;218(2):433. PubMed
- Ng D, et al. The CT Swirl Sign Is Associated with Hematoma Expansion in Intracerebral Hemorrhage. AJNR Am J Neuroradiol. 2018;39(2):232-237. PubMed
- Schweitzer AD, et al. Traumatic Brain Injury: Imaging Patterns and Complications. RadioGraphics. 2019;39(6):1571-1595. PubMed
- Wada R, et al. CT angiography “spot sign” predicts hematoma expansion in acute intracerebral hemorrhage. Stroke. 2007;38(4):1257-62. PubMed
- Guo C, Liu L, Wang B, et al. Swirl sign in traumatic acute epidural hematoma: prognostic value and surgical management. Neurol Sci. 2017;38(12):2111-2116. PubMed
- Demchuk AM, Dowlatshahi D, Rodriguez-Luna D, et al. Prediction of haematoma growth and outcome in patients with intracerebral haemorrhage using the CT-angiography spot sign (PREDICT): a prospective observational study. Lancet Neurol. 2012;11(4):307-14. PubMed
- Morotti A, Boulouis G, Nawabi J, et al. Using Noncontrast Computed Tomography to Improve Prediction of Intracerebral Hemorrhage Expansion. Stroke. 2023;54(2):567-574. PubMed
- Jeong HG, Bang JS, Kim BJ, et al. Hematoma Hounsfield units and expansion of intracerebral hemorrhage: A potential marker of hemostatic clot contraction. Int J Stroke. 2021;16(2):163-171. PubMed
- Black DF, Rad AE, Gray LA, et al. Cerebral venous sinus density on noncontrast CT correlates with hematocrit. AJNR Am J Neuroradiol. 2011;32(7):1354-7. PubMed
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